見出し画像

Afrian leaders in the next generation

Why did he drop out from the school?

ビジネススクールの同じクラスにとても優秀なジンバブエ人がいて、いつも率先して挙手して、どんなファカルティの質問でもそれはそれは堂々と自分のスタンスを発言し、こんな風になりたいものだと思っていた矢先、ビジネススクールの前半のカリキュラムを終了したところで、彼の姿を見かけなくなってしまった。
その後しばし自分の宿題に追われて、そういえば姿を見かけなくなった彼はどうしたものかと平日昼にお茶を飲む約束をして、久しぶりに会った彼はクラスではつらつと発言し皆に気さくに挨拶して回る一面と少し違って、なんだか随分と疲れた印象で、学費がつながらず途中でカリキュラムを断念したというクラスの噂は本当だったのかもと感じた。


彼曰く、当初より勤務先のボスが学費をサポートすると約束していて、クラスがスタートして、1か月経ち、2か月経ち、3ヵ月経ち、何度となく「会社が学費を払う」という意思を確認し、それでも学費は払われず、遂にビジネススクールのファイナンスサイドがこれ以上は待てないとなって、授業中に使用するプレリードや資料のオンラインフォルダへのアクセス権を強制的に停止し、彼はカリキュラムの途中から資料にアクセスできないまま授業に出席を続けたものの、試験を受けることができず、そしてコースを続けることもできなかったという。

R60,000 is equivalent to 3 months of his salary

彼が現時点で支払わなければならない金額はR60,000。日本円にしてapprox. JPY450,000。私費で一旦払うことも考えたが、この金額は彼のサラリーの3か月分にもなるとのことで、自費で払うと自分の生活が全て止まってしまうためその選択肢も難しく、いまから奨学金を探すことも考えたが、彼の選択したコースはそもそも16ヵ月と短く、既に6ヵ月が過ぎようとしていて、奨学金審査のプロセスを待っていたのでは大学側が要求している支払期日にやはり間に合わない。結局、担任の先生とファイナンスの担当者と交渉に交渉を重ねて、なんとかいま自力で払えるR8,000(approx. JPY60,000)を支払って、少なくともコース前半は終了するために、途中でシステムへアクセスが停止して受けそびれた3科目の試験を受けることと、残金はあと8か月間待ってもらえることになったとのことだった。


そもそも学費を払うといって払わないボスとの信頼関係は失墜してしまい仕事にも影響しかねない出来事のように見えるが、彼は南ア人ではなくジンバブエ人で、就労ビザで南アに滞在しており、次の仕事が見つからない限り簡単に仕事を辞めることができない。会社側は、MBAを取得したとたん彼が次のキャリアのために会社を辞めようとすることは計算済みなので、できるだけ彼を引き留めようと、MBAの学費を援助すると言っておきながら実は払わないという随分大胆なコースを選択したようにも見える。


ビジネススクールはビジネススクールで、試験は受けさせると言いながら、引き続きオンラインフォルダへのアクセスは許可していないため、彼は試験勉強に必要な資料には一切アクセスできておらず、ビジネススクール側が試験をパスするためにサポートしようとしているのか甚だ怪しい。


ただ、冷静に考えると彼も事態をやや甘く見ていた面があったのではと言えなくもなく、そもそも「MBAの学費を払うと言っておきながら払わない上司に何度もいつ払うのか確認するも未だに払われない」という事態を6ヵ月間進展なく過ごすというのも何か他に策はなかったのかという気もするし、オンラインフォルダへのアクセスは停止する前に全ての資料はダウンロード可能だったし、コピーセンターでお願いすれば印刷もできたし、この間に結婚してバボラという相当額の支度金を彼女のご両親に払ったり彼女にものすごい大きなダイアの指輪をプレゼントしたり、終始一貫して、会社が払わないなら身銭は切らない作戦だったのかなと正直思う。

ひと通り話しを聞いて、実は新婚の奥様も一緒に来ていて周辺でひとりで買い物をしながら彼を待っていると聞いて、折角なのでそのままカフェで奥様も一緒にランチを食べることにして、結婚式のときの話しを聞いたり、ジンバブエのことを教えてもらったり、久しぶりにキャンパスの外に出てリフレッシュしたひとときだった。彼は、彼女のハンバーガーをナイフとフォークで器用に半分にカットして、彼女曰く、ステーキでもハンバーガーでも彼はなんでも彼女の食事を丁寧にカットしてくれるとうれしそうに教えてくれた。

How can next generation get opportunities to become an African leader?

次の時代のアフリカを支える若手リーダーの育成が喫緊の課題であると誰もが賛同し、受け皿である教育機関がカリキュラム作成やファカルティ確保に尽力し、国際社会が金銭的な助成を申し出て、実際に南アにはびっくりするような優秀な学生も多く、いよいよ機も熟したかのように見える一方で、当事者が本当に主体的にゴールを目指しているのか、結局最後は、投資の意図と現地の当事者本人のゴールが一致しているかどうかが成果を大きく左右するように思う。

困っている人がいるから助ける、という意識も重要なのは理解するとして、困っている人が本気で頑張ろうとしたときにその本気にそっと後押しする支援が提供できる人になりたいと思う。もうひとつ、何か助けてもらいたいと思うことがあるとき、自分で最大限頑張った上で、積極的に周囲に助けを求めることが大切だと感じる。特に金銭的な課題は外野からは非常に見えにくく、本人が本気で助けを求めるかどうかで未来は変えられる可能性があるのかもしれない。

というわけで、本日の学びは2点。支援は主役である本人のがんばりをそっと後押しする支援であること。そして困ったときは精一杯解決に向かって進みながら、臆せず周囲に助けを求めること。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?