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お茶マーケティングやってみた②

さあ、前回の遊びがマジになり、お茶ペットボトル業界のリサーチを始めた。🔥

前回の記事はこれ↓

 そもそもこの業界はどれくらいの規模なのだろうか。

 伊藤園の資料によると、緑茶飲料市場は1980 年代に誕生し、2004 年から年間 4000 億円規模の市場として安定して推移しているという。2015年以降は特茶の台頭を受け、新商品開発による新規顧客開拓か、既存商品のリブランディングによる顧客獲得の二択で競争が進められている。

最近市場が活性化してるわけか、ふむふむ。

(図表:ダイヤモンドオンライン記事より)

これ以降は分析タ〜イム!大変長い記事で、記事④まで続くので、目次を見ながら飛ばし飛ばしご覧ください。

ーこれ以降の流れー
記事2①製品の分析 前半戦:お〜いお茶、生茶編
記事3①製品の分析 後半戦:綾鷹、伊右衛門編
記事4②プロモーションの分析
・CMにおけるメッセージ性や、
・起用モデルの変化、選定理由をまとめてみた
記事5③ターゲットの分析
   ④各メーカーの成果と、2020年現在の注力状況は??

①製品分析
ここでは、それぞれのお茶ブランドの発売時期ときっかけ、ブランド名の由来などをまとめていく!!!また、製法のこだわりや、パッケージデザインも深掘りしていこうと思う。

ⅰ「鮮度」のお〜いお茶

 お〜いお茶は何より、緑茶業界の先駆者的存在。一番初めにペットボトルのお茶を販売し、業界市場占有率一位をキープし続けている、緑茶界のドンなのだ。

ー販売のきっかけ

 伊藤園が創業されたのは、1960年代。この時代は、スーパーマーケットが存在感をアピールし始めた時期と重なる。そこで伊藤園はもともと"お茶の量り売り販売"をしていたのを、スーパーマーケットでは"パックされたお茶の販売"を始めた。これが、伊藤園の緑茶を売り出すきっかけだった。
 時は流れ、1984年にはペットボトルの先駆けとなる缶入り煎茶を販売!初めて缶入りで商品化する検討をしたときに、焼き芋のような「芋臭」がすることや、お茶の味ではないような変わった風味になってしまうことが課題であった。これらの原因は「酸化」で、研究開発は常に「酸化」との戦い、つまり「鮮度」との戦いだったという。そう、この鮮度が、伊藤園のキーワード。鮮度に注力した開発は、伊藤園の独自性を作り上げた。

 その後1999年に500mlペットボトル発売を開始。缶やペットボトルのニーズが高まっていくと、緑茶のニーズも増え、伊藤園の売上も上がっていった。

ー製法のこだわり

お~いお茶の主原料で使われる専用茶葉は、通常の茶葉に比べて、蒸す、揉む、乾燥させるといった、摘んだ茶葉を加工する工程にかかる時間を半分にすることで、”熱劣化”を抑えている。また、単時間で茶葉を“焼しめる”ことで、「ステーキの表面を焼いて肉汁を閉じ込めるようなイメージ」で、良い成分を凝縮することができる。このような専用茶葉は、2011年から使われ始め、使用量は年々増加。現在ではお~いお茶に使われる原料の6割を占めるまでになった。
 伊藤園では契約農家に自社専用の茶葉の栽培を委託。お~いお茶の為の専用茶葉づくりを生産農家の方々と一緒に取り組んでいる。そして、ホット飲料用、コールド飲料用、リーフ製品用とそれぞれの商品ごとに最適なお茶の葉から開発を行なっている。
このように独自のバリューチェーンを持つことが伊藤園の強みであり、原料の鮮度キープに強く影響しているのだ。すごい。

ーパッケージデザインのこだわり

 2017年リニューアルにおいて、上部にドレスのような、“ギザギザ”した加工を追加。このデザインも、鮮度キープに繋がっているという。その秘密は、光の当たり方にあるという。緑茶の鮮度の大敵は、コンビニのLED照明。この照明は、ラベルを退色させるほどの強い光を放つ。そして、普通のペットボトルだとお茶の品質劣化につながってしまう。そこで新容器は、上部のギザギザが光を乱反射させることで、お茶に影響を与える有害光線を2~3割ほどカットさせた。これが鮮度キープに繋がっているのだ。なるほど!

 また、ボトルの中から酸素を取り除く技術もパワーアップ。理論的に言うと、お茶の酸化を防ぎ、劣化を防ぐには、そもそも酸素に触れさせなければよいのだ。お~いお茶の抽出液中の酸素濃度は、3ppm以下で、業界最小クラスであるという。

ⅱデザイン性に溢れる生茶

 次に、生茶は伊藤園の次に早い、2000年にデビューを果たした。しかし2005年をピークに売上は少しずつ減っていき、何度も行なった改善も実らず。。苦労の日々を過ごしていた。
 ところがついに、2016 年に起こした大幅なリニューアルがヒットして、なんと前年同期比190%を記録。また、そのデザイン性は当時の日本パッケージデザイン大賞2017一般飲料部門で金賞を受賞するといった快挙を得た。努力は実を結ぶんですねえ〜!生茶のポイントは、このパッケージデザインのこだわりにあります。

旧生茶デザイン

新生茶デザイン

ー販売のきっかけ

 生チョコレート、生ビールなど、日本人は『生』という言葉にいいイメージを持っている。そこで、『お茶にも生があればどうだろう?』との発想で始まったのが生茶だった。
 このイメージをさらに進化させたのが、2016年のリブランディング時。この時期になると、緑茶飲料がコモディティ化した一方で、急須から入れたお茶を知らない世代が増えたという。
 そこで、売上を上げようといった目標ではなく、緑茶の本質と向き合い、「お茶の命力をまるごと引き出した緑」を作ろうと、生茶の意味合いをさらにもう一段階深めたのだ。

ー製法のこだわり

 お茶を高温で淹れると、カテキンという苦みの成分が出る。一方、低温の場合、カテキンの溶出が抑えられ、旨みや甘みが際立った味になる。そこで最適な温度を59度と低温に設定し、お茶を抽出。抽出の工程で、乾燥させたり、火を通したりする前の「生茶葉」を使い、少し青々しい香りを加えたという。
 また2016年以降の新「生茶」では、かぶせ茶を細かく刻んだ「微粉砕茶葉」を使用したことが、味づくりのポイントになった。また、粉砕した茶葉が沈殿するため、飲む前に振る、というひと手間が加わった。このひと手間が、使用茶葉のこだわりを顧客に伝えるポイントになっている。

ーパッケージデザインのこだわり

 生茶は緑茶のイメージを現代に溶け込みやすい形に仕上げている。つまり、昔からある伝統的な「着物」や「急須」といったイメージから、持ち歩きたくなる、現代の日常生活における新しいシーンを彩るものに変化させたい思いがあるのだ。
 そこで、生茶のボトルにはデザイン性の高いガラス瓶のようなイメージを保ちながらも、強度を保つ工夫がほどこされている。また、発色と透け感のさじ加減でガラス瓶らしさを表現。デザインに含めるワードも極力少なくして、シンプルで上品さをアレンジした。

2020年現在のコピー "生"を強調し、新鮮さを伝えている

今回はここまで。次回は、綾鷹と伊右衛門の製品分析を行っていく!

続いての記事はこちら↓


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