三日坊主日記 vol.122 『制作意欲を刺激する映画』
prime videoで『アステロイド・シティ』を見た。
劇場で見たかったのに結局見れずじまいだったが、まぁ配信でも良かったかも知れない。決して否定的な意味で言ってるんじゃなくて、テレビ画面で見ても十分楽しめたということ。
ウェス・アンダーソンの映画は『グランド・ブタペスト・ホテル』と『犬が島』しか知らないんだけど、この人の独特の感性というか世界感は相変わらず冴えている。というか勝手にこの人目線で言うと、独特の世界を描きつつもどこかほんの少し不本意ながら観客のことも気に掛けるようなところもあったような気がするんだけど、『アステロイド・シティ』ではその辺りの気遣いみたいなものを全てなくしました。的な、振り切った印象を受けた。
難解で正直よく分からないんだけど、とにかく最後まで見てしまう。しかも、楽しんで見てしまう不思議な映画だと思う。セットや美術やカメラワークを見てるだけでも楽しいし、我々プロが見てもどうやって撮ってんだろうと思ってしまうシーンがいくつもある。
いつも思うんだけど、僕は一応プロなんで、作品を見るとある程度どうやって作っているのか、どうやったらこうなるのかが分かる。だからこそ、カットによってはその手法が気になったり、トリックやギミックを見て楽しめたりするけど、そうじゃない一般の人はどう思って見てるんだろうかと。やはり同じように見てるのだろうか。
そして、この人の作品はキャスティングが面白い。豪華で贅沢で、意表をついている。やはり俳優からの信頼が厚いのだろう。うらやましいぞ、ウェス・アンダーソン。
演技論とか、俳優論とか、監督が込めたメーセージもあるのかも知れないが、そんなことはこの際どうでも良いのである。誰よりも楽しんで作っているのが伝わってくるから、それだけで十分なのだ。変態光線が画面からビンビン飛んできて、僕も作りたくなってくる。あー作りたい。作りたい。作りたい。
ある意味で、みる人を幸せにする映画作家だと思うのは僕だけだろうか。いや、そんなはずはないと思う。天才である。
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