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「イクサラン:失われし洞窟」ドラフトの説明書

割引あり

|ω・`)ノ ヤァ

こんにちは。はじめまどかです。
私は「マジック:ザ・ギャザリング」のプレイヤーのひとりです。最近は[一般TCG理論]についてよく記事を書いています。

私の自己紹介はこちら


2023年11月15日には「イクサラン:失われし洞窟」のMTGアリーナへの実装、 2023年11月17日にはリリースということで盛り上がりを見せています。構築の環境究明も楽しいですが、リミテッドの環境究明も同様に楽しい時期でもあります。


ということで、今回も備忘録がてらに「イクサラン:失われし洞窟」のドラフトで意識したいことを書いていきます!

初歩の部分も解説していきますので、初心者~中級者ぐらいの方に向けた内容になっていると思います。私が上級者ではないので上級な内容は無理です。

今回も環境についてと、後は多色化の話を少しして、アーキタイプについてを取り上げたいと思います。

カード個別評価はたくさんの方が評価されているので割愛します。カードの詳細理解という点ではいい点もあるので時間に余裕のある方はそういった内容のコンテンツを見てもいいかもしれませんね。評価者の主観に囚われない「17Lands」の数値を見るのが点数としては確実というのはありそうです。時間のある方は是非どちらもチェックしてみてください。

リミテッドでもドラフトに視点を置いた内容になっているので、シールドの環境及びデッキの組み方とはやや違う点には注意して頂きたいです。私自身、あまり上手なプレイヤーではないので参考にし過ぎにも注意です!

というところで、できるだけ主観の含まない構成になるように気を付けて書いていくつもりです。




メカニズム

「イクサラン:失われし洞窟」で登場した新旧合わせたメカニズムはこちらになります。(公式の記事はこちら

・作製
・変身
・落魄
・発見
・探検と地図・トークン
・最終カウンター(今回のnoteでは割愛)

『イクサラン:失われし洞窟』のメカニズム


作製

「作製」は「イクサラン:失われし洞窟」に収録された新規のメカニズムです。アーティファクトであるカードが作製を持っています。作製の能力を持つカードはいずれも変身を行う両面カードとなっています。


作製はコスト付きの変身

作製は自身の追放と指定された素材(アーティファクトやクリーチャーなど)を戦場または墓地から追放するこで行うことができます。墓地から追放したほうがリソース面でお得なのでできるだけ素材は墓地から追放したいです。

片面だけだとちょっと弱めで作製前後のどちらも十全に使うことでやっと1枚のカードとして評価できるレベルのカードが多いといった印象を受けました。特にコモンレベルのカードですとその傾向にあります。(もちろん例外はあります。)そのため、通常カードにおまけとして裏面が付いてくるからマナフラッド受けになりそうと判断してカードを評価するのは少し違うかなと考えています。


作製を持つカードは下記のように割り振られています。(scryfall


作製を持つカードの分布表

分布としてはどの色でも使えるように各色に分布しており、中でも白青が若干多めに割り振られています。白青のアーキタイプが「アーティファクト・コントロール」であることと関係していそうですね。

作製はコストとして追放したあとに戦場に戻すという効果になっています。そのため、裏面がクリーチャーや機体であれば召喚酔いの影響を受けますし、両面が装備品であれば一度装備が外れた後に再度装備する必要があったりする点には注意が必要です。


変身

「変身」は新規のメカニズムではありませんが、「イクサラン:失われし洞窟」に収録されているメカニズムのひとつです。今回収録されたカードのすべてのカードは「変身」による裏面が土地になっています。

「作製」も「変身」の一種ではあるのですが、ここでは分けて説明させて頂きます。


変身には条件がある

変身は何らかの条件を満たすことで裏面に変身することができます。

変身を持つカードは下記のように割り振られています。(scryfall

変身を持つカードの分布表

変身を持つカードの分布としてはどの色でも使えるように各色に分布していますが、高レアリティにまとまっているため常用的に使うことは少な目になりそうです。

こちらの「変身」は作製のように追放を挟まないため土地でもあって召喚酔いなどの影響は受けませんが、タップ状態などの状態は引き継ぐためその点には注意してプレイしましょう。


落魄

「落魄/Descend」は「イクサラン:失われし洞窟」に収録された新規のメカニズムです。「らくはく」と読みます。パーマネント・カードと墓地に関わるメカニズムですね。


落魄にも種類がある

「落魄」にもいくつかの種類があります。パーマネント・カードがこのターンに墓地におちたか確認する「落魄」、墓地にあるパーマネント・カードの枚数を参照する「落魄4、落魄8、底なしの落魄」です。

