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比較的よく見て頂けている記事や、個人的によく書けたなと思うもの、より見てもらいたいなと思えるものなど、「こんな感じの記事を書いているよ」というのが伝わりやすそうな記事をまとめまし…
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2021年3月の記事一覧

雨が降るとさみしい。さみしいはきれい

雨は優しい。 わたしを囲む。雨はさみしい。雨は季節を連れていく。 「さみしい」と安心は似ている。同じかもしれない。さみしいと安心する。安心するとさみしい。 雨が降ると強くなる。一人でいられる。一人でどこまでも行ける。 永遠には降らない。なのに、雨が止まない時、永遠に終わらない時間を過ごしているように思える。 雨が降ると、境界が変わる。 大きな音は怖いけど、稲光が空を割るのを見るのが好きだ。 水がたくさんあるのは少し怖い。目を閉じて顔をつけるのが怖い。 浮力は好き。湿度が高いの

わたしにも好きなものぐらいあるよ

さっきまでは風が強く吹いていた気がしたけど。雨が降って来たなと思ったら、急に強まった。風も止んでいないな。外にいる人は大丈夫だろうか。 湿り気のあることを考えている。カーテンを開けてはいないが、部屋を暗くしたりはしない。昨日は気持ちよい暖かさで、換気をよくし、布団を整えた。部屋を片付けるのはあまり得意とは言えないが、気が向いた時だけでも布団を整えておくようにしている。風通しがいいのが好きだ。 雨音が好きだ。 でも今は「雨音」と呼べるような穏やかな雰囲気ではない音がしている。強

しなやかで、やわらかくて、あたたかい

命をもらって生きていると感じる。 温かい食べ物がおいしいと感じる自分は、生き物だと思う。 野菜の甘みが好きだ。植物はいい、大地を感じる。土を触ると落ち着く。 豆がおいしいと思う、大豆を戻して食べる。カレーにして食べる、米と炊いて食べる。豆腐が好きだ。厚揚げ。がんもどき。揚げ出し豆腐。豆乳を温めて飲むとおいしい。 でも、牛乳も飲む、牛乳はいい。元気が出る。ヨーグルトを使った料理は何でもおいしくなる。 卵も好きだ。とても好き。溶いて火を通した卵。ゆで卵もおいしい。カレーに黄身を混

「そうだよね」って寝言で相槌を打った

そうか。 何も、こわいことやわるいものではないんだ。どうしてそう思わなければいけないと思っていたんだろう。 見えていてはいけないと、信じてはいけないと思わなければいけない気がしていたのかな。 悪くないんだ、怖くない。 やさしくて、わたしを守ってくれる。 わたしは「味方」を作れない。 味方を作るとは、敵を決めることであるから、わたしは、敵を認識することができない。 でもこれは、そうじゃないんだな。 だから「味方」という名前ではないのかもしれない。 「わたしを守ってくれるもの」

どこかでぼくたちを呼んでいるの

こわがらなくていい 「そっち」へ行くことを こわがらなくていい、自分が 楽しいと感じるなら  何もこわいことはない 誰かが待っている気がするなら、行けばいい 頭が気持ちよくなる。 皮膚がざわざわする。見えにくい。もっとよく見たい。もっと近づいて。 優しいことを言えない。 言葉が壊れる。 どうしてだと思う? どうして こわいと思うの? 帰って来られなくなるから 帰れないならそれでいいんだよ どこへ帰ろうと思うの? 帰るのは簡単だよ、帰りたい気持ちが残っているならいつでも

ようこそ 君はその扉を開けたんだよ おいで そちら側からしか開かないその扉を 君がその手で開けたんだ  君がやってきたから 開いたんだよ  こわくない 二度と帰れない場所なんかじゃない  さあおいで 扉の向こうの世界へ  こわくない たのしい時間の始まり  たのしいね たのしいね