PERFECT DAYS

だいぶ書いていませんでした。
だいぶ前に仕事終わりに日比谷のTOHOシネマズ シャンテで「PERFECT DAYS」を観たのです。
なんか、すごい作品を観た気がしました。
ストーリーは、主人公 平山の日々を映し出していく淡々としたものです。
そして平山は寡黙な人で、あまり喋らない。
ですが、何だか先が気になる、そして平山を見続けてしまうのです。

https://www.perfectdays-movie.jp

以下、ネタバレがありますです。

おばあさんが道を掃除する掃く音で目を覚まし、布団を畳んで部屋の隅に置き、歯磨きと髭剃り、口髭を整え、若木の鉢植えに霧吹きで水をやり、玄関を出ると空を仰ぎ見てちょい笑い、缶コーヒーを買って車に乗る。
トイレ掃除の仕事をして、お昼はいつもの神社でサンドイッチを食べ、木漏れ日をフィルムカメラに収める。新しい木の芽を見つけると、許可を得て持ち帰る。そして、午後のトイレ掃除の仕事。
仕事から帰り私服に着替えて自転車でいつもの居酒屋でいつものメニューで飲んで食べて、帰ったら読書をして眠くなったら寝る。
休みの日は、部屋の掃除をしたらコインランドリーで洗濯、夕方に行きつけのスナックで呑んでゆったりとした時間を過ごす。
その繰り返しだ。
でも、必ず同じではない毎日。

日々繰り返されるいつものこと。
そんな日々でも、一つとして同じ日はなくかけがえない。
平山の日々の生活を通して見せてくれます。
観終わったあと、すごい映画を観たのではないか、と思いました。
寡黙な平山を、役所広司さんが、素晴らしい演技で感情豊かに見せてくれます。
夜の夢のシーンでしょうか、その日の出来事だったり過去の平山の記憶だったりご断片的映し出されていくところでも、何かトラウマなのか蟠りなのかを持っていそうなことが分かり、平山という人物が気になる要素でした。
後半、平山の感情に触れるシーンが多くなり、平山の人となりも見えてきて、より観ているボクも心が動く感じでした。
カセットテープから流れる「Feeling Good」のラストの平山の表情を捉えたアップは、ジワジワときて、何だか涙が出てきました。

平山はアナログタイプというか

  • ガラケー

  • 古本の文庫本小説

  • カセットテープ

という前世代タイプという感じで世の中の流行りを追うタイプではなく、風呂無しのアパートで質素にで満ち足りた日々を過ごしている。
シンプルな生活のシーンが、また平山という人物をうまく描いているなと思いました。

ヴィム・ヴェンダース監督の映画は、観ていないので、「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」はちゃんと観ようと思いました。
ボクの親と同じ世代で、年をとっても作品作りに精力的だなと思います。
そして、日本とのつながりもあって。

役所広司さんは、言わずもがなですが本当にすばらしい俳優さんだと思いました。
平山というひとがいるような、もおそのもののような、本当に自然で作品に溶け込んでいます。
寡黙な役なので表情や所作で魅せる。
セリフがある時は、一つひとつに感情が乗っていて、ジワジワきました。

ボクも平日、休日でのいつものパターンがある。
でも、その時間は唯一無二で同じものはないのです。
いつも通りに過ごしたくても、色々と周囲から “チカラ” がかかり思い通りにならないことがままあります。
平山も見せていましたが、ちょっとイラっとしたりします。
パターンで過ごしているようでも違いだあり、何か特別なことあるわけではないですが、このような日々は総じて心地いいのです。
主人公の平山は過去に何かがあり家族から距離をとっているのですが、人はそれぞれに暗い部分というか余り触れたくない、考えたくないようなことは、誰にもあるのだと思います。
そんなとも、日々の生活の中でふと擦れざるを得ない時が来たりします。
静かに進む話の中で、そのような事も含めて平山の生活の中にちょっとずつ起こっていって、それが何だか優しく描かれていて、平山が愛おしいく思えてするのです。

映画を観た日はパンフレットが売り切れ買えなくて、その後い映画館に行く度に観て、落ち着いた頃に買えました。
時間ができれば、また観たいですね。
アカデミー賞の国際長編映画賞は「関心領域」になり、残念でした。

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