漆黒のヴィランズ 全体の感想
こんにちは。前の紅蓮のリベレーターの感想を書いたのが去年の10月。FF14を楽しく遊んでいるうちに半年たってしまいました。今までこのシナリオに対する感情が重たすぎて、ずっとまとめに取り掛かれていなかった漆黒のヴィランズ、クリアして4か月目ですがやっと書いていこうと思います。
※もちろんですが、こちらはFF14のシナリオ「漆黒のヴィランズ」の全編にわたるネタバレを大量に含んでおります。到達していない方は閲覧をお控えください。
ストーリー全体について
漆黒のヴィランズは、蒼天のイシュガルドと暗黒騎士ジョブクエストのメインシナリオライターさんが執筆しておられるということで、前の紅蓮のリベレーターよりもヒカセンが一個人として強く印象付けられるようなお話でした。
紅蓮のリベレーターはどちらかと言うと主人公的なポジションはリセやヒエンで、ヒカセンは外側から彼らの成長と故郷の奪取をするための奮闘を見ているというか俯瞰している感じ…喋らずに個性が少なめの、特に初期のドラクエの主人公的な感じだったなと思っていました。(個人的には、初期DQじゃないけど周りが主役的なDQ7主人公の立ち位置が特に似てたと思います)
一方、蒼天もそうでしたが漆黒のヴィランズは、いわゆる20年くらい前からのファイナルファンタジーが得意な「ものすごく強い個性を持って自らが喋る主人公」って感じだなと思いました。ヒカセン≠自分って感じが全面的に感じるタイプのシナリオだったなとおもいます。
この辺はロールクエストにも顕著に表れていて、特に物理DPSのロールクエストがそうでした。操作しているプレイヤーの意思とは関係なく、敵以外に対して明確に怒って喧嘩してたの、ルー・リーク相手が初めてじゃないかな?たぶん。
話が少しそれましたが、つまりは「FF14の主人公としてのヒカセン」とはどういう人物なのか、何を考えるのか、誰の手を取るのか、その辺のヒカセンとしての在り方についてほとんどプレイヤーに選択の余地がなく、公式から直々に「FF14の主人公とはこういうものだ!刮目して見よ!!」って感じのお話だったと思います。
この辺、プレイヤーに自己投影するタイプの人には辛かったんじゃないかな…自分の子の過去を勝手に決められるようなもんだったから。ただ漆黒は非常に評価が高いので、なんだかんだ言って「FF」を継続して遊んでいるプレイヤーは自我の強い主人公は好きなんだろうなとは思います。私も好きです。
このシナリオから、新生エオルゼアの時からずっと旅をして培ってきた経験や人脈、クリスタルタワーで起こった事、なんだったら新生エオルゼア開始して1時間以内で到達できる、空から燃えるような流星群が降り注ぐシーンの意味がどんどん回収されて言って本当に見ごたえがあって楽しかったですね。いやでも、あれ覚えてる人何人いたんや…?私は去年FF14を始めたばっかりでしたけど、新生エオルゼア自体は2013年リリースよね…。何て息の長い伏線なんだ…。
あとは敵側の事情についても、ほとんど余すところなく伏線が回収されましたね。アシエンとは何だったのか、彼らは何を目指していたのか。唯一残ってる謎は、ハイデリンとゾディアークが何を思っているかくらいじゃないですかね。それは今年秋実装予定の暁月のフィナーレに任せます。
世界観について
今回の舞台である第一世界は、シナリオの進行度によってずっと昼のままなのか、昼と夜が来るようになって雨も降ったりするかが変化していました。個人的には明るくて美しい昼間だけの状態も好きでした。
マップのミュージックも色々なタイプの曲が流れていて、新しいところへ行くのが毎回楽しみでした。個人的に一番好きなフィールドBGMはアム・アレーン昼でした。ラケティカ大森林の「ラヒッ↑」も耳に残って面白いんですけど、アム・アレーンみたいなアンビエント系の音楽が好きなんですよね。ずっと聞いていられる…。
戦闘のBGMは通常は蒼天、BOSSは紅蓮が好きでしたが、退廃的な空気があった漆黒にはとてもマッチしてる曲が多かったと思います。
キャラクター:サンクレッドについて
FF14において自分たちがかかわってきたNPCの成長劇も毎回のパッチで楽しみにしている部分で、今回はついにサンクレッドにメスが入って嬉しかったです。新生では最後の方にウリエンジェ、蒼天ではアルフィノ、紅蓮ではリセ、アリゼーが成長を遂げていて、彼らの変化もとても見てて楽しかったんです。
