![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735514/rectangle_large_type_2_0d42b59c58673e77a674730cc64f974e.jpg?width=800)
そもそも品質工学 第19話 怒りは二乗
全ての部品の品質が一級品で作られたスマホ。
全ての部品の品質が、一級品から少しだけ外れたスマホ。
価格が同じな場合、あなたはどちらが欲しいですか?
企業は、どちらも同じ価格で提供しています。
企業がいかにお客様のことを考えていないか。自分の会社のコストしか考えていないか。
実は、その会社の製品のコストの考え方を見れば、一目瞭然です。
![そもそも019_002](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735555/picture_pc_308969b21fec0a4a428ae25be54ee568.jpg?width=800)
![そもそも019_003](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735565/picture_pc_6b83858a852f4bd83fab733c997836dd.jpg?width=800)
![そもそも019_004](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735580/picture_pc_a9fec1b9db29222b0a0205ac289e3b1b.jpg?width=800)
![そもそも019_005](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735588/picture_pc_6503d37045be2fdb500fc8c9946b3e78.jpg?width=800)
![そもそも019_006](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735597/picture_pc_86c1b4837ade4c0ea0cc48162653635c.jpg?width=800)
![そもそも019_007](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735606/picture_pc_e58c4c7c1f3227ceb8ebf29f0d8ffcb3.jpg?width=800)
![そもそも019_008](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735616/picture_pc_fbed1f0a64cc3c6b18efc08e9cf33617.jpg?width=800)
![そもそも019_009](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735625/picture_pc_a40a67fbdf41d957ef7260a0bd08d656.jpg?width=800)
![そもそも019_010](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735643/picture_pc_a2a17d2be5d04b486776b2e296da6c89.jpg?width=800)
![そもそも019_011](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735656/picture_pc_e6c9615cef105c636a7adff124a3e79f.jpg?width=800)
![そもそも019_012](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735661/picture_pc_0f4e1a9c42027b92725a9fff2d3ffd8d.jpg?width=800)
![そもそも019_013](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735672/picture_pc_e2a4ad72e8a57d30609046cce5ab970a.jpg?width=800)
![そもそも019_014](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735684/picture_pc_9d6eba515602eb4511237575be6c9277.jpg?width=800)
![そもそも019_015](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735693/picture_pc_f11b22e37a38cec8a6ee88c06812dc13.jpg?width=800)
![そもそも019_016](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735702/picture_pc_18b5ee71617f6bf892f4cdc38278a77c.jpg?width=800)
![そもそも019_017](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735717/picture_pc_a24b6540dccce62f3ba974f41ee44894.jpg?width=800)
![そもそも019_018](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735722/picture_pc_b49cf4d2b1a9952fc1fc351792ee5049.jpg?width=800)
![そもそも019_019](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735738/picture_pc_92a74c0e5ac65462b9a2a55b981f4b05.jpg?width=800)
![そもそも019_020](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/21735753/picture_pc_d7045af71d7e760f9daec032929a3319.jpg?width=800)
損失関数とは、お客さんの視点を含めたコスト換算なのです。
目標値から外れた程度で、コストは変わってくるのです。
損失関数では、市場のその製品が出回った時のコスト、お客様が被る損失まで考えています。
しかし、多くの企業は、自社の中で発生する損失だけを見て規格を決めていたりします。規格に入るか、入らないか、鍋型の線でコストを考えています。
結局、多くの企業は「お客様第一」なんて、嘘っぱちです。
今後は、本当の意味で、お客様のことを考えている企業だけが生き残っていくでしょうね。
・~・~・~・~・~・~・
損失関数のお話です。
みなさんの会社ではマンガの中に出てくる鍋型の感じの管理になってませんかね?
工程で不良品かどうか、規格に入っているかいないかを判定し、不良率を計算してFコスト(失敗コスト)を算出。
まぁ、普通ですよね。
ここで、マンガの中のスマホ価格のグラフで、①と②の2つが同じ価格で売られていた場合、どっちを買うか質問した場合、全員が①が欲しいと言います。
あれ?②だって良品でしょ?
なんで①が欲しいの?
じゃぁ、②と③、同じ価格で売られていたとします。どっちを買いますか?
②って全員の方が言います。
あれ?なんで?
②と③ってほとんど同じでしょ?
性能は大差ないよ。
そういうことなんです。
鍋型でコストを計算するのはおかしいのです。
全然、価値とコスト計算が見合ってないのです。
そこで、損失関数の出番です。
値(規格値)と損失を二次関数のようにあらわします。
このようにすれば、①と②の違いは明確に。
②と③はほとんど同じ。
さっきの「あれ?」ってのがすべて解消されています。
目標値mからのずれが、損失なんです。
規格に入っているかどうかではないのです。
企業は、目先の「破棄する」というコストだけを見ています。
機能が発揮できない程度で良し悪しを判断していません。
○マルか×バツかだけで評価していて、○の程度、×の程度で評価していません。
例えば、入試の合格点が70点だとします。
100点を取った人と、70点を取った人は同じという扱いです。
しかし、70点と69点では、合格と不合格という大きな差が生まれます。
一方は100-70=30点という大きな差。でも差はないと判断。
もう一方は、70-69=1点という小さい差。でも大きな差があると判断。
ここまで説明を聞いて、おかしいと思わない方がいるでしょうか?
正しく差が出るように判断するというのはガッテンしていただけたでしょうか?
では次です。
その差を、直線近似するか、曲線近似するかです。
損失関数では、曲線近似をしています。
難しい話をすると、テーラー展開とかそういうことになるのですが、ここでの説明では無視しますw
私が学生に教えるときは、マンガの中ででてきた待ち合わせの説明をしています。
待ち合わせの時に友人が○分遅れてきた。
あなたはその損失をいくらで友人に埋め合わせさせますか?
1分遅れ=0円
20分遅れ=120円
60分遅れ=1000円
1時間のアルバイト代1000円と考えれば、60分=1000円も妥当でしょう。
このデータをプロットしてみると、見事に二次曲線に乗ります。
つまり、お客様の怒りは二乗で増えていくのです。
実際の工程で損失関数を使って、損失Lを計算しようとすると、以下の式がベースになります。
ただし、損失関数の損失L(円)は目安です。
出てきた金額は架空の平均金額です。
実は、上の式自体も、工程の状態や製品に応じて変化させてもOKです。
こういったあたりが、損失関数の理解を妨げるんでしょうね。
物理法則とかだと、運動方程式はこれって感じで決まりますよね。
勝手に変えて計算したら怒られますよね。
損失関数は違うのです。
パラメータ設計の機能と同じです。
対象をどう正しく、もっともらしく評価しますか?
これだけなのです。
これに沿っていれば、なんでもいいのです。
計算式が違うとか、それは省略してはいけないとか、少し誤差が載るとか…
そう思うなら、修正して計算してみてください。
その結果が妥当性があれば、それでいいのです。
自分自身で対象をよく捉え、そして考え、お客様視点でどう価値を評価するか。
それこそが、品質工学の基本にして奥義なんです。
…この自由度の高さが、理解を難しくしている要因でもありますがw
いただいたサポートは、有益な情報を提供し続けるための活動にあてていきたいと思います!