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本の事。

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大事な事はいつもこの中にある。 随分前に書いた物も改めて記録。 読みたくなる本に出会ってもらえたら嬉しいな。
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#書評

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

多崎つくるは、高校時代に信頼を築き上げた大切な4人の友人から大学に入り突然、絶交を言い渡された。 突然の宣告に彼は深く傷付き、なぜ拒絶されたのかを確かめられないまま、年月だけが過ぎていく。 それでも、心の傷を隠して自分なりの人生を全うしてきたつくるだったが、36歳になったつくるは、ある女性と出会ったことで、固く閉ざした過去の蓋を開けることを決意したのだった_。 私、村上春樹さんの小説は、実は読んだことがなくて、、、 ただ、興味が惹かれたタイトルと“ハルキスト”と呼ばれる理由

温かさは、あたりまえの会話にある

『西の魔女が死んだ』 屋根裏部屋がある三角屋根の小さなお家。 サンルームの1畳程のおばあちゃんの台所。 摘みたてのミントティー。 ルビーのような野いちごの絨毯。 ラベンダーの香りが広がる庭には足踏みタライで洗ったシーツがキラキラとした空気に包まれている。 植物の匂いだとか、ジャムの味、おばあちゃんの言葉の優しさだとか、行動が、本物に触れてるように感じ心を軽く柔らかくしてくれました。 『おばあちゃん、大好き』 『アイ ノウ』 こんな、包容力と安心感ある返事。。。 暖かく

本が与えてくれるもの。

書評集-小泉今日子- 2005年から2014年の10年間、読売新聞の書評欄に掲載された小泉今日子さんの書評97編を一冊の本にまとめたものですが、、、 . 前掲の文章の結びに 『、、、、読み返すとその時々の悩みや不安や関心を露呈してしまっているようで少し恥ずかしい。でも、生きることは恥ずかしいことなのだ。私は今日も元気に生きている。』 と、あります。 書評だけでなく、ちゃんと感情移入したキョンキョンの言葉もそこに綴られてあって、その文章が綺麗で切なくて、、、でも、妙に

女は自分の立ち位置に共感を求める

『永遠の途中』 対照的な人生を歩む、2人の女性の27歳から60歳になるまでの生き方を描いた話。 『いつの時代も、女は迷いながら生きている。揺れながら不安に包まれながら、それでも自分にふさわしい生き方を選びたいと必死に考えている。』(乃梨子の思い。) 今まで、女性向けの小説の類はほとんど読んでこなくて、、、 お勧めしてもらって読んだ唯川恵さん。 この人は、いったい、どんな人生を歩んできたんだろう。 なんでこんなに、女性の気持ちが代弁できるんだろ。 自分にすらわからな