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わたしたちの話をしよう

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これで生きていけるのかは分からないけれど、とにかく、「わたしたち」の話をするね。そのうえで、もっとできることを見つけ出すために、今のわたしに必要なことだと思うから。わたしたちには…
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#詩

それでも、いっしょにいよう

ぼくたちの時間だよってきみが言う。 ぼくたちは、いつからぼくたちなんだろう。 ぼくたちは、ぼくたちだから、さみしくても、さみしくないんだよ。 だけど、もっとみんな、いっしょがいいね。 どこかにいるひとりぼっちに、教えてあげられたらいいな。 ぼくたちがいるよ。 あなたはそこでひとりぼっちでも、大丈夫なんだよ。 あなたはいるよ。 いなくならないんだよ。 どうしたら、見つけられるかな。 ひとりぼっちの、あなたがいるなら、ぼくたちはいていいんだって信じられる。 ぼくたちは、ぼく

わたしたちでいよう

ダメなところをもっと見せてもいいんだよ つたなくていい、わたしたちでいよう わたしたちを見せていよう だいじなことだから 高すぎる望みかもしれない とても難しいのかもしれないけれど わたしたちはそれぞれに、 ずっと、そこを目指して出会ったんだよ ふたりならもっとできる ふたりよりたくさんになったら、きっともっともっとできるよ だれもいなくても わたしは見てる わたしは知ってる あなたが存在していること 知っているのがわたしだけだとしても わたしたちが、わたしたち

執着の形

あなたのその両手を 自由にすることができるなら あなたの両手をふさぐものを 私が代わりに担えたら あなたはその手に何を掴むだろう 何を求めるだろう その両手に、もっと多くを抱えるのか 誰かの手を掴みに行くのか 誰かを抱きしめるのか きっと離さないだろう 求めたものを見つけ出したなら きっとその様は美しいだろう あなたが愛を掴むのなら あなたの両手をふさぐものを 私が代わりに担えたら 私の手を取ってくれなくて構わない 私の自由を差し出して あなたが愛を掴むなら 私は

夏を呼びたいなら声をあげるよ

この声を必要としている君は、きっと大きな音に怯えているだろうから、大きな声を出すわけにはいかない。 僕の声が、君を追いつめる世界を壊すほどの力を持てばいいけれど。 それでは君に届かない。 君は破滅を望まないだろう。 だけど、優しさで覆ってしまったら、優しさだけを欲しがるなにかが、僕の声を、歌を、奪いに来る。 強いふりをして、弱いふりをして、優しいふりをして、悪いふりをして。 そうやって、上手にすり抜けて、なんとか君に届きたい。 僕を嫌ってもいい。 だけど、僕の歌は、君に

君を包むための愛をありったけ用意しないとね

あなたたちがあなたたちであることを、私は知っている。 あなたたちがあなたたちでなければ、私は私でいられない。 私は水のように、形を持ちながら形でいられない。私を受け止めてくれる器がなければ、私のこの零れてしまう形を、いつも失い続ける。失うことは構わない。誰かのもとへ流れ着くのなら。その生き方も潔いだろう。 だけど私は知っている。 知ってしまった。 あなたたちという、私を運んでくれる優しい愛の世界の存在を、知ってしまった。 私はたしかな流れとなって、美しいあなたたちを映し

ありきたりな言葉しか出てきてくれないのはなぜだろう

「たまたまそこにいただけだよ」 なんて君は言うけれど、僕にとっては、天使が落っこちてきたみたいだったんだよ。 実際君のほかにいないんだから。 偶然ってことにして、逃げ道を残したいのかな。なんて言ったら少し意地悪かな? それとも、逃げ道を残したいのは僕の方だったりするだろうか。 君しかいないなんて思って、君を自由にしてあげられなくなることが、僕は怖いのかな? 自由を失った君に興味を向け続けられないんじゃないかって。 自分で君の自由を奪っておいて、そうなってしまうんじゃないか、っ

森を駆ける風になる

自分自身の心の奥底を見つめる時、そこには深い森があって、わたしは森を駆け抜ける風になる。さあっと木の葉を揺らしながら、木洩れ日の差す場所を目指して駆ける。森にはあなたがいる。わたしは、あなたという木に、森に棲む、小鳥のような風だと思う。 たぶん、一番深いところを想うときはこのイメージ。森の緑が好きだ。 わたしは留まらないのではなく、何度でもあなたのもとへ帰る。自由に飛び回ることができるのは、あなたという住処があるから。 わたしは森を知っている。どこへ行ってもわたしはあなたと

この命が求めること

わたしたちは互いの孤独を埋め合わない。 孤独を抱えた姿を、互いに見る。 孤独が故に燃える炎を守って、 もっと世界を信じようと、一緒に歩く。 だけど、知っているよ、 自他の境界をうしなった、優しい大きな癒しがあることを。 わたしは、知っている。 泉のような、大きなその救いが、無くては生きられないことを。 だけど、わたしたちがそれだけでは生きられないということも、 わたしは知っている。 時にその泉をたずさえて、わたしは探しに行く。 ただ救われたいのではなく、 救いがあるという

だいすき、だいすき、聴こえているよ

あなたから力をもらって今日も生きている いつもあたたかい手にあたためてもらった背中で、わたしは飛べる この翼の力をあなたにあげたい わたしたちの大好きな世界を、もっともっと旅していこう 旅していよう だいすき、だいすき 聴こえる声に、呼ばれて あなたに導かれて あなたを導いて わたし一人では入って行けない場所を、あなたは堂々と通り過ぎる。 通らせてもらうだけだからと、怖がらず、遠慮することなく。 そこにあるものを、決して脅かすことなく。 わたしは声を探す。形は分から