アベノマスクの検品代8億円って高いの?そして、いつごろ手に入れられるの?
なにを言っているんですか。
検査費用って、高いんですよ。
検査には時間がかかるのです。
化粧品とかで、
「当社は全数検査をして最高品質のクリームをお届けしています」
ってコマーシャルしているクリームの価格が、100円とかで売ってますか?
違いますよね。安くても2~3千円はしますよね?
じゃぁ、公表されているデータでざっと計算してみますか。
厚労省は専門業者1社に検品を委託。メーカーから納入されたマスクを550人体制で目視、計量し、全国の郵便局に配送するという。
Yahooニュース
<1日当たりの検査可能枚数>
まず、配布されるマスクの全品検査する。
「厚労省によると、妊婦向けの布マスクを巡っては、4月30日時点で自治体に配布していた約47万枚のうち、約4万7000枚について、異物混入や汚れなどがあったとして返品されていた。」
ということで、不良率は10%なので、損益分岐点を計算するまでもなく、検査して工程で不良品を排除したほうが安いでしょうね。(これも検査設計で計算すると面白いかもしれませんね。)
マスクが8500万枚ある。
これを目視で550人体制で検査。
検査詳細は公開されていないので、私の想定です。
・検査時間、片面4秒、両面で8秒
・検査したものを再度袋詰め5秒
・事務作業等も1枚当たりで時間で加えておきましょう。1秒。
これで、マスク1枚当たり、14秒かかるということになります。
まぁ、そんなに変な数字じゃないですよね?
これを1人の人が8時間労働でひたすらマスクを検品し続けます。
いや、これ、単純作業ゆえにものすごくつらいですよ。おそらく残業は無理でしょう。検査精度が落ちます。
しかし、この検査、画像認識で自動化できるでしょ。どっかの企業、手を貸してあげてよ。
話を戻して、1人当たり8時間労働で2057枚検査できます。
550人がかりで、1日当たり1,131,429枚の検品が可能です。
<1日当たりの人件費>
次に、人件費を計算します。
8億円のほとんどが人件費と言ってましたので、9割人件費としましょう。
7億2千万円ですね。
さて、検品場所ですが、550人が一堂に会して検査するというのは非現実的です。そんな広い場所をどう確保するのか?食事は?構内移動経路は?
200人ぐらいが入る工場で、班分けして、各シフト単位でやるってもんでしょう。朝昼晩の3つのシフトに分けるとします。
晩のシフトは、もしかしたら夜勤です。そうすると25%増しのお給料が必要になります。
あと、意外と知られていないのですが、1000円の時給の人に、会社は約2倍のコストをかけています。保険代、電気代、福利厚生、もろもろです。なので、時給を2倍したのが、実費用の人件費となります。
9,400,000円/1日
人を550人雇うと、1日100万円ぐらいかかります。
<マスクが手に入るのはいつ?>
んで、実はここからが本題です。
・総マスク枚数を、1日検査できる枚数で割った数字
・総費用を、1日の人件費で割った数字
これで、全数検査終了に何日かかるかが予想できます。
驚愕の事実!
検査完了日数 75日~77日
あと2か月以上かかるじゃん!w
国民皆さんのお手元にアベノマスクが到着するころには、もはや無用の長物になっている可能性が!(^^;
後半の検査体制あたりや、検査時間は完全に私の想定なので、実際には違う可能性がありますが、検査時間がもっと短いなら短いで、心配です。
やってみてください。マスクの両面を問題が無いかしっかりと検査するとしたら、8秒って結構きつい時間設定にしているつもりです。
チラ見ならもっと早いでしょうが、それは検査している意味がありません。検査していないのと同等なので、無駄な検査です。二重検査せずに配って、不良品を交換したほうがトータルとして安いかもしれません。これは検査設計で計算してみないとですね。
検査設計については、Youtubeにて音声付きマンガ動画がありますので、こちらを参照してください。
しかも、メーカー側も検査体制を厳しくするでしょう。そうなると、ほぼ不良が無いものをひたすら検査する。何の拷問ですか?これは?w
しかも、不良率が高いのは妊婦向け。一般向けは12枚だけ返品されているそうです。返品するのも面倒だから何もしていないという可能性もありますが、話題にもなっていないので、そんなに品質は悪くないかもしれません。
だから、全数検査するのではなく、仕入先のメーカーごとで、全数検査するかどうかを検査設計で判断して、コスト換算し、示すことが必要だと思います。
<まとめ>
こういった計算ができると、実態がどういうものなのかが想定できます。
8億円という数字だけ見ると、「うわっ!そんなに?」と思うかもしれませんが、計算してみると、「その程度はかかるよな」ってのがわかります。
ちまたでは様々な人たちがわめていていますが、どこまで数字を把握して、どこまで計算してその発言をしているのか。すごく疑問に思います。
皆さん!もっと数字に強くなりましょう!
いただいたサポートは、有益な情報を提供し続けるための活動にあてていきたいと思います!