会話って、ただ聞き流していれぼいいのでしょうか?

会話が苦手だ。

なんのために喋らなければならないのだろう?
なんでどうでもいいことばかり喋っているのだろう?

雑談が下手だからこそ、興味がなくても聞くことぐらいはしようと思っているのだけれど、とにかく辛くて仕方がない。

かと言って、口を挟めば、話題が萎む。会話が途絶えるのは、地味にショックだ。面白いこと言えないなら、黙っていろ。そう言われているようで、喋ることが怖くなり、益々、聞くことしかできなくなる。会話なんて、苦痛でしかない。

その原因は、自我で聞いているからかもしれない。

相手の言葉を理解しようとするから、思考を使って話を聞いている。自然と自我の価値観が割り込んで来る。意見に対して、私はこう思うが生まれる。無意識に。

けれど、話は聞くもの。口を挟まず、相手のお喋りが終わるまで待ってからにしよう。やっと終わったと思ったら、さっきの意見は場違いになっている。話題は移っており、お預けを食らった意見は、言えないままの心に溜まり続ける。ネガティブな話題なら、更に心は重くなる。

なら、意見なんて持たなければいいのでは?

私にとって会話は、互いの意見を知るものだった。相手の意見は当然、自分と違うことも多く、それを調整しようとして、失敗し続けて来た。

けれど、そもそも、意見なんて求められていないのかもしれない。
意見より、場が和やかであること。敵ではないこと。友好関係を築ける仲間かどうかを確認しているだけだとしたら?

目的は、会話がスムーズに進む相手であって、話の内容ではない。
なら、内容を理解しようとしなくていい。思考を使わなければ、自我も意見を持つことはできない。

会話って、ただ聞き流していればいいのでは?


そんな極論に達してしまったのは、M.エンデの「モモ」を読み返しているせいかもしれない。

誰もがモモに話を聞いて貰いたいと思う。一緒にいたいと思う。
それは、彼女にしか使えない魔法だと思っていたけれど、もっとシンプルなことかもしれない。

モモには、自我も意見も主張もある。
けれど、口を挟まない。聞いている時に、自分の色がない。話を聞いているモモは、肯定感そのものになる。

意見が違っても、話している間に否定されることを心配しなくていい。肯定されているのは、意見ではなく、存在そのものだから。

モモと話しをするだけで、自己肯定感が高まって、心が軽くなってゆく。余裕が生まれる。想像力が広がる。勝手に最善の答えを見つけ出す。


突き詰めれば、悩みの原因は、自我が選んだ価値観と現実とのギャップ。なので、悩みが生み出された瞬間に、答えは出ているのだと思う。

ただ、自分では気づくことは難しい。気づきたくないというのが、本音だから。そこに、モモの需要がある。

悩みは、自分の考える範囲に、納得できる答えがない状態。ギャップを乗り越えるためには、想像力という魔法が必要で、そのための魔力が自己肯定感。

今、私がモモに話を聞いてもったら、自己肯定感が高まる気がする。想像力は誰もが持っているけれど、誰もが使える訳ではない。

ギャップを埋めるのは、自分のアイデアであって欲しい。
それが、本音なのだと思う。だから、良かれと思ったアドバイスを攻撃と感じたりするんじゃないかな。

敵だと思えば、心は閉じる。心から信頼できる相手でなければ、意見なんか聞きたくない。自己肯定感が低いと、敵は増える一方だ。

会話の本当の目的は、相手を知ることではなく、自分を知ることなのかもしれない。自己発見の喜びが、相手への好意に変換されるのかも。

話を聞いて欲しいのは、本当の自分を知るためなのかもしれない。



モモのようなジャッジのない話し相手になれるかな?

自己発見に至らないとしても、話しているだけで、心は軽くなる。いい気分でいられたら、自己肯定感が増し、想像力も高まる。相手に対するジャッジも弱まる。敵が減り、和やかな居場所ができる。安心していられる。

結果として、安心感が手に入るなら、心の軽さを会話の目的にしてみよう。

意見を持たない。内容について考えない。相手を理解しようなんて思わない。できる限り、相槌だけで、会話を成り立たせるようにしてみる?

聞かれない限り、意見は言わない。求められても、相手との関係性が浅いうちは、同意以外の意見は濁しておく。

心を軽くするために、相手の重さを引き受けていたら続かないので、なるべく聞き流す。和やかな空気を作ろうとも考えなくていい。それは、結果であって、目的は心の軽さ。自我で話を聞かないスキル。

相手のターンが終わったら、思いついたことを言ってみる。何もなければ、ふーんで終わらせてもいい。言わなくてもいい本音が、ポロリしてしまうかもしれない。

それを、恐れているのかな。会話を苦手と思うのは。本音を隠しておくために。相手にではなく、自分に。

本音がわからないのではなく、自分を知るのが怖いのか。波風を立てる本性がバレるから。

ただ、いい人キャラは限界だし、波風立てていくしかないんじゃない?

相手の話を聞き流せるようになって、それでも、失礼な本音を漏らしてしまうのなら、それは、嫌われてもいいから、距離を取りたい相手なのかもよ。

自分の本音を知ろう。そのために、会話をしよう。
心を軽くすることだけを考えて、聞き流すことに全力を注ごう。

聞き流してばかりで、トラブルになったら、また考えよう。

 fumori 

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