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フクロウとの生活2020年3月①

 朝、5時に目覚ましが鳴り二階のリビングに上がる。照明をつけると、キョロキョロと頭を動かしながら飛びたそうにしているフクロウ。繋留を外すと真っ先にテレビの上に移動し、その後北東のコーナー南西のコーナーの止まり木に移動し、最終的にキッチンの冷蔵庫近くの棚に止まり、餌鳴きを始める。冷蔵庫から解凍した餌を取り出し、リビングに移動して食事を与える。食事後フクロウは飛び回る。その姿を横目に私はソファで二度寝をする。再度6時半頃目が覚めると窓際で太陽が完全に上がった空を見つめながらうつらうつらしているフクロウがいる。2020年3月、ある1日の話である。

 フクロウに出会った。2019年10月に人生で初めてフクロウカフェに行った。フクロウと触れ合い、あらゆる要素が詰め込まれた生態に魅了された。フクロウは猛禽類であり、鳥類のピラミッド構造の中でもトップにいる鳥である。獰猛なイメージを持つが、普段はあまり動かず止まり木に何時間も留まる。フクロウカフェには鷹やチョウゲンボウ、ハヤブサも含め15羽ほどいた。中でも窓際の外からよく見える位置に繋留されていた1羽のフクロウが気になった。帰宅後SNSでフクロウカフェのことを調べていたら、そのフクロウの里親を募集していることを知った。すぐに問い合わせて話を聞いた。フクロウの種はアフリカオオコノハズク。フクロウの中でも小型に分類されている。耳のような羽角がついており、目は透き通ったオレンジ色。輪郭にそって生えている黒い毛は可愛さをぐっとアップさせる。口の周りにはヒゲのような毛。灰色のマントをまとったそのフクロウは、2回目に会った時も窓際におりじっと外を見ていた。一体何を一生懸命見ているのだろう、このフクロウのことをもっと知りたくなった。

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 フクロウを迎えた。2019年12月アフリカオオコノハズクの里親になった。同年9月に1軒屋を購入した私はペットを飼いたいとずっと思っていた。一目惚れ、里親募集、色々なことが重なり、フクロウを飼うことを決意し迎えたのだ。家の窓から見える風景をこの子に見せてあげたい、その思いが強かった。フクロウの名前はアモ。前の飼い主さんがつけた名前、どうやら天羽と書いてアモと呼ぶらしい。名前は引き継ぎ、アモをあもとひらがなで表現することにした。

 朝、8時仕事に行くためあもを止まり木に移動し繋留させる。繋留する場所は窓際に位置するテーブルの上。外を観察することが好きなあものためにこの場所にした。夜行性なので日が上がると大人しくなり繋留してもあまり動かずボーッとしている。監視カメラをセッティングして完了。行ってきます。

 あもを家に連れ帰った初日、緊張や不安があったため、リーシュを短くして止まり木に繋留していた。フクロウの独特な動きをご存知だろうか。まるで周りの世界を3Dスキャンするかのように機械的に動く首、首は270度回すことができる。新しい場所で情報処理に追われるあもは時々飛び立とうとするけど繋留しているため飛ぶことはできない。私は不安のため同室(リビングのソファ)で一晩過ごした。一晩中ガサガサ動いていた。羽ばたく音も聞こえた。

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 翌日の朝、あもを窓際に移動させ一緒に日の出を見た。12月、日照時間の1番短い季節、朝日をじっと見つめるあもに引き込まれる。これから先何年一緒に生活していけるのだろう。病気や事故がなかったら15年以上生きられるそうだ。初めて一緒に生活する鳥類。大事に育てていかなければならない。あもを迎えるまでにたくさん本を読み、ネットで情報収集し、色々なフクロウカフェへ行き店主に飼育相談をした(現在もずっと行っている)。鳥類の幸せってなんだろう。そんなことを考えながら私はうつらうつらしていた。あもも眠そうな表情になっていた。夜行性だもの、そろそろお休みの時間だね。

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 昼、監視カメラに写るあもを確認する。トイレ休憩と称し1日に何度も見てしまうストーカー気質な飼い主。カメラに写るあもは大抵後ろ姿だけど、たまにカメラ側を向いている時は嬉しくて写真や動画を撮る。大抵寝ているが、起きている時は相変わらず羽繕いしたり、身体を脚で掻いたり、あくびをしたりくつろいでいる様子。時々鳥の鳴き声や飛行機の音に驚き身体を細めることもある(フクロウは外敵を見ると細くなる性質がある。木に擬態化しているのだ。逆に威嚇のため羽を広げ大きく見せることもある。本当に色々な姿を見ることができ面白い。)
 夜、19時帰宅。暗闇の中電気をつけるとこちらを見るあも。まだ繋留されているにも関わらず飛び立とうとする。はいはい、とリーシュを外す。飛び立つあも。夜も朝と同様真っ先にテレビの上に移動する。それから南と北の窓を交互に移動して外の見回りをしてくれる。そう、あもは我が家の自宅警備員なのだ。私はいそいそと餌の準備にとりかかる。気づいたあもはキッチンに来て肩に止まってつまみぐいしようとする。餌の準備が完了したので食べてもらう。至福のひとときである。食事が終了するとあもはお気に入りの止まり木に移動し、木に嘴を擦り付けてきれいにする。人間でいう歯磨きのような行動だ。その後眠そうな表情になり寝始める。

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