見出し画像

【役員インタビュー】マクロミルのアセットを活かし、より良い社会を実現/執行役 グローバルCFO 橋元伸太郎

2020年に設立20周年を迎え、グローバル企業へと成長したマクロミル。現在、従来のリサーチ事業に加えて、新たな領域へのチャレンジとして、ライフサイエンス事業、データ利活用(データコンサルティング)支援事業、マーケティング施策支援事業を立ち上げ、「総合マーケティング支援企業」となることを掲げています。
変化の激しい時代の中で、マクロミルの経営を担う役員たちは、どのような戦略を立て、どのように取り組んでいるのか、多様なバックグラウンドをもつ役員へのインタビューを通じて、マクロミルに対する思いや今後の展望などを伺う企画がスタートしました。

第1回目は、2022年4月にマクロミルの執行役 グローバルCFO(チーフ・フィナンシャル・オフィサー)に就任した橋元伸太郎さん。マクロミルが目指していることや、マクロミルの未来について、広報の井上が詳しく話を伺ってきました。


今回の役員/橋元伸太郎さんのプロフィール

米国ダートマス大学 経営学修士課程修了。2000年アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)入社。日米にて様々な業界におけるグローバルプロジェクトに従事。2011年株式会社ディー・エヌ・エー入社。グローバルオペレーション、IT・経営戦略、M&A、アライアンス等の経験を持つ。
2019年9月株式会社マクロミル入社。2020年7月より当社執行役員・経営戦略室長に就任。当社にて経営戦略、投資戦略、アライアンス、新規事業支援等を推進。2022年4月、当社グローバルCFOに就任。

データ利活用で新たな領域へチャレンジ、変化する時代の中でより良い意志決定を支援

―マクロミルが掲げる「総合マーケティング支援企業」として、具体的にどのような取り組みをしていくのでしょうか。

私たちは、独自に構築した130万人の消費者パネルを基盤に、消費者の声をクライアントへ届けることで、クライアントがより良い商品・サービスを世の中へ提供できるようご支援をしています。

現在、アンケート回答による“意識データ”だけでなく、昔は取得できなかったような、購買情報、広告接触履歴、インターネット・アクセス・ログ、位置情報などの多様な“行動データ”が取得できるようになりました。加えて、新しく立ち上げたライフサイエンス事業においては、血液や唾液などの“生体データ”の取得も可能になっています。近年の技術革新に伴い、取得可能なデータが増えているので、今後も物事を俯瞰的に捉え、クライアントが必要とし、私たちが提供できるデータがあれば、ライフサイエンス事業に続き、別の領域でもチャレンジをしていきたいと思っています。

また、DX(デジタル・トランスフォーメーション)化が加速する中で、クライアントは、私たちが提供するデータだけでなく、クライアント自身でデータを取得したり、組み合わせたりしながらデータを利活用し、正しい意思決定につなげていく活動をされています。ただ、この領域は非常に複雑であるため、第三者が人材やツールを提供し、サポートすることが求められていると思います。そういったニーズに応えるため、私たちはデータ提供に留まらず、データコンサルティングという形でのご支援を開始しています。

クライアントがどういったデータを取得すべきなのか、どのようにそのデータを活かすべきなのかといったサポートを行い、さらにマクロミルが保有する多種多様なデータと組み合わせることで、クライアントがより良い意思決定をしていく。このご支援を行うことで、より良いものを世の中にアウトプットしていくサイクルを加速化できると考えていますし、先ほどお伝えしたように、技術進化に伴い取得できるデータが広がる中で、クライアントがどのようなデータ求めているのかといった示唆も得られると思っています。

消費者パネルを軸としたマーケティング支援で、アジアNo.1を目指す

ー海外事業において、マクロミルの強みはどのような点でしょうか。

マクロミルは、日本・韓国・タイ・ベトナム・インドネシアで消費者パネル構築をしています(2022年6月時点)。私たちが日本で長年蓄積してきたこのパネル構築の強みを活かして、東南アジアでのマーケティング支援を行い、海外事業においてアジアNo.1を目指していきます。

すでに東南アジアにあるマクロミルグループ各社も、日本同様に自社でデータを取得しています。この蓄積したデータを活用して、東南アジアのクライアントや、これから東南アジアの進出を検討するクライアントへのコンサルティング領域での介入、クライアントが保有するデータとの掛け合わせを実現し、将来的には幅広くご支援をするためのツールを導入していくことも考えています。

しかし、国ごとに事情は異なり、日本が歩んできた段階的な技術進展ではなく、途中の段階を飛び越え、一気に最先端の技術に追いつく進化(リープフロッグ現象)も起きています。東南アジアならではの新領域の多種多様なデータを取得することで、イノベーションが起こる可能性もあると思っています。日本と同じスキームや施策にこだわることなく、日本とは異なるサービスの展開の仕方も考えていきたいですね。

例えば、アンケートに回答いただくモニターにインセンティブとしてポイントを進呈するといった方法以外にも、消費者がWeb上であるメディアの記事を読んでいる際に、アンケートが表示され、回答したらその先も読めるというアンケート回収の手法があります。この場合、消費者への報酬は「回答したら先も読める」という体験となり、ポイント自体は一切介在しません。また、このアンケートは該当記事の内容に即したものであるため、消費者がどういう気持ちで読んでいるかという意識データの取得とセットでメディアとして運用されているんですよね。