サンクレッドはミンフィリアを失ってからずっと触れるものすべて傷つける系の危うさがあったし、相変わらずミンフィリアの話題は地雷だし、コイツちゃんと救われてくれるのか…?ってずっと思っていたんです。
蒼天の時点で、逆さの塔の後、星の使途となったミンフィリアに直接お別れを言ってはいましたが、そのあとのサンクレッドの危うさがずっと引っかかってたんですよね。燃え尽きたというか、どことなく捨て身のような感じがあったんですよね。
漆黒の冒頭あたりでもその感覚は残っていて、リーンに対して手元で守りたいけども一定の距離を置きたいのか、ちょっと冷たいよなとも思っていました。ただ、彼もずっと葛藤していたようだし、冷たかったのは多分ミンフィリアの色を残しているけど彼女ではない女の子にどう接していいかわからなかったんだろうな…という感じはします。
ぶっちゃけリーンの方がサンクレッドのことを理解するの早かったよね。彼をちゃんとよく見てるし、何を思い何に悩んでるか筒抜けだったよねって思います。家族としての心構えはリーンの方が確実に早かった。そのお陰でもあるんでしょうね、サンクレッドがちゃんと自分の気持ちを口に出して話せて、ミンフィリアに対してどう思ってたか、リーンがサンクレッドにとってどういう存在なのかをしっかり自覚するまで行けたのは、冒険を経てリーンが精神的にもしっかりしていったからでしょう…。
サンクレッド、ミンフィリアから「あの子自身を見てあげて」って言われていましたが、リーンの方がずっとしっかりサンクレッド自身を見ていたんですよね。やっと気づいたかって感じ。そこに気づけたからこそ、ミンフィリアと本当にさよならをすることができて「リーン」っていう新しい名前をあげた子と関係性を構築していくことができたんでしょう。
まあ結局のところ、下手に人生経験が多いゆえに頭が固まってきてるオッサンが、柔軟で純真無垢だったリーンの包容力に救われたんだな、という風に受け取りました。
最終的には二人とも成長を遂げて、お互いを家族だと認め合ったうえで、納得した形でサヨナラができてよかったと思っています。でもメタなこと言うと、フェイスとして育てられるリーンこのまま終わりってことも無さそうなんですよね…。暁月でも関わってこないかな...。
キャラクター:水晶公について
新生エオルゼアにおけるアライアンスレイド、クリスタルタワーに登場したキャラクターがまさかの再登場。割と早い段階で彼の正体分かりますよね。クリスタルタワーに出てくる上に口元がラハと同じオスッテ3顔じゃん(メタ)。そういうメタ推理すると野暮って言われるからね…ほどほどにしようね…。
最初、彼がものすごくヒカセンを気にすることが気になりつつ、その気にしてる度から想像できるよりも離れて行動も多かったので、信頼されているのか何なのか、ちょっとちぐはぐな印象を受けました。
全部分かった上でこのちぐはぐさの考察すると、多分、何年もの時を経てやっと会えたヒカセンを気にしてはいたけど、あんまり傍にいすぎるとすぐボロを出して正体がバレちゃうだろうなという予想もあったんでしょうね。もちろんクリスタルタワーの端末になってしまった体だと、遠くまでついていけないって言うのはあると思いますが。
漆黒のスクショを見直して思ったんですけど、そんなに水晶公と一緒に行動してないんですよね。下手したらエメトセルクの方が一緒に行動してるんじゃないですかね…?
自分の命を懸けてヒカセンを救おうとしてくれるのはイイですけど、そういうのヒカセン嫌いだって知ってますよね??水晶公は蒼天の冒険録を読んでるはずなんで、オルシュファンのことをヒカセンがずっと心の傷にしてるのも知ってるんではないでしょうか…。
あの出来事がヒカセンを成長させたのは確実なんですけど、あっていい事ではない。そんなヒカセンだからこそ、きっと水晶公を救おうとしちゃうから黙ってたってことですが、良く分かってるけど分かってませんね。ウリエンジェも同罪。ヒカセンをもっと信用しなさいよねオエッ(光の吐瀉物をまき散らしながら)。
最終的にはクッパ(エメ)にさらわれたピーチ姫になるとは思いもよらなかったんですけど、エメを叩きに行く大義名分ができてよかったです。個人的には。
命を懸けてヒカセンを救おうとしてくれた水晶公の手を取ることをFF14の主人公として選んでくれたわけで、王道のFFの主人公を立ち回れたんです。彼にはこれからもずっと一緒に冒険してほしいね!
