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LIVEに行った話

2月にあるアーティストのライブへ行った。2年前にもっと大きな規模でのライブに行く予定だったのだがコロナのため中止になり、規模は小さいがやっとライブ開催の運びとなったのだ。

友人がそのアーティストが好きで、私もおすすめされたものを聴いたり見たりし始め、そのアーティストの作る曲のストレートさが『なかなかいいな』と思い再度友人からのお誘いでライブ参加となった。

席が前から8番目の右端で前からもよく見えるしアーティストが縦横無尽に走り回って右端に来た時など目の前でその姿を見ることが出来てめちゃくちゃテンションの上がるライブだった。友人は興奮のるつぼとなり、私も恥ずかしながらスタンディングでずっと体を動かしたり拍手をしたり手を振ったりして(2時間立ちっぱなしは後で腰に来る…😭)コロナ以降、久しく無かった感覚を味わうことが出来た。

ただ・・・私の隣の席に多分一人で来ている若者がいたのだが、彼はライブ中ずっと直立不動の姿勢で、けしてリズムに乗ることなく、あくまでも淡々と前を向き続けていた・・辛うじて立ちスタイルは維持しつつもけして動かない彼の横で、私は若干の遠慮をしつつリズムに乗っていたわけだが

青年!君はなぜ動かないのだ?おばちゃんだってノリノリなんだぜぃ?

などと、こころの中で話しかけたりしてライブの興奮のうちにも隣の若者への関心を保ち続けるという、我ながらなかなか器用な試みだった。

そしてその若者はライブの休憩時間になると周囲の喧騒をよそにひとり静かに本開いて読み始めた。

That's my style!


それもまた私の関心を強く引いたのである。何を読んでいるのですか?と話しかけるのをグッと堪え(やばいおばちゃんになるところ)横目で本を盗み見たりして(結局分からなかった)その若者と休憩時間を勝手に共有していた。

ライブ後半も彼の信念は揺らぐことなく直立不動スタイルを貫き通し、めでたくライブが終了となったのだが私は退場の際にもずっと彼の姿を目で追って、このライブの想い出は多分彼によって彩られるなと予感した。

実は違うテーマで書こうとしていたのだが…不動明王な若者が鮮明に蘇ってきた。予感は当たる。

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