お空に帰っていった3人目
9月中旬から感じ始めた吐き気は、昨日あたりから少しだけ軽くなった。でも、心はどこかどんよりしている。
3人目の妊娠が発覚したのが9月下旬。妊娠検査薬で陽性が出れば99%の確率で妊娠している。過去に見覚えのある吐き気と生理が遅れていることで、だいたい自分の体に何が起きているか予想はついた。
正直、計画的な妊娠ではなかった。だから少しだけ妊娠検査薬を使用するのを躊躇したのも事実。
検査結果は、くっきり2本線が浮かびあがり「陽性」だった。
検査結果は’’流産’’心拍は確認されず
8周目でやっと病院へ。
つわり症状は続いていたけれど、お腹の赤ちゃんの心拍は確認されず「おそらく流産でしょう。又1週間後に来て下さい」と。先生の口調があまりに淡々としていて、ビックリしてしまったと同時に正直、一瞬ホッとしてしまった。それは、望んだ妊娠ではなかったから、というのが大きい。
実は、長女を授かる前に一度流産している。だから、今回の流産は2回目。前回の流産は8週で心拍がハッキリ確認できず、2週間後の健診の予約を待たずに「完全流産」になった。子宮がえぐりとられる様な痛みと冷汗で、天井がグルグル回っていたのを思い出す。もう少しで失神するかという痛みは、人生初だった。
正直、流産の痛みは自然分娩の痛みの10倍くらい痛かった。
手術?自然に流れるのを待つか?
1度目の健診で「流産でしょう」と言われ、2回目の健診で繋留流産が確定された。迷った末に、赤ちゃんを取り出す手術をすることを決意した。
でも、やっぱり......
3回目の健診で、赤ちゃんのエコー写真をもっているママをみて、何とも言えない悲しい気持ちになった。望んではいなかった3人目とはいえ、産まれてこれなかった命を思うとやっぱり悲しいのだ。
「産まれてたら、どんな顔をした赤ちゃんだっただろう」
「3人いたらどんな兄弟or姉妹になっていたかな?」
そんなことを想像したのも束の間’’流産手術を受ける’’と決めたあたりから吐き気がだいぶ緩和してきた。「まだお腹の中にいるけど、もういないんだな」と、一人寂しい気持ちになってしまった。
正直、たとえお腹の中で生きていないとしても、自然に流れるのを待ち痛みを感じることで「お腹の中にいたんだ、という感覚を最後に感じたい」とも思った。
しかし、2人の子供を抱えながら1度目の流産の痛みがきたら、日常生活もままならない。仕方ない、手術を決めたからには受け入れるしかない。
何度経験してもつわりは辛い
つわりは人生でそう何度も経験できるものではない。今回の妊娠を合わせて5回目のつわり。
吐き気を感じ始めてから、約1カ月間。つわりは何度経験しても辛い。かろうじてパートをこなしてはいたけど、パートのない日は、日中集中力が続かず布団で横になっていた。とにかく気持ちが悪くて、頭痛がひどく寒気もあった。
フルタイム勤務&育児しながら妊娠生活を送っている妊婦さん、本当に尊敬する。とはいえ、かくいう私も次女を妊娠していた時は育児をしながらフルタイムで仕事もしていたし、妊娠7ヶ月の時に引っ越しもしている。
でも、2人目の妊娠中のことはほとんど覚えていない。
「喉元すぎれば熱さ忘れる」という諺にもあるように、辛いことはその後の嬉しい出来事で帳消しになるものなのかもしれない。
つわりもあったと思うけど、ほとんど覚えていない。次女の妊娠中、長女はまだ1歳とちょっと。長女のお世話で、胎動の感覚もほとんど覚えていない。
ほとんど覚えていないことだらけだ。
きっと3人目が生まれていたら、辛い時期のことは何も覚えてないくて、目の前の小さな命に感動していたに違いない。
実は今、姉が妊娠8カ月。次女が姉の大きなお腹をさわり「赤ちゃんいる!」と。その後、私のお腹をさわり「赤ちゃんいるの?」と聞いてきた。
返答に困ったが「赤ちゃんはお空に帰っていったよ。又来るかな~?」と答えた。次女は気が付いていたのかもしれない。
手術まであと数日だ。
流産手術後の心境
看護師さんが全身麻酔の針を右腕に入れ、10秒間一緒に数えた後のことは何も覚えていない。
「1,2,3,4,5,6,7,8,9,10......」
麻酔から覚めた後、手術室の天井がぼやけてみえた。
術後、2時間眠り続けていたらしい。目を開けた瞬間、吐き気がしたけどお腹の痛みはほとんどない。目覚めた時の気持ち悪さは、朝から絶食・絶飲でお腹が空いていたせいもあるかもしれない。
それにしても、
長女と次女を産んだ病院で流産手術をするのは、けっこう辛いものがあった。部屋は違えど分娩台の色は一緒で、出産した時の情景がフラッシュバックした。でも、見覚えのある助産師さんが2人いて、安心感はあった。
「2人子供がいるし、3人目がダメだったのは仕方ない」
そう思って流産手術をする心の準備はできていたはずなのに......やっぱり悲しいのだ。’’悲しい’’と思う気持ちが自然とこみあげてきた。涙があふれ出てきて、大泣きしたい気持ちになった。
そして、まるで線を引いたかのように、手術の次の日から吐き気がピタリとなくなった。わずか数ミリの小さいミジンコみたいな受精卵が、こんなにも自分の体に大変革を起こしていたのか、としみじみ思った。
さいごに
次女を産んだあと「もう妊娠をすることはないだろう」と、思っていた。
なかなか子供ができず、長女を授かるのに3年近くかかった。だからなおさら「子供ができることは奇跡に近いことだ」と、今でも思っている。
「子供は授かりもの」というけど、本当にそう思う。欲しい時にはなかなかやってこない。お腹に宿るタイミングを見計らっているし、居心地が悪ければ帰ってしまう。
昔、夫の家族に会いにマルティニーク島に行った時、江原さんの様にオーラや過去、未来を感じ取れる女の人に鑑定してもらったことがる。
ちょうど一人目を流産した後だった私達にその女性は、
「もっと丈夫な体がよかったみたいね。でも今、2つの魂があなたの頭の周りをグルグルまわっているわよ。一人はすぐそこにいて、年が明ける前にやってくるわよ。もう一人はもうちょっと先ね」
そして、その女性の言う通り、長女は年が明ける前の11月にやって来た。日本に帰国後、夫は解雇を言い渡され、私も転職が決まった直後の微妙なタイミングだった。
その女性の予言には、3人目の魂は見えていなかった。だからこそ、私は「もしかしたら、この子は何かを伝えにきてくれたのかもしれない」と思うようになった。
3人目の魂が何を伝えにきてくれたかは、今はまだわからない。ただ一つ、言えることは「子供が無事に生まれてきてくれるのは奇跡に近い」ということだ。
3人目の魂に感謝して、産まれてきてくれた長女と次女に、これまで以上の愛情をもって育てていこうと思う。
流産の体験をまとめた記事はこちらです↓
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