5.4以降のグ・ラハとしての彼を見てると、水晶公の時も本当はヒカセンにいっぱい付いて行きたかったんだろうな…って思います。
キャラクター:アルバートについて
最初、新生エオルゼアの時のPVに出てるパーティーと同じ容姿だったのでちょっとドキッとしたんですけど、あれって多分登場時はそんなに深い意味はなくて、FF14運営側が想定した主人公パーティーをそのまま別世界の存在としてコピーして本編に出したというのが正解なんでしょうね。
彼の無念というか、最初に光の氾濫を止めに来たときに魂を消滅させてあげないなんて、ミンフィリアも残酷なことするな、って思ってたんですが、ほぼほぼヒカセンの為だったんですね。ミンフィリアもなんだかんだでヒカセンの為に独善的なところがあって、そういうところ好きです。アルバート側は100年も孤独な亡霊として彷徨わないといけなくなったんで、ひでえ話ではあるんですが。
第一世界のナレーションが全部アルバートで、彼目線から見た世界の話を聞かせてもらっているようで(そもそも声が諏訪部さんなのでめっちゃ聞き惚れるというのもあるんですけど)、この語り実はヒカセンが寝れない時にアルバートによる寝物語でも聞かせてもらってたんじゃないのかなとか妄想しました。
そう思うと、新生エオルゼアのナレーションは誰の語りなんでしょう...?蒼天はエドモンさん、紅蓮はリセ、漆黒はアルバート…新生どっかで見落としてる??
話がそれました。アルバート達の生前の冒険譚は、漆黒ロールクエスト4種を完遂したうえでエクストラクエストを経てないと全部見ることはできないんですが、そこまで全部見るとアルバートがいかにヒカセンに似ていてお人好しなのかが垣間見えます。闇の王を救ってしまったんですから。
でも、そんな彼らが自死を選ぶしかなかったって相当だと思うんですよ。例えば、今私たちが動かしているヒカセンが自殺するしかないって言われて、どんな物語を用意されたらそれを受け入れるんだろうって考えちゃうんですよね。自死を受け入れて、ミンフィリアによって消してもらえず、100年待っていたなんて…本編で泣き言を言っていたとはいえ、もしかしたらヒカセンよりメンタル強いのかもしれません。
最後にはヒカセンと合流しましたが、これでヒカセンは8/14ってことですかね。ほかの世界にもいるんだろうか...。
キャラクター:エメトセルクについて
この人…FF大投票で6位をかっさらっていった男。アシエン・エメトセルク。FFでは割と珍しいタイプの、敵側の事情をどんどんネタばらしをしてくれて、敵にも戦う理由があるというものを提示してくれるタイプのキャラでした。歴代のFFのラスボスって、相手側にも事情があるということは提示されますが、主人公側と対峙するときは割とどうしようもなく敵対していて、相手にも思いがあるもんな…みたいな同情心をあまり抱かせないような作りが多いかなと思います。
FF7のセフィロスも本編の段階ではもう狂人になってるから話し合えないですし、個人的にはドラクエのラスボスの方が、そういう敵側の裏事情を明かしてるパターンが多いかな?と思います。ピサロとか。
で、彼なんですけど、実は私、彼がFF大投票で6位になるほどの思いを抱けませんでした…。何故かと言うと、彼のセリフや選択肢、クエストマークがない時も逐一話しかけて彼の言葉も聞いてたんですけど、彼が健在である間はずっとずっとヒカセンたちのことを「なりそこない」って言って見下してたからなんですよね。対等な立場として扱ってくれてない。
漆黒のストーリーを進めていくと、なぜエメトセルクが一貫してこっちを見下す言動をしていたかもわかるんです。ですけど、ちょっとそれが過剰と言うか。ヒカセン側に歩み寄ろうとしてくれたのは分かるんですけど、それにしても人当たりが悪いんですよ。
古代人目線だと、ヒカセンたちが欠けてる不完全な存在なのは分かります。でも画面の向こうでプレイしている私には感情があるので、ずっとずっと見下されてるとどんな理由があったってヘイトが溜まるんですよね…。そういう点で、5.0プレイ中は特に彼のことを好きになり切れませんでした。
むしろ彼…エメトセルクについて想いを馳せるのは、彼がいなくなってからが本番でした。サブクエストをこなすためにアーモロートに行くと、でっかい古代人の幻影が歩いている中、たった一人、ガレアン人の外見で歩いていた彼を思い出しましたし、極めつけは5.3でのWol戦でした。
ソル帝の姿ではなく、古代人のハーデスとしてアゼムを助けに来てくれたのかなと思ったら流石に涙がにじみました。サンクレッドとリーンを見て、愛情くだらないみたいな事を言ってたくせに、一番愛情だの友情だのを大切にしてる激情家なのはハーデスお前じゃい!!
