Instagramキラーの新SNS “BeReal” の快進撃 & 日本では流行らないと思う理由
こんにちは、@macyamazaki_ です。
アメリカのZ世代を中心に海外で DAU(デイリーアクティブブユーザー数)1000万 という脅威的な数値を叩き出している新世代SNS "BeReal" 。
この手のSNSプロダクトは、数週間単位で流行ってはすぐに廃れてしまう、いわば "一発屋プロダクト" が多い領域です。(Dispo, Paparazziなども一時期Apple Store にて総合1位を取りましたが2,3ヶ月で流行は去っていきました)
しかし、BeRealは一発屋の領域を完全に超越して伸び続けています。その証拠にTikTokやInstagramもBeRealの機能をコピーして自社プロダクトに即座に取り入れました。
今回の記事では、そんな BeReal に関して以下の3つを書いています。
"アンチ Instagram" なアプリコンセプト
BeRealとは、1日1回の自分の日常の写真を共有するSNSアプリです。
1日の何処かのタイミングで通知が来るのでそこから2分の制限時間内に、
インカメと外カメで写真を撮る必要があります。
BeReal上の友達や他のユーザーの投稿を見るには自分の写真を毎日投稿しておく必要があります。
加工や編集は一切できず、全く ”盛れない” し ”写真映えしない” です。
本当に仲が良い少数人にリアルな自分を見せたり、公開しているユーザーのリアルな生活を覗き込むことに面白さがあります。
BeRealは以下の強烈なコンセプトのもとに成り立っています。
BeRealはSNSアプリなのに、加工やフィルター機能が一切ありませんし、広告や課金機能もありません。
いいねボタンの代わりに、自撮りを絵文字機能に取り入れたReal Emojiがあります。
誰が使っている?
BeRealの人気は2022年の4月から急速に高まり、今年の4月に新規のダウンロード数で、BeRealがInstagramを上回りました 😳😳
また今年の8月には、BeRealがTikTokを抜いてアメリカのAppStoreにて総合ランキング1位を獲得しました。
BeRealは、Z世代や大学生のユーザーにウケています。
男性よりも女性ユーザーを惹きつけていて、オーストラリア🇦🇺やブラジル🇧🇷、イギリス🇬🇧ではユーザーの98%以上が女性です。
BeRealがローンチされて最初の2年は、🇫🇷 フランス国内で流行っていました。
2022年初期に🇺🇸 アメリカ、🇬🇧 イギリス、🇪🇸 スペイン、🇩🇰 デンマーク、🇲🇽 メキシコで急成長を見せました。
ユーザーとしての面白さ : 世界中のユーザーの文字通り "Real" な生活を覗き込むことができる
スマホのインカメと外カメの両方で撮影し、フィルター・編集なしでアップされるため、ユーザーがどんな表情をして、どんな景色を見ているのか、リアルに伝わります。
自由なタイミングで、好きなだけ加工してからアップし、不特定多数に見られるInstagramと違い、BeRealはユーザー全員が加工できない仕組みなので、完璧ではない姿の自撮りと景色をありのまま、気楽に写真に収めてアップできます。
BeRealのユーザーは世界中にいるため、世界各国のユーザーのリアルな生活を覗き込むこともできます。
令和時代では珍しい、札束で殴るタイプのユーザー獲得
100億円越えの大型資金調達
2022年5月には、Series BのYuri Milner(FacebookやInstagramの初期投資家)が主導する資金調達ラウンドで8500万ドル(約123.6億円)を確保し、BeRealの評価額は約6億ドル(約872.2億)になりました。
そしてBeRealはかなりの調達したかなりの金額をマーケティングに使っている可能性があります。
アメリカで大学生にお金を配る
2020年のリリース時のダウンロード数は2万件ほどでしたが、
1年後に180万DL、2年後の現在は2790万DLへと急成長しました。
このダウンロードの伸びを牽引したのが、アメリカの大学生に対するお金配りです。
以下のように、通常では考えられないようなインセンティブ設計でユーザー獲得(お金配り)をしました。
BeReal を1人紹介するごとに紹介者に30ドル(4300円)🤑
アプリのダウンロードしてさらにレビューすると紹介者に50ドル(7200円)🤑🤑
とある学生には月額250ドル(月額約3.5万円)の固定報酬 🤑 🤑 🤑
