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その「場」に結ぶ思惟【Sandwiches #24】

 とてもよいお天気のトーキョー・モーニング。今日もボウルいっぱいの青汁ヨーグルトに玄米フレーク、それからチョコレートクッキーを2枚。それに豆乳を加えたコーヒーをあわせていただいています。朝からチョコレートはまずいやろか。あご周りの肉がめっぽう気になるところですけれども、見て見ぬふりでござい……。

 昨日は『Room 203』の楽曲紹介にあわせて「東京」についてふれましたが、そこでは東京ってなんなのだろう? なぜ自分は東京にいるのだろうか? なんて、すっかり手垢のついた青き思惟の袋小路、そこで力つきてしまいました。これまでさまざまな場面で/さまざまな人間が/さまざまな「東京観」を語ってきている(わたしがパッと思いつくのは、ふるく夏目漱石やら、あとは野坂昭如あたりの作品か、あるいはRapperの5lackの楽曲なんかですが)わけで、そりゃありふれた、でもやっぱり、はっきりした答えの出ないテーマかもしれませぬ。

 ただ、この長期間におよぶ #stayhome シーズンにおいて同様の問いをうかべた向きもおられるのではないでしょうか。なぜ東京なのやか。  

 ここでおのれ・maco maretsにひきよせて考えてみれば、ごちゃごちゃ言ってはいるけれど、この街からの影響、あるいは恩恵といってもいいそれらを多分に得ているのだった。そうだ、東京がいまの自分をつくったということは疑いようもない事実であって、そもそも上京しておらんかったら音楽活動なんてしていなかっただろうし、この「maco marets」なんちゅうメンタリティが生じる隙などありゃせんのです。

 上京してはじめて渋谷にでかけたときは、その人の多さに圧倒されました(感想は「みんな足が早いなあ」やった)。中学・高校時代の先輩がライヴをしていた渋谷のorgan bar、あの由緒あるくれたけビルの3Fに足を踏み入れたときのことは今でも思い出すことができる……わたしはあろうことかユニクロのダサいミッキー・Tシャツを着ておったのだ!! し、中野のheavysick ZEROではじめてソロMCとしてステージに立った夜、中目黒solfaで初のレギュラーメンバーとしてブッキングをもらえた日も記憶に鮮明です。

 はじめて自分のパーティをオーガナイズしたのは、2014年の渋谷・bar sazanami。それから代々木のshirokumaや、青山蜂渋谷OTOTHE ROOMそしてsolfaでもパーティを打たせてもらった。その後solfaでは少しの間スタッフとしても働かせてもらい、さまざまな人と出会う機会がありました。最近では、クラブだけではなくライヴハウス、たとえば渋谷のCLUB QUATTROLUSHのステージには何度も立たせていただいたし、代官山の晴れたら空に豆まいても懇意にしてくださった。

 ほかにも、hotel koeCITAN hostelneed supply co.TEA BUCKS、などなど……宿泊施設やセレクトショップ、カフェ、とにかくあらゆる場所で声をかけてもらい、このわたしの頼りない声を響かせつづけてはや8年。

 ざっと書き出すだけでも、確かな手触りを持った記憶たち、それらの多くが東京のさまざまな「」に依拠していることは明らかで、つまるところ自分が東京にいる理由、それをひとつ宣うとすればこの「場」と、それを取り巻く「人」がいるからに他ならないでしょう。

(もちろん、東京以外の場所にも同様にすばらしい、カルチャー・スポットがたくさん存在していることは承知のうえで……)さきほど東京の印象として「人の多さ」をあげましたが、それは場の多さ、転じて度量の深さともとれる気がします。福岡の山から出てきた、ミッキーのTシャツを着たぼんくらボーイ。それがここまでのびのびと遊びのさばってこれたのも、ひとえに東京という巨大なサラダボウルの中で、足がかりを与えてくれる「場」と「人」がゆたかに在ってくれたからこそです。

 いまのいま、くだんのウイルスの影響で、その多くの「場」が閉じてしまっている現状があります。ちょうど先日には、わたしもお世話になった渋谷の老舗、LOUNGE NEOVUENOSGladの3店舗の閉店が発表されましたが、このまま他の場所も同じように失われていってしまうとしたら、それはひとつながりになった記憶と、人と、場と、すべてが断ち切られてしまうことになる……。

 先の見えない状況に、思わず「地元の福岡に帰ってしまおうか」というアイディアが浮かぶこともあります。とにかくおのれの生活を守ることに精一杯、そんな向きも多いはず。わたしもそうです。

 しかしてこの東京でなにができるのだろうか? その問いの答えも明言できぬままに、それでも、いまこの街でストラグルしたいと思うのは、少なくとも自分にとって守りたいと思える「場」と、人との繋がりがここにあると信じているからであるかもしれません。

 なんだかまとまらぬまま、所定の文字数に達してしもうたので〆とします(ちょっぴりずるいね、ごめんあそばせ)。明日は『S.N.S.』という楽曲に関連して、今日から翻って「地元」の話をするつもりです。また!

●本日の一曲

昨日、HOTEL DONUTSからあたらしい曲をリリースしました。origami PRODUCTIONSさんの「origami Home Sessions」という企画で配布された、ギタリスト・関口シンゴさんの音源データをもとにMATTON (PEARL CENTER)さん、MADLISKさん、そしてわたしmaco marets のMトリオで制作した楽曲です。よければぜひ聴いてくださいね(下のプレイリストにも追加しています)。


 


 

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