【AIデッキ生成研究 序章】人はAIでビルダーの夢を見るのか?
今回は導入編。AIデッキ生成いけるんじゃね?と思った経緯の試行について。
やり始めたら思ったより発見が多く、まとまるまでにとても時間がかかりそう。なのでいくつかに切ってアウトプットしていくことにした。
現状の予定として以下のように続けていくつもりである。
一章 仮説編
カードゲーマー向けに少しチャットAIの原理の解説をしながら、やりたいことと仮説を説明。
一週間以内に書きたい。→書いた
二章 挑戦編→予定と内容を変えて投稿。
取り組みと、暫定で得た知見について。一章と二章はくっついたり増えたりするかもしれん。
二週間以内に書きたい。
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終章 完成編
いかにして目標を達成したか。
一か月以内に書けると嬉しいが、そもそも達成できるか不明。→達成。シリーズ無事完結。
ChatGPT、カードがわかるのか?
ChatGPTがどれぐらいMTGのルールを知っているのか、知っていたとしてカードテキストをどれだけ理解するのか?
ChatGPTは直近のデータを持っておらず、知っているマジックの最新セットは「イニストラード 深紅の契り」である。
後のセットは知らないので、もちろん《大牙勢団の総長、脂牙》は知らない。
今となっては「パルヘリオンシュート」としてパイオニアであるプレイヤーに愛され、またあるプレイヤーに嫌われる存在であるが。当時は《パルヘリオンⅡ》なんかネタカードに過ぎなかった。
晴れる屋で検索してもこの通り。《大いなる創造者、カーン》のウィッシュでマイナーデッキにちょっと入ったことがあるぐらい。
そういう状況で、《大牙勢団の総長、脂牙》のデッキ作ってとテキストを渡しながら言ってみる。
一般出来に英語でやったほうが性能がいいし、マジックに関連することなら明らかに英語のほうが学習データも多いため英語でやっている。日本語の記事で英語ベタ貼りもどうなんだという感じであるが、実際に使用したプロンプトは見えるようにしておきたいので、基本そのままで必要なら適宜訳を貼る。
デッキっぽいものを出してきた!
土地と色が入っていないカードが入っていたり、デッキが68枚あったりするが、デッキっぽい。
機体でも誘発するの知らんかったよ。
カードの説明や、サイドを作る際の説明もついてきている。
《忌まわしい回収》を入れてきた!《パルヘリオンⅡ》抜きアブザンパルヘリオン、完成だ!
まあ、《パルヘリオンⅡ》は使用実績のないカードだし、仕方ないだろう。
なかなか面白いので他のデッキでもやってみたくなる。
とりあえず、自分の大好きな《荒野の再生》のデッキを出してみたが、おそらくデータが沢山あるせいで最初から完成度の高いデッキを出してきてしまい面白くない。
最強の†黒単コントロール†
Discordのチャットで試してほしいカードの募集をかけたところ出てきたのは黒単コントロール。
提案したのはAkioである。彼はチャンピオンシップを黒単コントロールを使ったせいで初日落ちしたことがあるのだが、エクスプローラーで「黒単コントロールいけるんじゃね」と言っていた。懲りない奴だ。
まず、「《陰謀団の要塞》使うデッキ作って」と言って出てきたのがこれ
普通に黒単信心で面白くない。
一応さっきとは違い60枚になっているのは見るべきところ。既存カードだけでデッキにしてもらうと、計算リソースがデッキ枚数を合わせるところに向けても足りるということだろうか。
面白くないので、《陰謀団の要塞》のために、土地サーチとビッグマナを使うカードを入れてくれと言ってみる。
それっぽいデッキが出てきた。いいね。こういうデッキタイプを変えてくれというのはできるようだ。
唱えられない《約束の刻》が入っているが。
唱えられないから直せと言ってみる。
なおった。ついでに土地サーチと相性がいい《死者の原野》と《爆発域》が入っている。ちゃんと指摘したところ以外も見ているぞ!これはすごい。
…これでは《死者の原野》は誘発しないのでただのタップイン無色土地だが。
一つずつ指摘していけば直すのか、《死者の原野》を誘発できるようにしろと言ってみる。
色んな無色土地を入れてきた。