落魄を持つカードは下記のように割り振られています。(scryfall


落魄を持つカードの分布表

落魄を持つカードの分布としてはどの色でも使えるように各色に分布していますが、青と黒その次に緑に厚く割り振られています。切削などによって条件を達成しやすいのでそれも影響していそうです。

トークンと落魄の関係には注意が必要です。若干ややこしいルールかもしれませんがトークンはパーマネントではありますが、パーマネント・カードではないので落魄の達成には寄与しないので注意しましょう。


発見

「発見/Discover」は「イクサラン:失われし洞窟」に収録された新規のメカニズムです。既存の能力では「続唱」に近い能力となっています。


発見を持つカード

発見Nを行うとは、「マナ総量がN以下で土地でないカード1枚が追放されるまで、あなたのライブラリーの一番上から1枚ずつ追放していく。あなたは、唱えた結果の呪文のマナ総量がN以下ならそのカードをその唱えてもよい。そうしないなら、それをあなたの手札に加える。その後、これにより追放されたすべてのカードを、あなたのライブラリーの一番下に無作為の順番で置く。」ということです。

発見5などの多きな数字を持つカードでも2マナなどの低コストのカードを発見することもあるので、数字が大きい発見ほどギャンブル性が高いです。条件が合わず唱えられない呪文は手札に加えることもできるのでキャントリップと見ることも可能です。状況によってフリースペルで唱えるより手札から唱えなおしたほうが強いカードもあるので見極めて判断しましょう。

発見を持つカードは下記のように割り振られています。(scryfall


発見を持つカードの分布表

発見を持つカードの分布としては赤に厚く割り振られています。また、各色のタップイン土地・洞窟にも割り振られていて、それらはマナフラッド受けとして機能するようになっています。


探検と地図・トークン

「探検/Explore」は新規のメカニズムではありませんが、「イクサラン:失われし洞窟」に収録されているメカニズムのひとつです。以前(2017年頃)のイクサラン・ブロックにも登場した能力となっています。

「探検」は土地がライブラリーのトップに合った場合はドロー、土地でなかった場合はクリーチャーを強化できるという能力です。

「イクサラン:失われし洞窟」では「探検」を発展させた「地図・トークン」という新規メカニズムが収録されています。


地図・トークンを生成できるカード

地図・トークンは『「(1),(T),このアーティファクトを生け贄に捧げる:あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とする。それは探検を行う。起動はソーサリーとしてのみ行う。」を持つ、無色の地図・アーティファクト・トークンを生成する。』という能力を持っています。マナを支払うことで対象を選ぶことができるようになった探検といった感じです。

地図・アーティファクト・トークンもパーマネントとして戦場に存在できるので、アーティファクト関連の能力となんらかのシナジーを持つことができます。


探検を持つカードは下記のように割り振られています。(scryfall


探検を持つカードの分布表


地図を持つカードは下記のように割り振られています。(scryfall


地図を持つカードの分布表


探検を持つカードの分布としては緑に厚く割り振られており、地図を持つカードの分布としては青に厚く割り振られています。緑青のアーキタイプが「探検ミッドレンジ」であることと関係していそうですね。



ドラフト・ブースターの内容

今回の「イクサラン:失われし洞窟」では「エルドレインの森」に存在した「おとぎ話」のような過去の強力カードは登場しない通常パックの構成になっています。


出典:『イクサラン:失われし洞窟』をコレクションする

『イクサラン:失われし洞窟』ドラフト・ブースターボックスの内容は以下の通りです。

・レアや神話レアのカード 1枚
・両面のコモンやアンコモン 1枚
・アンコモン 3枚
・コモン 9枚
・土地 1枚
 70%の確率で基本でない洞窟が出現
 30%の確率で「中心」フルアート版土地が出現

両面のコモンやアンコモンが1枚確定で排出されるようになっているので「作製」、「変身」のカードを見る機会は若干多めとなっています。



飛行と到達による環境把握

飛行を持つクリーチャーは下記のように割り振られています。(scryfall


飛行を持つカードの分布表


飛行持ちカードの分布としては白青を中心として黒に少し配布されているといういつもの感じです。

リミテッドの中心となるコモンのカードを確認していきましょう。


白のコモンの飛行持ちクリーチャー

白のコモンで飛行を持つクリーチャーは3枚。


青のコモンの飛行持ちクリーチャー

青のコモンで飛行を持つクリーチャーは3枚。うち1枚の《説教好きな残響》は落魄4にて飛行を得ます。


黒のコモンの飛行持ちクリーチャー

黒のコモンで飛行を持つクリーチャーは1枚。


上記のようなカードを見たところ、防御に重きを置いたタフネス偏重の飛行クリーチャーもそこまで多くありません。コモンの飛行持ちクリーチャー単体でみた場合は2/2~3/2の飛行クリーチャーでの殴り合いのライフレースになるか、もしくは飛行クリーチャー同士での相打ちor睨み合いになることが予想されます。


