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武蔵三郎案件

分からないことがあれば、なんでも聞いてとは確かにいった。いったけどさ。

彼女とは昨年暮れからいっしょに仕事するようになった。しかも僕らの業界ははじめてだと。

最近のある日。

「〇〇が▼▼になったんですけど、どうすればいいですか?」

近くには居たが手が離せなかったので彼女の側には行けずに伝えた。目の前にあるフタを開けて〜。

「えっ、フタってどれですか?」

フタの場所が分からないのか。彼女の方へ視線を向けると、彼女はそのフタを凝視していた。なんなら、“私がフタですがなにか?”って強烈な自己主張をしているそれの取手に手をかけてさえいる。

“ウソだろッ!!?”

ドラマ『占拠』シリーズ主人公、武蔵三郎刑事のお決まりのセリフがとっさに心の中。

取手に手をかけたままフリーズする彼女。なんの冗談やねん。ぜんぜんおもろないんですけど。

いわゆる“かまってちゃん”なんか、アナタ。

分からないふりをしているというその実態を暴けというのか、青鬼(あるいは龍)

今手に取っているそれを上に開けて〜。

「助かりました。ありがとうございます♪」

和かに応対した(つもり)。しかし僕はちょっぴり不機嫌やった。

まぁまだや。修行が足りん。人間ができとらん・・・。


そんなんで機嫌悪なるなんて。でもそんなことってありますよねぇ〜?


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