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ドイツに住んでみて(6)

まだの方、「ドイツに住んでみて(1)」をお読み下さい。

16.街の様子

私が住んでいたところは、フランクフルトの北にある小さな街で、数百メートルくらい歩いてちょっと小高い場所に立つと、眼下に一面の麦畑が広がる中、遙か向こうにフランクフルトの高層ビルがかすんで見えた。

一般の都市では、その都市にある教会より高い建物は建ててはいけないそうだが、唯一の例外がフランクフルトで、たしかに銀行系の高層ビルが建ち並んでいた。

フランクフルトの街は、日本に比べれば治安が悪く、我々日本人はグリーンベルトと呼ばれる地帯の外側には、歩いて出ないように言われていた。それでも、中央駅付近には余り近づかない方が良いと言われた。

高級な宝石などを販売するショップでは、ドアに鍵がかかっており、怪しげな人は入れないようにしている。ドイツにいる東洋人は金持ちばかりなのだろうか、私たちは、簡単に笑顔で入れてもらえた。

フランクフルトまで車で行き、駐車場に車を止めて買い物をする。駐車場に止められないと言うことはほとんどなく、3つくらいの駐車場を覚えておけば十分だった。駐車場のシステムは日本の無人駐車場と同じ。精算は事前に済ませていた。

街の中心部は、車は乗り入れられないので、歩きでぶらぶら回る。ショッピングビルとかレストラン(日本食レストランも)、前に書いたような市場など。ストリートオルガンもあったりして、ドイツ(欧州)だなぁ、と思う。キリスト教の宣教師にも何度か声を掛けられた。

スリにも遭った。集団で来るんだなとおもった。直後にハッ、と気がついて追いかけたけど、知らぬ存ぜぬを通されると追求のしようがない。とりあえず警察に届けておいたら、後日、お金以外のものが戻ってきた。

パスポートは家においてあったので、被害には遭っていない。しばらくして、警察から書類が来たので、アパートの大家さんに見せたら、捜査を打ち切ります、と言う連絡だそうだ。まあ、その程度の犯罪、捕まらないよね。

フランクフルトの動物園に行く機会があり、いつもの駐車場に車を止めて、地下鉄で1区だけ乗車した。私ははじめての電車。妻は、娘を迎えに行っていたので、いつも使っていたと思う。

17.トイレ事情

結構困ったのがトイレ。ドイツにはトイレが少ない。例えば、地下1階、地上5階建てのショッピングビルで、トイレがあるのは、地下1階と4階だけ、とか。町中に出ても、駅にはトイレはあるけど、それ以外の場所にはまずないと思った方が良い。

これでも、他の欧州の国に比べると、ドイツはトイレが多いらしい。それでも、たとえばドアに10Pf×2(100Pf(ペニヒ)=1マルク。当時、1マルクは80円程度であった。まだユーロがない時代)って書いてあって、小銭を持っていなかったら、この緊急事態にどうするんだろう、と思ってしまった。

なじみのお店のトイレを借りることもあった。防犯のため、トイレには鍵が掛けられており、鍵を借りてトイレに行った。

行き慣れている場所では、どこにトイレがあるのか覚えておかないと、何しろ幼稚園の娘を連れているので、ちょっと待ってがきかない。

18.ドイツの学校

娘は幼稚園(保育園の年長組?)の年齢だったのだけれど、6月にドイツへ行くことが決っていた。4月に入園して、友達ができた頃に引っ越すので、それはかわいそうかと思って、入れずにドイツへ行った。

日本人幼稚園はないので、現地の幼稚園に入れた。ドイツは9月始まりだ。7月生まれの娘は、日本で言う早生まれみたいになり、向こうへ着いたら、それはすぐ、幼稚園に入らなければ、と言う話になって、早速手続きが始まった。

簡単なテストがあったらしいが、ドイツ語はベルリッツで少し妻と一緒にドイツ語を聞いた程度で、全く話せない。先生が三角形を見せたら、いつ覚えたのか、Triangle!と言ったので、先生たちが、この子、英語が話せるの?と、びっくりしたそうだ。

言葉がわからないので、最初は隅っこで小さくなっていたそうだが、幼稚園の先生のヘルプもあって、次第に友達もでき(Aちゃんとか、Nちゃんとか)、みんなとなじんで、どこかへ遠足みたいに言った時も、お友達となにやら食べている写真を、先生からもらった。

小学校からは日本人学校がある。永住するつもりはないので、こちらに入れる。日本人学校は4月始まりなので、これまたややこしい時期に、幼稚園を卒園して、日本人学校に入ることになる。

朝は私が車で送っていき、帰りは妻が電車で迎えに行く。毎日そういうことを繰り返していた。

ランドセルは、日本と異なり、四角い形をしている。店には、色彩豊かなランドセルがたくさん並んでいた。このあたりも、無地の、しかも当時は男子は黒、女子は赤と決っていた日本とはかなり違った。背の小さな娘は、ランドセルが大きいので、どっちがどっちを背負っているのかわからないくらいになる。

中学校から上の学校については、行かなかったのでよくわからない。

(続く)

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