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わたしたちの話をしよう

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これで生きていけるのかは分からないけれど、とにかく、「わたしたち」の話をするね。そのうえで、もっとできることを見つけ出すために、今のわたしに必要なことだと思うから。わたしたちには…
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#歌う

それでも、いっしょにいよう

ぼくたちの時間だよってきみが言う。 ぼくたちは、いつからぼくたちなんだろう。 ぼくたちは、ぼくたちだから、さみしくても、さみしくないんだよ。 だけど、もっとみんな、いっしょがいいね。 どこかにいるひとりぼっちに、教えてあげられたらいいな。 ぼくたちがいるよ。 あなたはそこでひとりぼっちでも、大丈夫なんだよ。 あなたはいるよ。 いなくならないんだよ。 どうしたら、見つけられるかな。 ひとりぼっちの、あなたがいるなら、ぼくたちはいていいんだって信じられる。 ぼくたちは、ぼく

庭に鳴る宇宙

君のための僕であることを僕は知っている。 僕のための君が君の全てではないことを僕は知っている。 僕の愛はそれほど大きな愛ではない。 僕はこれで足りている。 君の愛は大きくてその全てを僕が受け取ることはできない。 だから僕は、君のその愛を、必要とするものに惜しみなく与えて生かせるように、君が愛したいもの全てを愛せるように、君の歩みを支えて生きる。 君は選んで僕の隣にいる。 君が僕を信じているから、僕も僕を疑わない。 僕のための君がいるから他の全ての君が機能するのだと君が言う

意味が無くたってよかった

僕たちは「二人」になれたからよかったんだ 君はきっと「ひとり」だから 君を生かすまで 僕たちは、僕たちでは、終われなくなった 僕たちは意味のある「二人」になった 君が「ひとり」である限り 君の歌う「愛」を聴いている きっと誰かの心を突き刺すだろう そして誰のこともひとりにはせずに 君はすべてのひとりぼっちを抱きしめるんだろう 僕たちは、君に因って、意味のある二人になったから ひとりで行く君の背中を支えていよう 君の声が届くように 君の想いが流れ着くように 誰かの心を打ち破

夏を呼びたいなら声をあげるよ

この声を必要としている君は、きっと大きな音に怯えているだろうから、大きな声を出すわけにはいかない。 僕の声が、君を追いつめる世界を壊すほどの力を持てばいいけれど。 それでは君に届かない。 君は破滅を望まないだろう。 だけど、優しさで覆ってしまったら、優しさだけを欲しがるなにかが、僕の声を、歌を、奪いに来る。 強いふりをして、弱いふりをして、優しいふりをして、悪いふりをして。 そうやって、上手にすり抜けて、なんとか君に届きたい。 僕を嫌ってもいい。 だけど、僕の歌は、君に

君を包むための愛をありったけ用意しないとね

あなたたちがあなたたちであることを、私は知っている。 あなたたちがあなたたちでなければ、私は私でいられない。 私は水のように、形を持ちながら形でいられない。私を受け止めてくれる器がなければ、私のこの零れてしまう形を、いつも失い続ける。失うことは構わない。誰かのもとへ流れ着くのなら。その生き方も潔いだろう。 だけど私は知っている。 知ってしまった。 あなたたちという、私を運んでくれる優しい愛の世界の存在を、知ってしまった。 私はたしかな流れとなって、美しいあなたたちを映し

いつかまたこの話をするね

光か、闇か、いまいちよく分からない。どちらもあるような、そんな響き。 あんまりキラキラしていない。でも、ぼんやりと明るくて触れば熱い。鋭く光ることもある。キラキラよりギラギラ。それって何だろうね。地底に棲む生き物かなあ。ごわごわしてるんだよね。でも、稲光りみたいな激しさもあるんだよ。蜘蛛みたいなイメージもある。モグラ、ミミズ、薄暗いところが好きな生き物。暗いところで眼が光ってる。眼じゃない?眼がない?じゃあ何が光ったの?魂かな。 ロマンチックな音と、泥臭い音が同居している。ダ

志を抱く

比べて考える必要はないと、一目で分かった。 これは、唯一の形であると。 私はあなたを愛したかったのではなく、「唯一の形」を探していたのだと、理解した。 愛することを知りたかったのではないのだ。私にとって、この胸にあるのは、本当に美しいものを求める心だったのだ。 あなたは美しい。 しかし私があなたを愛そうとすれば、その想いにはどこか隔たりがある。あなたは確かに美しい。 美しいあなたを、愛しげに眺める「そのひと」の存在があって、私はようやく理解した。 私の命は、美しいものに

ありきたりな言葉しか出てきてくれないのはなぜだろう

「たまたまそこにいただけだよ」 なんて君は言うけれど、僕にとっては、天使が落っこちてきたみたいだったんだよ。 実際君のほかにいないんだから。 偶然ってことにして、逃げ道を残したいのかな。なんて言ったら少し意地悪かな? それとも、逃げ道を残したいのは僕の方だったりするだろうか。 君しかいないなんて思って、君を自由にしてあげられなくなることが、僕は怖いのかな? 自由を失った君に興味を向け続けられないんじゃないかって。 自分で君の自由を奪っておいて、そうなってしまうんじゃないか、っ