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この世界で、私だけが知っていること。 そんなことは殆どないけれど、きっといくつかはあるのだ。 「私以外は、誰も知らないこと。」 そうとは気が付かずに、通り過ぎてしまうこともある。 たとえば、祖母がまだ結婚してすぐの頃。 「うちの木戸のそばにね、あけびが植えてあったの。」 祖母が語り始めると、セピア色の写真が鮮やかに色づく。 それは私がよく見知っていた祖父母の家ではなく、建て替えられる前の家のことだ。 私の記憶の中にあるお家に、祖母が語ってくれる昔の家の面影が