「電験3種の理論ですが、実務とどう関係あるのか想像できず勉強に身が入りません。静電気などの学習はこの資格にとってどういう意図があるのでしょうか」

通信講座にて、題記の質問を頂きました。

私なりの回答をしました。以下、回答内容となります。

資格はあくまで資格。それを活かせるようにするのは自分の在り方だと思っています。


講師の立場での意見にはふさわしくないかもしれませんが
まさに仰る通り、実務と関係がない部分が多いです。
自分は現場で電気主任もやっていますし、現場修繕もやります。メーカーとの共同設計も経験しています。その上での意見なのですが、電験3種という資格を所有して、現場で活躍していくことが狙いであるから、マニアックな学問チックな知識は必要ないと思います。
 
もっと現場のトラブルを解決するような問題を扱うべきでしょう。
そのため、電験3種関連の仕事をやめようと思ったこともあります。
電験3種の講師と話をしていても、現場を知らない人も多く、実務、修繕すらできない人が圧倒的に多いからです。
 
しかしながら、最近、考え方が大きく変わりました。せっかくこの講座で出会えたので、伝えておきます。
 
高いレベルの電気主任技術者になるのであれば、静電気の勉強も必要だというものです。必要だと感じた理由として「①考える力を磨くことができる」「②現場でのトラブルを解決できる」があります。
 
静電気と電磁気は密接な関係があって、力線、場、静電容量の考え方を学べます。ただこれだけだと、あまり実務では意味を持たないと感じていた時期もありました。電荷の大きさがどうだとか、電界の向きがどうだとか、電界計算は、よく使う磁気分野の下積みぐらいにしか役立たないかもしれませんね。
 
経験を積む中で、静電気に関係するコンデンサ、保護継電器、変流器などに関する現場トラブルを経験しました。コンデンサは計測装置の駆動装置に入っていて、劣化してくると始動できないことがあります。(コンデンサ始動法) テスタで電圧を測定したのち、劣化と判断、予備設備のコンデンサと入れ替えることで難を乗り切りました。
保護継電器の原理は電磁気の知識が沢山使われています。変流器での巻線トラブルや適切ではない巻数の発見などがありました。
 
静電気、電磁気でもありませんが、アドミタンスの知識があったため、先日、電力会社の連絡ミスによる予備線利用による単独運転検出装置の動作で、私の所の発電機が停止しました。送電線を変えたことでアドミタンスが変化したためです。電力会社がもたもたしているので、アドミタンスを調べることを指示し、結果、数時間停電だけで済みました。
 
知識があると、現場技能と合わせることで、修繕ができる可能性が高くし、トラブルの原因判断が早くなりました。結果として早く仕事を終わらせて楽に仕事ができます。
予算がない場合はお金を作り出すことができますし、改善として上げる場合、内製化として仕事を完遂することができれば、大きな成果となります。自分の仕事を進めやすいようにお金を工面することができています。
 
 
ここまで自分はこうだった!と書いてしまいましたが、現場や職場によって、できる事などは違いますよね。その場合には、仕事も勉強も楽しんでやることができたら良いと考えていて、静電気の分野も、こんな公式があって、こんな問題があるんだ!解けるように(クリアできるように)なろう!と楽しむことができたら良いかもしれません。
 
 
 
もう一つ、自分が目指している所があります。
 
電気主任というのは、昔、本当に選ばれた人しかなれなかったそうです。
書籍もない時代の話で、大学の先生クラスが電気主任をしていた時代です。
電車の設計などを電気主任がやっていました。
 
諸説ありますが、そこから仕事を切り分けて、この仕事はやりたくない、これは違う、メーカーに丸投げとやっている内に、今の電気主任になってしまったように自分は考えています。
 
自分は総合的な知識を身に付け、昔のように、会社を、社会を引っ張っていく電気主任技術者になりたいと思っています。このぐらいまで目指すと、リターンが大きいかと思います。
 
来年1月に、自分の講義動画が世の中に出ますが、こんな想いをもって、ひとまずは電験3種講義を頑張ろうと思っています。
 
歳を取ったら、個人で現場仕事を取って、キュービクルなどの点検ができると、何の心配なく、暮らしていけるかなとも思います。トラブル時に助けてくれるのが知識と考える力ですので、個人的には頑張って勉強してみて欲しいという想いがあります。

ここから先は

0字
2019年2020年の経験を経て、新たな形のオンライン塾。勉強資料を格納している。既存の塾や通信講座や特別講座以上に「基礎知識」「失敗確率を極力減らす方法」が得られる。定期的に届く配信記事をきっかけに問題を解いたり読んだりことで知識のベースアップも狙う。塾や通信講座のメリットに加えて、難化する試験対策を考慮した戦略を共有するマガジン。最近はさらに発展し、資格取得後の先の話を開拓している。

国家資格「電気主任技術者試験(第3種・第2種)」に関する学習の場と書庫。参考書以上をより分かりやすく解説。また、自身が執筆する参考書原稿の…

頂いたサポートは困っている誰かに使わせて頂いております。下さった気持ちは自分が貰うので、できる限りお返しに参ります!!