18 PERFECT DAYS
映画「PERFECT DAYS」を観てきました。
静かな映画です。
主演の役所広司さんが、話さずとも表情ひとつで表現するので目が離せず、あっという間に終わってしまいました。
昭和から時が止まったかのような、主人公の暮らし。
毎日同じことを繰り返します。
少なくとも10年は同じように暮らしていそうです。
それが主人公にとって大事なことなんだな、と
観ているうちにわかります。
ちょうど昨日お客さん達と、時代の価値観が昭和から急激に変化していて、もはや令和は全く違う世の中になった、というようなことを話していたのです。
(参照はテレビドラマ・不適切にもほどがある をどうぞ 笑)
この映画での昭和感は、それとはまた違っていて、主人公は価値観をアップデートしていないわけではなく、自分が好きで心地よい暮らしを選んで、そうしているのがよくわかるのです。
おそらく昔に、金銭的に豊かであることが一番の幸せ、とする生き方を辞めるような出来事があったのか…
そういう価値観なんですね。時代は関係なく。
毎日粛々と、でも静かな情熱を持って、プロフェッショナルにトイレ清掃の仕事をしている。
自分の力を使って仕事をして、人に喜んでもらうことで、自分も幸せを感じる、ということをちゃんとしています。
木漏れ日の光と影は、私は陰陽のことを表すような気がしていて。
影も受け入れ、ありがたく思い、
季節の移り変わりに目を細め、
日々のアクシデントや、袖振り合う人たちから得たことを、感じ味わっている。
これはあれですよ、「いとをかし」の心ですよ。
でもどこか、主人公の生活が行のように見えるのは、俗世のあれこれ、人間ドラマが渦巻く世界に生きるのをやめたから。
余分なものを削ぎ落とし、ただ自分にできることをやり、今に集中する。
そんな境地に、死ぬまでにはなってみたいものです。
観てよかった。とても良き映画でした。
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