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しなやかで、やわらかくて、あたたかい

命をもらって生きていると感じる。
温かい食べ物がおいしいと感じる自分は、生き物だと思う。
野菜の甘みが好きだ。植物はいい、大地を感じる。土を触ると落ち着く。
豆がおいしいと思う、大豆を戻して食べる。カレーにして食べる、米と炊いて食べる。豆腐が好きだ。厚揚げ。がんもどき。揚げ出し豆腐。豆乳を温めて飲むとおいしい。
でも、牛乳も飲む、牛乳はいい。元気が出る。ヨーグルトを使った料理は何でもおいしくなる。
卵も好きだ。とても好き。溶いて火を通した卵。ゆで卵もおいしい。カレーに黄身を混ぜる食べ方がおいしい。
肉に対してはやや消極的だが、不足していると体力が落ちる。食べれば「必要としている」と感じる。
魚はごちそうだと思う、本当においしい。
卵を抱えた魚が、胸にひときわ強い骨を持っていた。たくましくて美しい。おいしくて本当に立派だ。可食部を余さず頂く。本当においしい。立派だ。

分けてくれてありがとう。譲ってくれてありがとう。

自分はきっと、そんなに美しくてたくましい肉となって、なにかに食べてもらえはしない。
土に還れたらと思う、蒸発するように無に還れたらと思う。
ヒトである身で他者においしく食べてもらうというのは限りなく難しい。せめて、もらった命を生き抜くことぐらいしかできないのだ。
ちゃんと歩み切らなければ、「そこ」に至ることはできないんだよ。

だけどわたしは「おいしい」と感じることができる。
命をもらうことに、愛を抱くよ。おいしいと味わうよ。いつだって忘れない。
わたしにはそれができるんだよ。
生きることに這いずるような苦しみがある。だけど、やさしいごはんを食べると、幸せだなあと感じる。涙が出る。わたしは暮らしているだけなのに。

あたたかい布団で眠ること、あたたかいごはんを食べること。あたたかい湯に浸かること。日光を浴びること。生きるために必要なエネルギーを得ること。
わたしは全てに罪悪感がある。
だけど、そこに豊かに「喜び」を感じることができるのだ。
だから糧にしていかなければならない。必要とする人がいるなら探し出して、わたしの心の内側にある「燃料」を分かち合わなければならない。

あなたに分けてあげたいよ。あなたに分けてあげられるよ。

暗くて静かな、確かな熱と。
明るくてあたたかくて、柔らかな光が、ここにあるよ。
ねえ誰か火を必要としているひとはいませんか?


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恐れ入ります。「まだない」です。 ここまで読んでくださって、ありがとうございます。 サポート、ありがとうございます。本当に嬉しいです。 続けてゆくことがお返しの意味になれば、と思います。 わたしのnoteを開いてくれてありがとう。 また見てもらえるよう、がんばります。