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Multilateral - Job hunting in South Africa

転職活動を開始して9ヵ月、最後のアサインメントである修論提出まで3ヵ月を切っているのに仕事は決まらず、しかも転職活動というのは意外と待ち時間の長い活動で、いろいろなシナリオを考えれば考えるほど状況は厳しい気がして、日本でポジションを探す活動に切り替えるべきではと思っていた矢先、ケープタウンの学会で名刺をいただいた方からメールが届いた。

「LinkedInに面白そうなポジションが出てるから、興味があれば受けてみるといいよ。CEOが知り合いなのでもしオンラインからエントリーしたら連絡して。」と書いてあった。

ポジションはヘルスケア分野の国際機関の研修部門のリーダーで、本部はスイスなのだが、CEOはインド拠点で、このポジションの勤務地はケープタウンかインドという面白いジョブディスクリプションだった。早速ポジションに必要なスキルと自分の経験値の接点を頭をひねって絞り出し、エントリーをして、頂いたメールにその旨と感謝の言葉を添えて返信した。

エントリーの締め切りまで更に一週間あったが、LinkedInで示される応募者数は目を見張る勢いで毎日増えていくので、いくらなんでも無理かも・・・と期待する欠片の要素も思い当たらなかった。

エントリーから二週間ほど経ったころ、奇跡的に一次面接の案内が届いた。しかもポジションのハイヤリングマネージャーであるCEOとの面接だった。この競争率でCEOとの面接に呼ばれるとは、これはもしかして、私はものすごい強力なネットワークの持ち主と学会で知り合ったのではないかと、急にウキウキした。単純である。ウキウキしてポジションを教えてくださった方に書類審査に通った旨を伝えて、次のステップに向けてアドバイスをお願いし、付け焼刃感は否めないが必死に周辺情報を集めて準備した。

一次面接当日、CEOは穏やかな口調でこういった。

「あなたは日本で生まれて育って先進国でとても恵まれているのに、何故途上国のキャリアポジションを盗もうとするのか説明してもらえませんか。」

南アフリカでMBAに通い始めて以来、国際保健分野で社会貢献したいのです、と勢いよく言って歩いていたけど、もしかしてそういうふうに見られていたのか・・・と、想定外の衝撃的な展開とショックで完全に固まってしまった。15分間しかない面接でのんびり固まってもいられず、仕事しないで生きてはいけないし、気を取り直して思い当たることをつなぎ合わせて答えた。

インタビューはあっという間に終わりに差し掛かり、CEOは「正直に言うと、紹介があったのでインタビューに呼んだけど、このポジションは途上国から採用したいと思っていて、しかも200名以上の応募があってとにかく1名を選ぶのがものすごく大変なので、ご縁がなくてもあなたが悪いわけではないですから。」と言われた。

「おっしゃる意味はとてもよくわかるのですが、もし機会が頂けるのなら、後継者育成プランを作成し、途上国出身の後継者に引き継ぐところまで責任もってやります。」と申し上げたところ、「そのプランはいいね!」とCEOは笑っていた。

南アフリカで私の転職活動は続く。

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