見出し画像

司会者も泣いてしまった披露宴の話

ロザン、菅ちゃんのnoteを読んで・・・
過去に長文ツイートした内容ですが、これをずっと残しておきたくなったのでnoteに転記します。

20代の頃、披露宴司会の仕事もしていました。
司会者の仕事は、新郎新婦の望む雰囲気で滞りなく回を進行させること。
結婚式なんて感動場面ばかりなので、泣きそうになることなんてしょっちゅうあるけど、プロなのでそこはグッと堪えて進行します。

ですが・・・過去、約300組ぐらい担当した中で、もらい泣きして言葉が詰まってしまった・・・という披露宴が2回だけあります。
1回は親友の結婚式司会
もう1回は、完全に仕事として受けた、某高級ホテルでの披露宴でした。
これはその時の話です。

新郎新婦は大学時代のバイト先で知り合ったカップル。
お2人とも、いつもニコニコ笑顔で、初対面でも完全にいい人と分かるぐらいのステキなお2人。

そんなお2人の結婚式に 新郎側の親族は誰一人参加しませんでした。
新郎側は職場や友人のみ
理由はただ一つ、新郎の親が結婚に反対しているから…

新婦は生まれつき、耳が不自由な方でした。
バイト先で知り合い、お付き合いを始めた時は彼のお母さんとも良い関係だったそう。 しかし、いざ結婚となった時に、猛烈に反対されたそうな。
それでも新郎新婦の気持ちは堅かった。

打合せの時も、いつかは分かってもらえると思うから…と笑顔で仰るお2人 その時から私は既に泣きそうだった。
披露宴当日、列席者のバランスはおかしいけれど、それ以外はお2人のお人柄通り、列席者のスピーチも余興も、あったかくて本当に和やかな雰囲気でした。 終盤にさしかかりました。

エンディングの目玉といえば、新婦の手紙です。
私は、手紙の代読を断る司会者でした。
読み方が下手とか全然関係ないのです。
本人が読むからいいのです。
この時も、耳が不自由だから言葉も皆さんに聞き取りにくいだろうから、司会者さん読んでほしいと。
でも、打合せでお話している限り、話は難なく通じるし、なによりもご両親は彼女の言葉を全てスムーズに理解されるはず。 これは私が読む意味がない。ということで、コピーをお預かりして、もしもの時には途中からでも代読するから…とご自身で読まれることをオススメしました。

<新婦の手紙(後半部分)>
私は、産まれた時から耳がほとんど聞こえません。 両親は小さい私の将来を考え心を鬼にして、ずっと言葉を教えてくれました。 毎日、泣いて反発していたことをよく覚えています。 今思えば、泣きわめく小さい娘に厳しく教え続ける母の方がきっと辛かったと思います。
そのお陰で、私は普通に大学までいけて●●さんと出会い、今日の日を迎えることが出来ました。 感謝という言葉だけでは足りない、ずっと愛情を注いでくれてありがとう。 私はお父さんとお母さんの娘に生まれて良かった。

そんな内容でした。

新婦のご両親はもちろん、会場の全員が声を上げるほど泣いていました。
普段怖い、ホテルのキャプテンの目にも、うっすら涙

手紙後、花束贈呈までの私の司会コメントも、ちょっと詰まってしまいましたが… 誰もそんなこと気にならない雰囲気でした。

新郎のご両親も、我が子を心配してのことだと分かっているけれど…
この手紙は聞いてほしかったな
あの時の新郎新婦は、幸せに暮らしているかなぁ?

以上、司会でも泣いてしまった披露宴の話でした。
親の愛情は色んな形がありますね。

この記事が参加している募集

結婚式の思い出

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?