金継ぎー傷の美しさ
傷はない方が良い
傷は隠さなければならない
そんな常識を覆す日本の伝統技術があります。
「金継ぎ」です。
金継ぎとは、割れたり欠けたりした器を漆で継ぎ、金や銀などで上化粧を施す伝統工芸です。
つまり、欠点を隠すのではなく逆に目立たせる技術。
金継ぎを施すことで傷は美的アクセントとなり、
新品にはない唯一無二の個性をもたらします。
金継ぎのおこりは、「茶の湯」が盛んになった室町時代といわれています。茶道では器の様子のこと、例えば釉薬(ゆうやく)の具合を「景色」と呼びますが、金継ぎが施されたお茶碗は、その傷を一つの表情として「よい景色」と慈しまれてきました。
傷や汚れはその器がたどった歴史を物語ります。
大量生産された器も、その後同じ場所に同じように傷が入ることはありえません。
一つ一つの傷の入り方に寄り添い、美しさを引き出す金継ぎ。
それは単なる修理でもなく、単なる装飾でもなく、
器と人びととのストーリーを紡ぐ一つのコンセプトアートであり、美しき知恵なのです。
(*1)本文挿入画像出典:https://www.fin-bigbox.com/?p=15748
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