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まるっこいシを抱いて(ft.『Deadbody』)【Sandwiches #47】

 これまでのルーティーンにそえば今日はフリーな話題を書き散らす番なのだけど、首の痛みによる実質的休載回一回休みのそのわけは【Sandwiches #45 】)を挟んだせいでよ、6月いっぱいぴったしで3rdアルバムの楽曲まで紹介し終えるというひそやかな野望が狂ってしまった(!)ことに気づいたわたしです。

 でもってどうしようか考えた結果、二日連続で「楽曲紹介」すればええかと思い至った。イレギュラになりますが、そもそも厳格なルールなどないのが「Sandwiches」だもの。好きにしましょ。

 そんなわけで2018年リリースの2ndアルバム『KINŌ』から、M3『Deadbody』をご紹介します。よければお付き合いくださいませ。

 こちらのビデオはmaco maretsの「Summerluck」「Amazing Season」ほか幾多のMVを手がけている重要人物ウエダマサキさんが、イラストレーターのほそのあかねさんとタッグを組んで制作してくださいました。『KINŌ』のリリース一周年という特別なタイミングで公開されたこともあり、ひときわ思い入れの強い作品です。

 ループしつつ少しずつ彩りを変える映像のなか、ゾンビポーズでゆらゆら歩くmaco maretsらしき人物、これはわたし自身が実際にカメラの前で演じたのですけれど、それに加えてコーヒードーナッツといった昨日の「Hum!」(すばらしサンドイッチ(ft.『Hum!』)【Sandwiches #46 】)にも通ずるカジュアルなモチーフに、ちょっぴり不穏なナイフ(持ち手の「M」印がかわいい)なんかも登場します。

 そうだ、この曲に関してはまさにコーヒーとナイフ、ちょっと大げさにすれば「日常」とでもいいましょうか、そんな対となるイメージを頭に置いて書いたものでもありました。

 もっとも大半は「日常」の部分なのであって、たとえば冒頭から「BUY ME FOODのスウェット」「無地のデニム」「Mac Demarco」「神楽坂」「コーヒー」「ハン・ソロ」などなど、普段の俺! こんな感じやよ! としつこいくらいに主張してくる数々のモチーフたちたち。ゆるやかな「すき」を詰め込んでみようとした結果ですがこりゃ、盛り過ぎ気取り過ぎやろうか。

 いつかお話ししたように(くらしのこだま(ft.『be home』)【Sandwiches #41 】)、maco maretsとしてアルバムを構成する際には時間感情の起伏といったものの「経過」がなめらかに感ぜられるよう意識して曲順を決めています。「Deadbody」の場合は、M2「Hum!」で起床し、外に飛び出した「わたし」が「どこを、どんな格好で、どんな思いをめぐらして歩いてゆくのか」と、そのままシーンを繋げるように想像して書いた。「BUY ME FOODの〜」といったモチーフも、そのディテールを描く意図であったと言えそうです。

 正確なたとえかどうか微妙だけれど、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の冒頭、Huey Lewis & The Newsの「The Power of Love」をバックに主人公・マーティがスケートボードで登校するシーンがあるでしょう?何気ないオープニングではありますが、街を走りぬけ、遅刻切符を切られ、バンドのオーディションを受け、ガールフレンドと絡み……といった一連の場面で、観客は十二分に主人公のファッション・スタイルや、性格を推察できますね。あんなイメージかもしれません。

 ただ欲は出るもので、当時のわたしは「ユルい」「心地よい」「ささやかな日々を享受する」……そんなぼんくらボーイを映し出して紹介するだけでは物足りなかった。もっと聴くものがぎょっとするような、すぐには飲み下せないひっかかりを持った導入にしなければ! と考えたわけです。

 そして、そこで浮かんだのがわたしたちの日々に常に寄り添うひとつの影、もうお分かりでしょうが「」というテーマでした。「ごきげんなdeadbody」「まだ死ぬにははやいぜ」なんてフレーズは、あくまでカジュアルな語り口のまま、何気ない日々の「生」を裏返した先を匂わせたい、とそんな小細工だったのですが、いや、ちょっとべらべら書き過ぎかしらん。今日はこのあたりでやめておきましょう。

 「死」について感じるところは、また日をあらためて書けたらよいなと思います。ちと尻切れとんぼですが、このへんで。

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 今日もお便り返信いたします(今日掲載できなかったものも、明日以降順番にご紹介させていただきますね)。

●ペンネーム:アハナムジカさん

はじめまして!macoさんの音楽を毎朝コーヒーを飲みながら聴いています。今はDeadbodyがお気に入りです。ビートと声の相性の良さ、さりげない歌詞にいつも心地よい刺激を受けています。僕も音楽を作っているのですが、最近は歌詞がなかなか思いつかなくなってしまいました。歌詞を書くにあたって、いつもどうされているのか、できれば教えて頂きたいです。宜しくお願い致します。

>>ちょうど「Deadbody」の話題にあわせて紹介することができ、ちゅちゅっと運命的なものを感じました! ありがとうございます。歌詞がなかなか思いつかないとのことですが、や、ほんとうにわたしもずうっと同じ状況なのです。どうしたもんでしょうね……。

 いちおう自分のやり方としては、最初にもやもやっとした、映像的なイメージをあたまに浮かべて書くことが多いです。トラックに含まれる音のひとつひとつ、それからそのとき自分がいる時間、場所、気候、もろもろが組み合わさったmoodからうまれた映像(といってもなかなか「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のごとくあざやかな映画にはなってくれぬ、ただただ霧が立ち込めたような、抽象画のごときビジョンであることがほとんどです)をスケッチするように、むりくりでもことばを探して描写してゆく。

 ひとつふたつフレーズが出来上がると、それを足がかりに肉付けし、色を塗って、とその世界を膨らませることができます。「テーマ」なんていうのは後付けで、まずはその流れにまかせてみると面白いかもしれません。

 このやり方ゆえに生じる曖昧さ、それは「良くも悪くも」な種類のものかもしれないけれど、最初からことばをことばで語ろうとすると頭でっかちになりがっち、だしすっぱり説明できるような「テーマ」なぞxxxx、xxくらえなのよ! 手が止まってしまうときも、そのラフさでもって楽しんでゆきたいですね。おたがい、スランプに負けずいそしみましょう。

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