↑ のように、1件のユーザー獲得に対しては高すぎるくらいのお金を払っていました…
とはいえ、BeRealのように1ユーザーが他のユーザーを読んできて、他のユーザーがまたユーザーを読んでくるような "バイラル性の高いプロダクトになっているのであれば高すぎない" のかもしれません。
Instagram、TikTok もパクリ始めた
スタートアップで何か一つの機能が流行した場合、大手のSNSプラットフォームにマネされることはよくあります。
BeRealの機能は、InstagramとTikTokがマネしました。
TikTokは ”TikTok Now” というアプリをリリースしました。BeRealと機能は全く一緒です。BeRealが2分以内に撮影する点が、TikTok Nowでは3分以内に延長されています。
清々しいほどのパクリです 👀
また、Instagramもアプリ内にDualという機能を展開しました。Instagram ストーリーとリールの新機能で、BeRealと機能は同じですが、通知や撮影の制限時間はありません。
結論から言うと、日本国内においては BeRealはそこまで流行らずに、インスタとTikTokのコピープロダクトが伸びる と個人的には思っています。
🇯🇵 日本で BeReal が伸びなそうな理由…
そもそも日本人はフィルター加工なしの顔写真をアップロードしない
マンダムが15歳~49歳の日本の女性443人を対象に2022年3月に実施した調査で、SNSで発信する際に自分の画像を加工するかを聞きました。
どの年齢層も「いつもする」「たまにする」の合計が7割を超えました。
一方で、加工しない素の自分をさらす人は、日本では少数派です。「全く加工しない」人は10人中1-2人しかいません。
欧米では女性ユーザーが大半だった、BeReal も NO Filter (フィルターなし)をコンセプトに掲げている中で、日本人女性はフィルターがないと顔写真をアップロードしてくれません…
BeRealは、Real(現実)な自分を見せるのがアプリのコンセプトで、カメラにフィルターなどは一切ついておらず自撮りが必ず必要になるアプリです。
いわば日本は “BeReal” ではなく、 "BeFake" の国だと言えます。
カメラアプリや加工アプリを数多く生み出している中国、韓国、東南アジアにおいても "BeFake" の傾向は強く感じます。
一方で、 TikTok Now や Instagram の Dual であれば BeRealのような機能をフィルターあり で楽しむことができるので、日本を含む "BeFake" のニーズが強いアジア圏ではパクリアプリ側(TikTok, Instagram)が勝ちそうです。
BeReal か BeFake のどちらのコンセプトが良い悪いという訳ではなく、ユーザーは好きな方のコンセプトを選んで楽しむ世界線になっていくと思います。
まとめ
BeReal がぽっと出てきた際の論調としては "よくあるSNS一発屋アプリでしょ" という見方をされていましたが、継続的にユーザーが使っていたりユーザー層が順調に拡大しているため、こぞって既存の主要SNSたちが警戒し始めました。
Instagramをはじめとして フィルターを通じた自分や世界観をシェアするSNS("BeFake")が猛威を奮っていましたが、
「少数の人に現実をありのままに見せたい」という隠れたニーズが、強烈に尖ったコンセプトのBeRealによって掘り出されたように感じます。
今後は、BeFake vs BeReal の対立関係の構図ではなく、
BeFake or BeReal というどちらか好きなコンセプトを選ぶ世界線に発展していくと感じています。
参考記事一覧
Instagram’s Dual camera feature copies BeReal, but misses the point
What Is BeReal? This Buzzy New App Has TikTok Playing Copycat
★(おすすめ) Why BeReal is breaking out
BeReal: Hype or hit? What to know about the Gen Z photo-sharing app climbing the charts
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