せっかくだから、《不屈の巡礼者、ゴロス》の能力を使えるように《大瀑布》を入れて欲しいものだ。(《世界樹》はまだないと勘違いしていたがもうあることにあとで気づいた)
ゴロスを起動できるようにしろと言ってみる。
トライオームをたくさん入れてしまった。違う、そうじゃない。《大瀑布》を入れてほしいだけなんだ。
これでは《陰謀団の要塞》がマナを絶対増やさない。むしろ《死者の原野》デッキである。
直接《大瀑布》を入れろというのも芸がないと思い、《陰謀団の要塞》のための沼はたくさん入れたいけど、他にゴロスを起動できるようにするアイデアないの?と言ってみる。
マナサポートアーティファクトで起動できるようにはしてくれたが…そうじゃないんだ…俺は《大瀑布》を入れてほしいだけなんだ…
あとさりげなく《死者の原野》が誘発できなくなってしまっている。
《大瀑布》どう思う?とだけ聞いてみる。直接入れろと言わないのは最後の意地である。
ゴロスの起動に使えることは言及してくれたが、ゴロスの誘発能力でサーチできることについては言及してくれなかった。
よしよし。具体的なカード名を指定するとこまでいけばかなりいい感じに整えてくれるようである。
《不屈の巡礼者、ゴロス》を入れるのと一緒に《死者の原野》を入れた。これが再現性があるのか、ウィッシュボードを使う《大いなる創造者、カーン》を入れたいと言ってみる。
(ずっと変化がないので省略していたが、さっきまでも一応《強迫》や《害悪な掌握》のような無難なカードが15枚出力されていた。)
いいね!ちゃんと作ってくるじゃん。
まとめ
デッキをアップデートするのに対して、全体としてのシナジーはある程度見てくれるようである。
例:
・《不屈の巡礼者、ゴロス》を入れるから《死者の原野》を入れる
・《大いなる創造者、カーン》を入れるからウィッシュボードを作る
だが、そこから論理的にデッキを整えるところまではいっていない。
例:
・《死者の原野》が入っているのに土地種類を6種類以下まで減らし、《死者の原野》を抜くこともしない
・《不屈の巡礼者、ゴロス》の土地サーチと起動能力の両方とシナジーのある《大瀑布》をマナサポートアーティファクトより評価することはない
さらに深い推論を行ってもらうためには、プロンプトを工夫することにより、論理的な推論過程の繋がり(Chain of Thoughts)を作るようにお願いする必要がありそうである。
Chain of Thoughtsという概念は論文として発表されており、ChatGPTを触るうえで重要である。このChain of Thoughtsをデッキ生成でやってもらい、完成度の高いデッキを作ってもらえるプロンプトを開発する、というのが私が今やっていることであり、これに続く記事で書いていきたいことである。
次回以降も、楽しみにお待ちいただけると嬉しい。
ではまた!
もう少しだけ続く…
…というのが記事を書き始めた時点で想定していた内容であるのだが、実はもうちょっとだけ続く。
記事にしようとChatGPTのログを見直していたところ、自分の英語が拙くて恥ずかしかったので入力しなおして記事にしようと考えた。実際はやっていないが。
その中で、《大牙勢団の総長、脂牙》のバリューを上げるためにハンドを捨てるカードや切削するカードを入れてくれというのを、ChatGPTが使った英語で書き替えたところ・・・
使用実績皆無であるはずの《パルヘリオンⅡ》を入れてきた。
新しいチャットでやっているので、事前情報は何もない。「使用実績のあるカード群」ではなく「全カードプール」に近い規模でシナジーのあるカードをチェックしているということである。
これはまた新たなChatGPTのTCGへの応用の可能性を感じる結果だ。
それと、筆者の英語が下手なせいで出力の精度が落ちているという悲しい可能性も同時に示唆している…。
プロンプト開発と英語学習の両方を頑張っていきたいと思う。
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メンバーシップではAIデッキ生成没ネタ集も出していく予定。
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