非常に「エモい」男だったし、彼についてはまだ考察できる部分もあると思うんですが、やっぱりそんなに好きになり切れませんでした…すまん。嫌いなわけじゃないんですが。
やっぱり普段からの言動や扱いって大事なんだよ(ピアシングタロン)。
それはそれとして、エメトセルク側に同情して、彼につきたいタイプのヒカセンもいたんじゃないでしょうか。ただこれ、王道を往くファイナルファンタジーなので、闇堕ちするわけないんですよね…。プレイヤーは主人公の思考に殆ど介入できないんだよね…。
その他キャラクターについて
漆黒では、第一世界という滅びかけている世界観だからか、どことなく達観していたり諦めているようなキャラも多かったような気がします。それでも全体的に前向きな人の多いクリスタリウムはとても素敵な場所でした。ここにいる人たちは世界を諦めていないというだけで、ヒカセンがヤミセンとなって戦う意味を見出しやすくてモチベーション的にもありがたかったです。
ユールモアなんかは完全に逆で、退廃的に滅んでいく末期みたいな街でした。ここからどうやってみんなを前向きにするんだろう...って思っていたので、ヴァウスリーがいなくなってからからの右往左往は非常に見ごたえがありました。今までのユールモアを象徴しているルー・リークの両親はもうダメですが、これからのユールモアを象徴するようなチャイ夫妻が、可愛くて本当に好きでした。何だかんだで前向きな夫妻なので本当に応援しました。困難に立ち向かう姿はいつでも勇気をもらえるんで…。
ロールクエスト全種も実に見ごたえがありましたし、闇の王であるシルヴァについての事情もとても面白く読めました。
もしかしたら関係ないかもしれないんですけど、新生エオルゼアにおける砂の家襲撃前まで生存してたアバとオリ(アレンヴァルドを助けて死んでしまった二人です)の、シェーダーエレゼン女性であるオリが、シルヴァ(サイエラ)とめっちゃ似てるんですよね。もしかして原初世界ではオリだったのかな...?なんて勝手に思ってます。
こちらがオリ
で、こっちがサイエラ(=シルヴァ=闇の王)
おわりに
書きたいことの半分もかけていない気がしますが、非常に濃いストーリーで、ずっとずっと新生エオルゼアからの答え合わせをしているような気持ちでした。ここまでずっと頑張って戦士として歩んできてよかったと思えるパッチでした。
世界観の美しさもそうでしたが、FF14のヒカセンの秘密に迫るような内容も多かったおかげで、非常に求心力の高いシナリオだったとも思います。そのためにこの先のパッチ大丈夫かな…?ここまで自分たちを引っ張る話をかけるのかな??なんて勝手に心配していたりします。
ほんと、漆黒をクリアする前にありとあらゆるサブクエスト、アライアンスレイド、クロニクルクエスト、暗黒騎士のジョブクエストは受けておいた方がいいと言ってくれた人には感謝しかありません。
ただ、新生~紅蓮まではゲームを初めてから1ヶ月半で駆け抜けていましたが、漆黒のストーリーを進めるのはいろいろクリアしてからだ!って縛りを追加して、更にロールクエスト4種も同時進行するんじゃい!って決めたので非常に時間がかかりました...。いろいろクリアしたうえで漆黒5.0クリアまでで3ヶ月弱かかったんじゃないかな…?
まあ今となれば、5.0クリアから4か月で5.5まで行って、その間もFF14のプレイ頻度がほとんど落ちていないので、自分にあったゲームと出会えたんだな、私はすごく幸せだな、と改めて思うのです。
さて、5.55を待ちながら全然やってないDPSやギャザクラのレベリングもしないとですね…。やることはまだまだいっぱいある!
どこかで会えたらよろしくお願いします。
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