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うそやんなあ?!
週に3回は10000歩目指してウォーキングしている今日この頃。
今日は友達も誘って歩いた。
色んな話をしながら歩くとどんどん歩けてしまうから楽しい。
街路樹のある道を歩いてると、前方のイチョウの木から沢山のムクドリの鳴き声がしてきたので、鳥嫌いの私たちは思わず普段は通らない道を曲がった、
道を曲がるや否や、誰かが怒ってる大きな声が耳に入ってきた。近づいてみると、老夫婦が何やら道ばたで言い合いをしている。
明らかに尋常ではないご様子。
落ちたお婆さんの杖をお爺さんが拾おうとしているけど、儘ならなくてお婆さんも怒り心頭。「あんたがこんなところで休憩しようと言うからこんなことになってしもた!」
思わず私たちは「どうされましたか?」と声をかけた。
話を聞いてみると、買い物に出かけたが二人共足腰が弱っていて、おまけにお婆さんは目が殆ど見えていないのだと仰る。
この場所で休憩しようとお爺さんが言うので、この砂利(建築現場)に足を踏み入れた途端にこけて顔面を強打したのだとか。
ご自宅の場所を聞くと、私たちの足だとほんの2.3分の距離だ。
その距離を何度も休憩しながら。
お二人のスーパーの袋を持ち上げて驚いた。
到底老人が、ましてやこのヨボヨボの二人が持てるような重さではない。
私たちが荷物運ぶので一緒に行きましょうと、お婆さんの手を取って歩き始めた。
しかしながら1メーター進むのに1分くらいかかる。
次の予定があるけれどこれは緊急事態、仕方がない。
歩いてる間もずーっと2人は言い合いをしている。
御歳86歳と84歳。
これもコミュニケーションの形なのか。
ご自宅がもうすぐそこに見えているのに、お爺さんは休憩すると言ってまた花壇のブロックに腰掛けた。
お婆さんにも休憩するぞと促し、文句を言いながら仕方なくお婆さんもそこに座る。
これでは埒があかないので、家から車を持ってこようかと考えてたその時、私たちの様子を見ながら歩いて通り過ぎる人がいた。
「あれ?久しぶり!」という彼女は昔からの私たちの知り合い女子。
事情を話すと、家が近い彼女が車を取りに行ってすぐに来てくれるという。
ほんの50メートルの距離車に乗せてもらって、ご夫婦をお家に送り届けた。
彼女が登場しなければ、この距離もきっと1時間はかかってた。
本当に私たちが出会ったさっきの場所まで、スーパーから何時間かかったのだろう。どうやって荷物を持って歩いたのかはもはやカオス。
事件が解決して、思わず帰り道で顔を見合わせて2人で吹き出した。
「いったい私ら何を見せられてんの?!」
この出来過ぎのシチュエーションがおかしくて笑いが止まらなくなった。
あの時鳥の声がしなければ、あの道を曲がらなければ、老夫婦がけんかしてなければ、気にも留めないできっと通り過ぎてた。
暫くぶりの知人が、あの誰も通ってない道を通ったのも出来過ぎている。
絶対明日見に行ったらあの家はきっと空き地。近所の人に尋ねても「そんなご夫婦いませんよ」と言われて青くなる私たち。
そして私たちが将来死んだ時に、きっとあのご夫婦が登場して、ピロロローンと老人の着ぐるみを脱いで『あなたたち、よくぞ私たちを助けましたね』と神様として出てくるのだ。
人生は時に、小説より奇なり。
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