到達を持つクリーチャーは下記のように割り振られています。(scryfall


到達を持つカードの分布表

到達持ちカードの分布としては赤に少数、緑を中心として分配されているといういつもの感じです。


コモンの飛行持ちクリーチャー

赤のコモンで到達を持つクリーチャーは1枚。緑のコモンで到達を持つクリーチャーは2枚です。



多色化するためのサポート

ボムレアなどの強力なカードがピックできたときや、2色では全体のカードパワーが足りずに他の色の力を頼らざるを得なくなった時などは多色化を検討する場面が訪れます。

多色化するためのコモン、アンコモンの色マナサポートには下記のようなカードが存在します。


《イクサーリの伝承守り》、《ヤドクガエル》。
《イクサーリの伝承守り》は恐竜限定なので多色化にはほとんど寄与できません。


無色

《コンパスのノーム》、《埋もれた宝物》、《太陽鳥の権威》、《駆け回る偵察兵》。


土地

《有望な鉱脈》、《魅惑の洞窟》。

「イクサラン:失われし洞窟」では色マナサポートができるカードは多いとは言えませんので多色化の際は慎重に行う必要がありそうです。


リミテッドで多色化する場合は基本的に下記の項目に当てはまっているか考えた方がよい場面が多いです。

①デッキの色は2色+タッチまでが望ましい
②タッチするカードはパワーカードであること
③唱えるのが終盤のターンでも効果を発揮するカードであること

①デッキの色は2色+タッチまでが望ましい
マナベースの安定化という観点からリミテッドでは2色+タッチまでが望ましいです。マナベースを安定化させるためにマナサポートのカードをドラフトの段階でピックするというのは、視点を変えて見れば本来ドラフトでピックできるカード1枚を諦めて3色目を使いたいという理由からマナサポート用のカードを取っているということです。マナサポートをピックした枚数分デッキ内のカードパワーは落ちることになります。

②タッチするカードはパワーカードであること
③唱えるのが終盤のターンでも効果を発揮するカードであること

軽いカードは序盤では色が揃わない可能性があってそもそもプレイできるか怪しいですし、中盤以降に出しても弱いという問題点があります。一般的に言えば、重くて強いパワーカードの方がタッチには向いているということです。



トップコモンTier1

この項目ではコモンのトップクラスに活躍するカードを紹介していきます。

選定基準としてはどのアーキタイプで使っても強いカードを中心とします。特定のアーキタイプのみで強いカードをここで挙げてしまうとちぐはぐなデッキが生まれてしまう可能性がありますので、そのようなカードはできるだけ避けておきたいと思います。


白のトップコモン

白のトップコモン

《オルテカの雲衛兵》、《鉱夫の導鳥》は飛行という回避能力を持つカードです。マナレシオもよく持っている能力も強力であるためトップコモンの風格を持っていますね。

《石化》については軽量の除去でよくある《平和な心》系のカードです。アーティファクトにも対応しているということで先んじて「作製」の起動を封じるといった使い方もできるようになっています。

これらの白のカードは見かけたらピックしておけば間違いないというようなレベルにあるカードだと思います。


青のトップコモン

青のトップコモン

《水巻きの偵察》は3/2/2、飛行に加えて地図・トークンを生成することができるクリーチャーです。3/3、飛行というハイスペックなクリーチャーになる可能性を持っています。強化されなくても土地のドローなので能力は強力なことには変わりありません。

《樫材のセイレーン》は2/1/2、飛行、警戒でスタッツは《水巻きの偵察》と比べてしまうと若干地味なものとなっています。アーティファクトのマナ・ファクトになれるということで作製や装備品コスト、地図・トークンのマナの支払いの捻出など起動する機会はどのアーキタイプでもあるのでいぶし銀的な活躍をします。なんでもこなす器用なカードです。

《歯車式闘士》は1/1/2というまあまあスタッツを持っています。アーティファクトなので様々なアーキタイプとシナジーも持ちます。最大の魅力は瞬速によるコンバットトリックです。現環境はコンバットトリックが比較的控えめなのもあるのかもしれません。

《水巻きの偵察》は色が合えば即ピックできるパワーカードで、《樫材のセイレーン》と《歯車式闘士》は使い方が少し難しいカードですね。


黒のトップコモン

黒のトップコモン

《死者の仲間入り》は-5/-5修整ということで概ね確定除去となっています。確定除去は黒の特権でもあるので今日カードとなっています。

《税血の刃》も使いやすい布告系除去です。アーティファクトとして戦場に残るためにその他のカードとのシナジーも組みやすくなっています。裏面は毎ターン1点のドレインなので、表面が本体で裏面のおまけ感はかなり強いです。

