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浅見風
2020年8月22日 23:13
もうあたりは真っ暗になり、しんとした冷たい空気が僕らを奮い立たせた。日が暮れる前、午後四時くらいにはその日の野宿地を決めなければいけない。だがこの日は行けどもいけども、ただ広々とした薄気味悪い道が続くだけだった。沿道に面した床屋さんの夫婦が、物珍しそうに顔を出しホットの缶コーヒーを二つくれた。上にパーカーを羽織っていたものの、ハンドルを握る手が寒さで限界だった。缶コーヒーの暖かさを手でじんわりと