「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」
「キュビズム」とは、20世紀初頭の代表的芸術運動で、人物、静物、風景等あらゆる対象を幾何学的に分析し、平面化して描く、ピカソやブラックによって始められた試みです。
アフリカの造形物などは、そもそも無意識にこのような手法で作られていて、それを見たピカソがその独特の力強い表現に衝撃を受けて、自らの表現方法を思い切り変えたわけです。
今回の展示の中で、私が好きな作品はファン・グリスの「ギター」。ギターの形状も色遣いも絶妙な表現です。
「破壊と創造」、アートだけでなく、何事も、既成概念に捉われていれば進化せず停滞、衰退の道を歩むもの、従来の絵画は遠近法と陰影法で今の写真以上にリアルに表現するものが良いとされていた時代に、この運動は数多くの避難、誹謗中傷を浴びました。
今の時代から見れば考えられないことですよね。
しかし、何事も一方向に偏り過ぎると新しい表現は生まれても失われてしまうものもあります。
キュビズム以降は、主観主義に陥ったキュビズムを批判し、これからの工業化社会を前提とした、機能性によってキュビズムを乗り越えようとした「ピュリズム(純粋主義)」とう運動が起こります。提唱したのは、アメデエ・オザンファンとル・コルビュジエ。
そのル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館で、この展示が行われているこにとても感慨深いものがありました。
個人的に、国立西洋美術館は、日本の美術館の中で最もそのデザインが好きな建物です。この建物は、2007年に重要文化財に指定されました。
常設展の中でもいつも足を止めて見入ってしまうのが、クールベの「罠にかかった狐」と、ゴッホの「ばら」。クールベの狐の表情には胸を締め付けられるものがあり、ゴッホはひまわりを描いてもばらを描いてもゴッホだということがわかる作品です。
「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展―美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」
国立西洋美術館
2023年10月3日(火)〜2024年1月28日(日)
時間 9:30 〜 17:30金曜日・土曜日は20:00まで
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?