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岐阜新聞 素描 第五話『異なるものにすぐ手が届く仕事場』 2022年11月30日(水)掲載

2013年10月にHUBGUJOを結成した。
(結成時は自分を含めて3人だった)

それから一年、
自分たちがすぐできること、
思いつくこと、
やりたいことを続けるうちに、
何をすべきか、
輪郭がはっきりしていった。

『コワーキングスペースをつくりたい』という思いを持って
活動を始めてはいたが、
何となく『すぐにできること』とは思えていなかった。

コワーキングスペースという場所は、
2012年ごろから東京にちらほら生まれ始めていたが、
『東京だからできること』という先入観もあったのだろう。
それでも、場所を探さない限り何も始まらないだろうと思い、
仲間と一緒に空き家を何軒も見て回ってはいた。

パッと思い出せるだけで10軒、
郡上の町中、里山を問わず、
民家、公共施設など、誰も使わなくなった建物ばかり。
ただ、ピンとくるものがなく、過ぎていった。ここに居たいと、そう思えなかっただけのことだが。

そんな頃、
2014年の秋に、
徳島県神山町にある
『神山バレー・サテライトオフィス・コンプレックス』を訪れた。

そこで確信めいた感情が湧いた。
『やっぱり、郡上にこそコワーキングスペースが必要なんだ』と。

そう思いながら郡上に帰った直後、
昭和16年に建設された、
今や廃屋となった元紡績工場の建物が候補に上がった。

最初、覗きに行った時は中に入れず、
外観だけしか見れなかった。
なぜか燻る思いが残るので、
いろんな人に聞いてもらって、
持ち主を探し当てた。

そして、とうとう、
中に入ることができた。
入ってみると、
すぐに心は決まっていた。

ここなら何かが始まる。
そう直感していた。

何を準備するべきなのかも、
考えなくても
簡単にひらめくことばかりだった。

岐阜新聞 素描 2022年11月30日(水)掲載  第五話『異なるものにすぐ手が届く仕事場』


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