カリフォルニア天国

だめだ、まるで手に負えねえ。

そもそも野菜にそれ以上の意味など無いのではないか?そう思わざる得ないほど、果物など比にならないくらいまったく手がかりが無い野菜問題は日々重くのしかかる。
日々の業務にも支障をきたすほどになった頃、思わぬところに糸口があった。
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一度やはり原点に立ち返って、そもそもなぜこのホワイトナイト・ライオットが野菜なのかを改めて検証してみよう。

この事件の発端であるハーヴェイミルク暗殺事件には主要な登場人物が3人いる。まずは被害者であるサンフランシスコ市長のジョージマスコーニと市議会議員のハーヴェイミルク、そして、同じく議員であり、殺害犯のダンホワイトである。
事件の概略は、アイルランド系の厳格なカソリックをバックボーンに持つダンホワイトが、自身の経済的困窮と、政治的信念の挫折により、職を辞するところから始まる。
しかし、彼の支持者はそれを許さず、辞職を取り下げるよう促したため、ホワイトは改めて市長に辞表の無効を掛け合うのであった。かくしてジョージマスコーニ市長に再任の確約を取り付けることに成功したホワイトは、議員へ復職するはずであった。しかしながら、再任命されることは無かった。
ここに謀略があったか無かったかは窺い知れない。

このホワイトという男の政治的信念の挫折とは、カリフォルニア州条例第6条というものが関係している。
この条例とは、「同性愛者はその性的志向から教職者としては不向きであるため解雇、または不採用にできる」というものであった。2012年(この記事は2012年に書いたブログの再編成です)現在から考えると、人権という観点から恐ろしく乖離している条例であるが、
1970年代というのはとてつもなく保守的であったのだ。そして、1975年から数年は、文化、政治、思想に強く関与していた前時代の「常識」という視点が大きく覆されるターニングポイントであった。
1978年、この条例第6条はカリフォルニア住民によって破棄される。

この条例破棄にもっとも尽力した人物こそ、ニューヨークから来た開放的な文化人で、地のゲイコミュニティーをバックボーンに市政へ本格的に参画した、ゲイの市民運動家ハーヴェイミルクであり、そして、この第6条を巡り、熾烈な対立をしていたカソリック系の代表者の一人がダンホワイトであった。

対立に破れ大きな挫折を感じたホワイトは、同時期に子供を授かるという出来事もあり、市政の公僕の薄給だけでは生活が立ち行かないと、辞職を決意する。
これは、どういうことか。議員の給料では生活できないとは。
調べてみると、アメリカの市会議員の月給は比較的少なく、多くて数百ドルと、現在のレートで日本円に換算してみると、数万円、だいたい7~8万となる。
まさか、と思いさらに調べてみると、議員の給料はハーフタイムとあり、つまりこれは、通常の労働賃金の半日分、平たく言えば、平均賃金の半分とのことだ。何たる事実。ほとんどボランティアじゃないか。
なるほど、つまり強い政治信念を者でないと議員は務まらないということか。挫折は致し方ない。
しかし、ホワイトの支持者層であるカソリック系アイリッシュが更なる支持を表し、辞表の撤回を促したため、ホワイトは再任命を掛け合うこととなる。

こうして理想に燃えた二人の政治家が、言論の果てに暴力という結末にたどり着く事件の波紋へ、最初の一滴が落とされるところで次回へ続く。

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