《熱狂的な献上》はクリーチャーやアーティファクトをドローに変換するカードです。さらに地図・トークンも生成することができるので実質3ドローになる場合もあり非常に強力なリソースカードです。今回の黒はアグロ系ではなくコントロール系のアーキタイプの方が多いのでそこでのシナジーとも噛み合うカードとなっています。


赤のトップコモン

赤のトップコモン

アグロデッキにおいては《エターリの好意》はかなり強力なカードです。マナコスト3に発見3が付いてくるのでほぼほぼフリースペルの強化オーラと考えると分かりやすいかもしれません。2/2が発見されたのであれば実質3/3相当ですね。強化の分の修整値が疑似的な速攻といった印象です。クリーチャーを強化することができるので序盤のサイズ負けをしにくくなり攻勢に出やすくなるのでアグロデッキには是非欲しいといった印象を受けました。《エターリの好意》が連鎖すると異常に強くなるので複数集めることも視野に入るカードです。4枚以上デッキに入れても全然強いです。

《削剥》は非常に扱いやすい3点火力です。今回のセットではアーティファクトがフューチャーされたアーキタイプもあるので思った以上に除去できる範囲は広くなっています。トップコモンとしては納得感のある1枚です。

《略奪する海賊》は3/3/2でEtBで宝物を生成することができます。ちょっと弱い《宝石泥棒》といった印象ですが、今回のセットではアーティファクトとのシナジーがあるのでその点を評価してのトップコモン入りといったところです。


緑のトップコモン

緑のトップコモン

《開拓する斧顎》は見た目は普通の4/4/3です。能力としては戦場に出たときに探検することができ、土地のドローか4/5/4と高スタッツのクリーチャーになることができます。

《圧倒的巨体》は+3/+3の修整とトランプルを得ることができるコンバットトリックです。シンプルなコンバットトリックですがシンプルゆえに強力です。今回環境は黒の除去がそこまで強力という訳ではないのでコンバットトリックがその分輝く傾向にあります。GIH WRの指標的には緑のトップコモンです。

《ファートリの最後の一撃》は一方的にパワー分のダメージを与えることが出来るカードです。緑の貴重な除去として活躍します。



アーキタイプの解説

コモンのパワーカードをある程度抑えてもらったところでアーキタイプの解説に移ります。

10種類の各2色アーキタイプの組み合わせはこちらです。アーキタイプについては公式で公開された名称を参考にしています。(公式の記事はこちら

白青:アーティファクト・コントロール
青黒:落魄コントロール
黒赤:落魄ビートダウン
赤緑:恐竜ストンピー
緑白:バフ・アグロ
白黒:生け贄
青赤:アーティファクト・アグロ
黒緑:落魄削り
赤白:タップ・ミッドレンジ
緑青:探検ミッドレンジ

mtg-jp:地底を行く その2

各色のアーキタイプに指標となるマルチカラーのアンコモンが各1枚ずつ収録されています。

17Landsの「Deck Color Data」は下記の通りです。


Deck Color Data Two-color

ジェスカイカラーの勝率が高い結果となり黒を含むカラーの勝率が低いものとなっていることが分かります。



白青:アーティファクト・コントロール

白青のテーマは「アーティファクト・コントロール」です。

今回の白青はゲームレンジが遅めのアーキタイプです。地上をブロッカーや除去で止めつつ飛行によるアグロで対戦相手のライフを削り、作製でフィニッシュするというのが理想形になりそうです。

白青のアーティファクトの枚数は白12枚、青12枚、多色1枚、無色22枚に割り振られています。(scryfall


《主の案内壁画》は白青のテーマを代表したようなカードで戦場に出たときに4/4のアーティファクト・クリーチャー・トークンを生成することができます。作製した後は《主の組立工廠》となり、条件付きですがタップするだけで4/4のアーティファクト・クリーチャー・トークンを生成することができるようになります。作製時にも一度追放してから戦場に出るためすぐさま4/4のアーティファクト・クリーチャー・トークンを生成することができます。

フィニッシャーとしては十分な能力を持っていると思います。ネックとなるのは両面通したマナ・コストの重さです。上手く起動させることができるかというのが最大の課題です。十分強力なカードではるのでサイン(※)と取れる場合もあると思います。(※サインとはドラフト時にこのカードが流れて来たのであればそのカラーが空いていそうだぞという指標となるカードのことです。)


Trophy Decks 7-2 Diamond-4 -> Diamond-3


次の画像は白青における「GIH WR」TOP10のコモンカードです。


これらのカードを主軸にデッキを構築します。


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