あわい

君を蝕む
君は「おれ」たちを補って
けれど、いつだってきれいだ
何故「おれ」たちがいるんだろう
君はいつだってきれいだ
君はその肉を
その瞳を、その情景を、「おれ」たちに与え
それなのにいつもきれいだ
「そんなこと言うな」とさえ言わずに
君が君でいるから
「おれ」たちは
醜いものにさえなれずに
美しく君と生きることしか選べない

ほんとうは
「おれ」たちが在るのみで
「君」なんか存在しないんじゃないかと

愛だなんて、そんなもの　「おれ」たちは君しか知らない

「おれ」たちは何故「おれたち」なんだ？
君は「おれたち」ひとりひとりの名を呼ぶのに
いざなうように
まどわすように
君はひとりひとりを見るのに
「おれ」たちが、「おれ」になることは、禁じられてはいない
けれど

けれど、「おれ」たちは
扉を開けてしまったから
もう、もどれない
もとにはもどれない

君は君を失いたいんだろう
けれど、「おれたち」は君を失っても、在るのだろうか
「おれたち」で在るのだろうか

失わないで、君はきれいだ
うしなわないで

（Instagram /ノツさん）