『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』花田菜々子より ♥本と人と人生について考える♥

花田さんにとって、「本を人にすすめる」ということは彼女の人生そのものなんだと、深く心に染み入った。本を介して自分を見つめ、満たし、そして他人の懐をほぐす。自分の心を癒すもの、または知識を得られるものだとされる「本」という概念を越え、人と人の心をつなぐ架け橋や、または糸のような繊細な役目もできる、そんな本に対する愛情が伝わる、またわたしにとっても本に対する想いがより深くなった、そんな読後感だった。
花田さんの綺麗な心を現す言葉も多く散りばめられ、ひいては自分にとっての幸せとは、ときめきとは何か、心が洗われるような感覚になった。

その人のことがわからないと本はすすめられないし、本のことも知らないとすすめられないし、さらに、その人に対して、この本はこういう本だからあなたに読んでほしいという理由なしではすすめられないんじゃないかとも思う。
私の紹介と、その本がその人の役に立ってほしかった。
「あなたが素敵」+「この本素敵」=「素敵なあなただから素敵なこの本がおすすめです」
素敵に輝くドレスがディスプレイされていたとして。ふと通りかかって目がとまり「綺麗なドレスだなあ」と思ったときに、いっしょに歩いてた友人や恋人が立ち止まり、「あなたに似合いそうだね」と言ってくれたら、やっぱりうれしいんじゃないだろうか。
誰かが「あなたはこのドレスが似合うような素敵なひとだよ」と言ってくれたら、そのドレスはガラスの向こう側に存在しただけで私に価値をもたらしてくれる。同じことを本でやればいいのだと思った。

素敵な考え方だなと思った。ファッションのように本を選ぶ。ファッションは自分を素敵に見せてくれるもの。本もまた、読むことによって自分をグレードアップできるものだと本当に思う。普通は、「この本面白そう!」と思って、読む本は自分で決めることが多いだろう。関心のない本には見向きもしないこともある。それはまさにファッションと同じ。でも、自分では選ばないけれど、「あなたこれも似合いそうよ」と言われて着てみたら「案外いいな。こんな服も意外と似合うんだ。」と新しい発見があったり、新しい自分に出会えたり、もっと自分自身が素敵に見えたり、ということもあると思う。「この本良かったから読んでみてよ」とただ言われるだけでは、確かに自分の関心分野でなければ読まないことが多いだろう。けれども、「あなたは~だから、こういう部分があなたにとって役に立つと思うよ」とすすめられると、読もうかなという気になる。本は言葉で書かれているけれども、ノンバーバルコミュニケーションとして、暗に相手に自分の気持ちを伝える最高のツールなのだと、花田さんにとても共感を持った。

助けたい、人の役に立ちたいという気持ちだけではなかなか具体的に人に関わることは難しいし、つらい気持ちを抱えている人に、「早く元気になってください」とか「これからいいことありますよ」というのは、心から思っていてもなかなか言えない言葉だ。
でも本を介してなら、気持ちを押し付けることなくこんなふうに知らない人と気持ちを交換できたりする。本の相談という名目がなければ・・・この人が悲しみにとことん向き合いたいという気持ちを知ることもなかっただろうし、わたしもその背中を押すことはできなかった。

そして、「人の役に立ちたい」という花田さんの心の奥から湧き出る想いが、人の心を揺さぶるんだとも思った。本を読んだら自分だけで満足してしまいがちだが、心の引き出しに色んな本から紡ぎ出たたくさんの言葉をためておいて、出会う人たちにおすそ分けする、わたしもそんな心持ちでいられたらと思った。

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花田さんがこの答えを得るまでに、試行錯誤しながら思索を深めてきた過程も描かれており、自分の本質にたどり着くまでの旅を一緒に歩んでる感覚にもなった。

「仕事」と「お金」と「好きなこと」の関係性については誰もが悩み、それぞれの答えを持って行動しているのだと思う。
・・・ユカリさんはコーチングすることが心から好きだから、無料でも有料でもやっているんだろうなと感じたし、きっとこれが天職というものなのだろうと思った。
・・・私だって誰かの役に立ちたいのだ。
ユカリさんのように。

私が突き付けられているような気がしていた普遍的な議題―たとえば「独身と結婚しているのとどちらがいいのか?」「仕事と家庭のどちらを優先すべきか?」「子どもを持つべきか持たないべきか?」―そもそもの問いが私の人生の重要な議題とずれていたのだ。こんな問いに立ち向かわされているとき、いつも自分の輪郭は消えそうで、きちんと答えられなくて不甲斐ない気分になることは、自分がいけないのだと思っていた。
自分の求める幸せが何なのかはっきり分かった。

上記の「普遍的な議題」というものはおそらく誰もが考えたことがあることだと思うし、特に現代では女性が生涯働き続けることが「素晴らしい」とされ、家事・育児を夫婦で分担することが当然という風潮がある。けれども、みんな天職を得られているのだろうか、自分の天職とは何かを知っているのだろうか。家庭にいて「子育て」や「家事」が天職の人もいるだろうと思うし、天職ではないけれど、ライスワークをして余暇を楽しむことが幸せという人もいるだろう。「本」というテーマから離れて、「自分にとっての幸せな生き方」についても考えさせられ、家族一人一人が「幸せな生き方」ができるように、すり合わせることが大事なんだとも思った。

日々、色んな人との出会いがあるけれども、深い話をすることって少ないなと思う。人の心にまで踏み込んで話をすることができれば、新しい自分も見えてくるんだろうな。

世界は「この人とお話ししたい」ボタンを押したい人でいっぱいだ。

本当はね、そう思う。わたしはわたしのやり方で、人の中に入っていって、自分を高めながら、人のお役にも立てたらいいなと思う。

わたしが、わたしでないとできない、人の役に立てることってなんだろう。

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