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さいごのよわむし


皮を剥ぐ
剥ぎ取った皮を見る
私を支配してきた醜い皮だ

私が纏うとき
その皮は酷く醜い
しかし、剥がしてしまえばそれほどとは思わない
私とは別のものだと分かれば
なんと愛しいことか

その愛情はいずれ無関心と同じになる

愛していられなくていい
ただ無関心になれたら

私の一部だと思うから醜くて憎いのだ
私だから醜い


この皮は

勝手に私を置いて行った
さんざん、自分よりも低いところに私を押し込んで

剥ぎ取るための刃はいつでも私自身に向けた
誰も悪くない
可哀想なんだよ
悪いのは私だけ
私だけが悪い

私が生まれたから悪い
私さえ生まれなければよかった

この皮は
孤独の姿をしている
私は知っているよ、あなたが孤独であったことを
私は知らない、あなたが本当に孤独であったか

だって私がいるでしょう
憎しみの全てを代わりに飲み込んでくれる私がいるでしょう

寂しければ優しくして
憎ければ息をするなと詰る
簡単でいいですね
何でも言うことを聞いて、何も思い通りにならない
私が
悪いんでしょうね
ただただ、私だけが悪いんでしょうね

この皮が含んでいる憎しみを
私は
怖ろしくて見ないようにしてきた
だけど時々
私の皮が
私を支配したものに
そっくりな動きをする

この皮を剥がしたら
私も消えてしまうだろうか
皮を剥がしたところで
魂にまで染みついて
結局変わらないのではないか

怖い 怖い

だけど、私は、この皮を脱ぎ捨てたい


皮を剥ぐ
痛みがあるだろう
それとも
意外なほど簡単かもしれない

私の方が執着しているなんて
思われるのはつまらない
でも、愛しているのは私だけなんでしょう

あなたの愛が無くても生きられるから
この皮を
私は置いて行くよ

今度こそ

今度こそ

これが
最後の弱音になるように



(もう大丈夫だってわかってる)

(最後にならなくてもいいよ。)


恐れ入ります。「まだない」です。 ここまで読んでくださって、ありがとうございます。 サポート、ありがとうございます。本当に嬉しいです。 続けてゆくことがお返しの意味になれば、と思います。 わたしのnoteを開いてくれてありがとう。 また見てもらえるよう、がんばります。