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言えなかったひと言

とあるスタバで注文していた時のこと
レジで待っていると、カウンターに小さな落とし物を見つけた
かわいいキャラクターのストラップだろうか、本体から落ちたもののようだ
店員さんに預けて、席に着いた

隣の席にはアラサーとおぼしき女子が二人、楽しそうに話していた
距離が近いので内容がほぼ聞こえてくる
一人は讃岐弁を話しているようだ

二人が帰り支度を始めた時、讃岐弁の女子が何か探し物を始めたようだ
聞こえてくる会話によると、どうやら失くしたのは、さっき自分がお店に預けたストラップのように思えてきた
そして讃岐弁女子は、店内で失くしたのではなく、どこかで落としたか、盗られたと思っているようで、落胆しつつも店員さんに聞こうとする様子はなかった

僕は声を掛けようかと思ったが、何と声をかけたらいいのか迷ってしまった
元々突発事象と、臨機応変な対応が苦手である
そして、もし違っていたら恥ずかしいとか、アラフィフのおっさんが、女子ふたりの会話をくまなく聞いていたなんて、気持ち悪い奴と思われるのではないかと、すっかり怖気づいてしまい、そのまま押し黙ってしまった
そして帰り際に、お店の人に聞いてくれないかなと、情けない希望を託すのみであった

結局讃岐弁女子は、お店の人に尋ねることはなく、二人はそのまま帰ってしまった
そしてまもなく閉店時間となり、僕は落とした本人でもないのに、すっかりがっかりして家に帰った

とっさに何と声を掛ければ良かったのか。
風呂に入りながら事後練習(?)してみたりもした
「あの、違ってるかも知れませんけど」なんて。

こういうのを「後のカーニバル」と言うのだろう

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