見出し画像

ショーリンズロード(1985年:コナミ)

学生時代のアーケードゲームとの付き合い方は【遊ぶ30:見る70】ぐらいだった気がします。人気ゲームはみんな遊びたがるので待ち時間が発生します。順番がきてもゲームが下手な僕の番はすぐに終わり、そのうち手持ちのお金も尽きて、ギャラリーとして見てる時間の多かったかな。でも、ゲームセンターに来てるんだから待たずに別のゲームを遊ぶという選択肢もある。お小遣いも限られてるのでそんなにあれこれ遊べません。そこで遊ぶゲームを吟味します。ショーリンズロードは「どれで遊ぼうかな」と考えてる時によく選んで遊んだタイトルで、僕には大変思い出深い一本となっています。齢五十を過ぎ、衰えの激しい僕では昔のように遊べないのではという不安を抱えつつ、アーケードアーカイブスで配信されたショーリンズロードを購入し、数十年ぶりに遊びます。

よかった、一周はできた。

ショーリンズロードは、レバーにジャンプと攻撃ボタンのみというシンプルな操作で、規定数の敵を倒すとステージクリアというこれまたシンプルなゲームです。ステージが3ラインほどに分かれててレバー上下で行き来しつつ、攻撃当ててクリア目指します。ステージは2面1セットで、1ターン目は雑魚のみ。クリアすると同じステージでもう1ターン。ここでボスが登場。ボスは5回攻撃当てると倒せまして、ボスを含めたすべての敵を倒すと次のステージへ。ボスは5人いて、最後のボスを倒すとまた最初のステージに戻ってきてループする仕様。普通に攻撃を当てると200点。ジャンプしながら(上下移動も含みます)攻撃当てると500点。2対同時に仕留めると1000点。またこの当時にしては珍しく1発アウトではなく3発ダメージ喰らうと1ミスになる仕様でクリア時に残ったライフに応じて追加ボーナスが加算。そのあたりを意識しながらハイスコア目指すゲームです。1985年のゲームで、改めて遊んでみるとボスも出るし舞台となる背景などグラフィックも頑張ってる気がするんですが、コナミの同期ではツインビーにグラディウス。他にもカプコンからは戦場の狼や魔界村、タイトーからは影の伝説、ナムコはドラゴンバスターやメトロクロス、セガからはスペースハリアーと、ビデオゲーム史に燦然と輝く作品と比べると若干地味な感じが否めなません。ファミコンにも移植されてませんし、アケアカで配信されるまでこんな作品があるなんて知らなかった人も多いんじゃないかと思います。グラディウスのような仕様のゲームチェンジャーにビデオゲーム史のオーパーツであるスペハリが同期だと、多少の頑張りでは歴史に名を刻めませんので、ちょっとかわいそうな気もします。

そんな作品がどうして思い出の作品かと言いますと、この作品、当時のビデオゲームの難易度を考えると、相当お客さんにやさしい難易度でした。一発アウトなゲームが多い中、前述のとおり3発喰らうまでミスにならない親切仕様。ダメージ喰らっても次のステージではダメージリセットされてまた3発喰らうまでミスにならない。ステージが進むと敵も飛び道具使ったりジャンプ攻撃や体当たりしてきたり、2周目からは鳥も登場して上からもの落としてきたりするものの、ちょっとコツを掴めば対処がしやすい。制限時間がないことも大きかった。慌てず対処する余裕も生まれます。お客さんから小銭毟り取るのがお仕事のビデオゲームとしては、とてもお客さんにやさしいゲームだったと思います。ゆえに、いつまでも遊べちゃう、ゲームが下手だったぼくでもけっこう粘れる貴重なゲームだったもので、よく遊んでました。

加えて、ショーリンズロードについては思い出深いことがもうひとつ。ゲームが下手な僕が、人にプレイを譲ったことのある数少ないゲームでした。アーケードゲーム初期のゲームは延々とループする仕様のものも多く、うまい人は延々と遊ぶことが可能でした。で、時折ゲームがめちゃくちゃ上手いお兄さんから「用事あるけん続きやっていいよ」と譲られることがありました。この『ゲームプレイを譲ってもらう』という行為は、ゲームセンターならではの体験として、印象に残る出来事のひとつとなっています。人に譲れるうまいプレイヤーってのはかっこよかったですね。多くの場合は周回重ねて難易度上がった状態で譲ってもらうので、大量にストックされた残機をみるみる減らしてゲームオーバーを迎えるわけですが、それもまたいい思い出です。で、ショーリンズロードは、後ろで眺めてた子供たちに「続きやる?」と譲ったことのある、譲る側の体験をさせてくれた、大変思い出深い作品として記憶に残っているのでした。

僕がビデオゲームの思い出を語る上ではけっこう外せない作品です。1980年代前半のリー・リンチェイの「少林寺」やジャッキー・チェンのカンフー映画の流行が内容に反映されたゲームですからビデオゲームと風俗史の関係性読み解く上では結構重要なゲームかもと思いつつ、2周目で登場した鳥に対処できずゲームオーバー。今の僕だと人に譲るのは無理そうです。


サポート頂いたものは概ねゲーム会社に回ると思います