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今、思い描くことができる未来に、願う未来はないのかもしれない。

やりたいことがわからなくなって、何年経つだろう。

ずっと認めたくなかった自分の中にある
最低の本性に気づいてから、
全部の自分を肯定しようとし過ぎたみたい。

変わりたくても、変われない。
そんなどうにもならない自分と、
できることなら変わりたくない自分が、
ごちゃ混ぜになっていた。

前者は、個性。
後者は、自我。

実在する個性は変えられないけれど、
自我は他者の価値観を纏っているだけ。

概念なので、価値観を手放せば、
瞬時に変わる。

が、実体のない自我にとって、
手に入れた価値観は、最強の装備。

自分自身の存在意義とも言えるので、
当然、手放したくない。

なので、社会的な価値観で個性を裁き、
力とやる気を奪い、気力が尽きたところで、
味方のフリをしてやって来る。

今ある価値観の範囲内でいれば、安心だよ。
そう囁いて、それ以外の選択を隠してしまう。
確かに、安全なんだけど、それだけ。

そもそも安全な未来なんてないんだもの。

なのに、安全を優先したら、
未知の可能性は自動的に消去される。
今よりも先細った未来しか、選べなくなる。

自我が提示する未来は、未来っぽい今だから。

表向きはキラキラして、新しく見えるけれど、
本質は過去と同じ。

安全が確保された未来には、
乗り越えたことのある困難しかない。
当然、成長もない。

経験値ゼロの安穏な一日。


今、漸く、
個性が力を取り戻しつつある。

反発していた自我も、
ちらつかせた餌に食いついている。

自我って安全策の権化なので、
怖くない方、不安のない方を選びたいと
思っていると、暴君みたいに権力を
振り翳してくるけれど、
先の見えない未来を選ぶと決めたら、
空気の抜けた風船みたいに萎んでいった。

今や個性の方が、パワフル。

いいように支配されてきたのに、
仕返ししようとするどころか、
仲間になろうと誘いをかけている。

社会性に欠ける個性のフォローを
オーダーしている最中です。

個性こそ、唯一無二のオリジナルで、
私が存在する理由でもあるのだけれど、
オリジナル故に、社会から逸脱してしまう。

それが、個性が抱える寂しさ。

それを、社会性の権化である自我が
フォローしてくれたら、社会に迎合しようと
してもできない個性を活かす方法が見つかる
かもしれない。

個性の寂しさを緩和することができれば、
自我にとっても居場所が与えられることになる。
実在しない自我の存在意義が生まれる。

役割と承認と感謝を与え合えるようになる。

互いの寂しさが、相手の居場所になる。

それぞれが求めていた幸せを得られるようになる。

…と、いいな。

自我も個性も、どっちも偏っていて、
扱いにくい奴らだけれど、
彼ら以外の自分では生きられないから。

私には、彼らしかいない。
やっと腹を括ることができた。


現金とパスポートとパンツさえあれば、
どこででも生きられる。

そんなクソ度胸をつけた二十代。

この先、果敢な人生になりそう。
なんて予感とは裏腹に、
なんの成果もない人生を送っている。

自分ではチャレンジしてきたつもりだったけれど、
やらせだった。無自覚の。

怯えながら決断したそれすら、
心の奥底では安全であることを知っていた。
理由や条件で選べることは、自我の範疇だから。

今の自分で予測できる未来に、
今以上の成果はない。

予測できない未来を選ばない限り、
過去のループからは抜け出せない。

予測できないということが、
枠の外である証明。

もちろん、怖い。

安全ゴリ押しの自我のパワーが弱まった今でも、
とんでもなく怖いです。不安です。

選ばなくてもいいなら、選びたくない。

幸福でなくても、不幸でないなら、
現状維持だっていいじゃない。

それが、本音だった。

やりたいことがわからないのは、
願いながら変わることができなかったのは、
今に執着していたから。

今ある温い幸せに。

嘘ではないけれど、
心からの望みでもない。

かといって、
捨てるには惜しい。

そんな温い幸せ。

やりがいはないけれど、楽な仕事。
上部だけは穏やかな人間関係。

私でなくてもいい人生。

そっか。

今ある人生は、私でなくてもいいんだわ。

他の誰かであっても
なんの問題もなく進んでゆく人生。

誰でもいいなら、私である必要はない…?

どうなんだろう。

私である必要なんて、
自我が言い出しそうな台詞だけれど、
これが本音っぽいんだよね。

上っ面ではない関係を望んでいるのかな。

予定調和に飽き飽きしている?
社交辞令が、気持ち悪い。

もういいかな?
今の自分以外で生きていたくない。

人にどう思われるか心配したり、
あんな言い方しなくてもと憤慨したり、
誰かのために時間を使いたくないというか。

それより、拡大したいんだよね。意識を。

安全圏の外に出てみたい。
冒険したい。未体験を味わいたい。

これまでにない世界を生きてみたい。

長いこと温い幸せに浸りきっていたお陰で、
心は満タン以上にふやけている。
パワーも十分。

さて、予測できない未来を選んでみますか。

…って、どうやって??

予測できないのだから、
選択のしようがないのでは?

目標を定めることさえできない。
言語化できれば、予想の範囲内だもの。

だから、いつもしないことをするのかな?

人生を変えたいのなら、選ばない方を選ぶ。

そんなセオリーは、
枠の外に出るためのアドバイスなのか。

考えた末の選択は、過去と同じだから。

いつもとは違う選択をする。
思いつきに従ってみる。

自我が選ばなそうな方を、選んでみる。
うん。面白そう。

迷った時は、そうしてみよう。

想像しただけで、なんか面白そうだもの。
未来も変わるんじゃないかな。きっと。

fumori

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