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そしてまた今、此処で『今、何処』を聴いた。

なにかしら物事を成し遂げるのには10年の月日がかかるという。

俗にいう、10年やってはじめて一人前ってやつだ。

(“令和”ではいわないのか、なぁ?)

バンドとしてのアイデンティティが固まってきた、それがアルバム『Blood Moon』のころだというから2015年。バンド結成からちょうど10年にあたる。

Blood Moon / 佐野元春 & The Coyote Band
(2015年 Daisy Music)


つまりは、アルバム『Blood Moon』はバンドとしての一つの到達点だった。


そして今年、2022年に届けられた『今、何処』は『Blood Moon』を凌駕する。

さらには、到達点と思われた『Blood Moon』でさえ単なる通過点に過ぎず、おそらく、本作もいづれそうなるだろう。

とはいえ、最高傑作なのは間違いない。現時点での、という注釈はつくが。


通常は何回か聴いたあとは、アルバムからピックアップした曲をよく聴き、それ以外聴くことは少ないんだが、この『今、何処』アルバムはそれを打ち破った。

はじめて聴いた時、なぜか“文脈”が大事だと思いオープニングナンバーから聴き、数えきれないほどに聴いている現在でもその聴き方。

これは、僕としては異例中の異例。

まあ、時には数曲ピックアップしての時もあるが。

そう、こうして2度目のアルバムレヴューをしていること自体が異例。

何が俺をそうさせるのか?1センチ2センチ3センチ・・・。


最近は、いつも“胸に大事な君を想いながら”聴くので、不意に涙ぐんだり。僕も恋をしている、瞬間。(意味深だけど深い意味はない。勘繰るなよ。笑)


例えば「クロエ」ではMVみたくキーボードを弾きながらだろうし、「冬の雑踏」ではブルースハープ。「エデンの海」でのタンバリンを叩く姿も容易に想像できる。そんなふうに来たるべき「今、何処」トゥワーを想起しながら聴くのが至極で、まさに魂がブチ上がる。

似たような体験もないことはないが、ここまでいろんなイメージができるアルバムは、むしろ、はじめてだ。

ここで前に出てギターソロだと、直後のコーラスワークに間に合わないから、ここは沼くんじゃなくて藤田くんか、とか。

個人的希望として「君の宙」でのシュンスケのシンセからのギターソロは沼くんでお願いしたい!

アッパーチューンでは聴いていてシゲのスティック捌きが思い浮かぶし、「エデンの海」のベースライン、最高ぅ〜!ここ、高桑キリンさん口調推奨(笑)

キリンさんといえば、“ホネホネロックジャケット”も見どころ(笑)

いみじくも、「僕もバンドの一員」と佐野先輩が語るとおり、これはコヨーテ・バンドのアルバムである。


思うに、頭からアルバム曲順どおり演奏されるとして、間にMCはないんじゃないか?

いや、むしろいらない。

唯一あるとすれば、

「とてもいいアルバムです。まだ聴いてないよって方は、後ろで売ってます(笑)」

という久々のトップセールス(笑)


繰り返しになるが、ライヴを想起しながら聴く。そうすることで、よりブチ上がるアルバム。今作は特に。


ちなみに、僕のレコメンドナンバーは「植民地の夜」です。早くライヴで聴きたいのさ。


カヴァー画像: 『今、何処』アルバムジャケット

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