東南アジアを含む海外では、日本では浸透していない手法などもあり、データと何を掛け合わせるかの工夫次第で日本と異なるサービス展開ができると考えています。

全ステークホルダーとサステナブルな共創へ

―ステークホルダーとの関係性について、どのような未来を思い描いていますか。

すべてのステークホルダーと、長期的なお付き合いをしていきたいと考えています。その点ではもちろん企業が利益を上げていくために財務的な側面も重要ですが、サステナビリティの側面も非常に重要だと考えています。サステナブルな労働環境や、従業員に長く働いていただける環境を構築することが大切です。

サステナビリティという言葉に色々な要素が含まれるのですが、まずダイバーシティ(多様性)に関して、マクロミルは消費者や社会を理解することが生業なので、マクロミルの中でもダイバーシティがないと世の中の変化を捉えられないと思っています。例えば、今後はさらに、日本で生まれ育った方ではない外国の方にマクロミルで働いていただくこともその一つですし、マクロミルの従業員の男女比率は半々に近いですが、女性の管理職比率は低いため、それを改善していくことも必要です。

環境的な面では、マクロミルは製造業とは異なり本業と環境意識への取り組みが密接ではないので、全従業員が環境を意識して何かに取り組むということはまだ難しい現状です。しかし、そういった意識を高めることによって、クライアントが抱えている課題や社会問題の理解にもつながっていくと思うので、社員に向けた情報発信を積極的に行いたいと思っています。

クライアントもサステナビリティへの意識が高まっている中、世の中の変化に合わせて求められているものを提供できるよう、アジャイルに変化し対応していく必要があります。結果として、クライアントとの安定的な成長につなげ、その他のステークホルダーともマクロミルと長期的に一緒歩んでいただけるような関係性を続けていきたいと考えています。

バックグラウンドを知ることが真の理解へとつながる

―これまでグローバルを中心としたビジネスに従事されていますが、橋元さんのグローバルな価値観はどのように形成されたのでしょうか。

私は社会人になるまで日本とアメリカの半々で過ごし、この経験を強みに、働き始めてからは多くのグローバルなプロジェクトに従事してきました。

私自身、様々な国の方々の考え方や文化に触れることが楽しく刺激的で好きなんです。固定的な考え方よりも、多様な考え方を受け入れるほうが、人として成長ができ、社会としても良くなるだろうという想いも持っています。私の強みもそこにありますし、この強みを活かすことで、世の中を良くすることにつながるのでないかと考えています。

様々な国の方々とのコミュニケーションの際に、その国の歴史・背景・文化などのバックグラウンドが分かっていると「なぜそのような考え方をするのか?」を理解することができますし、そこに面白みを感じます。ここが、マクロミルで働いている理由にもつながっています。
例えば、国内でトラッキングした意識データや行動データを、海外で同じくトラッキングしたデータと比較すると、全く異なる結果が出てくるって面白いですよね。そういう時に決してデータだけで捉えるのではなく、その国ならではのバックグラウンドも理解することで、本当に求められていることが分かるのだと思います。

世の中で起きている事象を「自分ごと」として捉える

―ご自身の強みはどのような点だとお考えでしょうか。

アメリカで9.11の事件が起こった当時、私は社会人1年目で、日本で働いていました。私にとっては非常に身近に感じる事件で、会社も稼働を止めるのだろうと思っていたのですが、翌日も通常通りに動く世の中を目の当たりにして、日本の会社にとっては「他人ごと」であることが衝撃的でした。

同じアメリカでの出来事であっても、例えば、アップル社が無くなってしまったら、日本のiPhoneユーザーも「自分ごと」として捉えることができるのではないでしょうか。自分自身と世の中で起きている事象との間に関係性があったり、あるいは経済的な関係性があったりすると、「自分ごと」として捉えたり、関心が高まったりすると思います。

「自分ごと」として捉えられるか、捉えられないかで物の見方は全く異なってきます。世の中の事象を「自分ごと」として捉えられると、経済や社会が良くなっていくためにはどうしたら良いかと考えたり、実際に取り組んだりすることにつながっていきます。こういった部分も私の強みだと思いますし、仕事に対する動機にもなり、これまでも様々なプロジェクトや課題に取り組んできました。

20年の歴史と共に構築したマクロミルにしかないアセット

―2019年にマクロミルに入社されていますが、入社後に何か印象的だったことはありますか。

入社以前からマクロミルとは一緒にアライアンスの可能性について検討する機会が多くありました。マクロミルは消費者パネルを有し、そこから多様なデータを取得できることに加えて、20年以上の長い歴史と共に、データノウハウの蓄積と多くのクライアントとの関係性を構築しています。多種多様な業界のクライアントに対し、ご支援する幅も広いですし、マーケティングにおいてどのような課題があるのか、クライアントと共通認識で把握することができる。そういった魅力は入社以前から知っていたのですが、入社して改めて、このような環境が、他社にないマクロミルのアセットであり強みだと感じましたね。このアセットを活かしてマクロミルの今後の成長につなげていくことが重要だと考えています。

―本日はありがとうございました!

(編集後記)
橋元さんも仰るように、マクロミルの環境意識への醸成はこれからという段階ですが、広報として、社会全体の問題解決にも力を入れている企業だという認知を高められるよう、マクロミルの取り組みをより積極的に情報発信をしていきたいと改めて思いました。橋元さん、お忙しい中ご対応ありがとうございました!

<写真撮影>
広報・ブランドマネジメント部 クリエイティブデザインユニット
柳川亜紀子