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Mining company - Job hunting in South Africa

転職活動を開始して7ヵ月、大学院の友人に「どなたかヘルスケア領域で知り合いの方がいたら紹介してもらえるかしら?」とお願いを繰り返していたところ、「うちの会社で新規事業を始めるけど手伝わない?」とありがたい申し出をいただいたことがある。

正直本当にありがたかった。

友人が会社代表なので、採用は問題なさそうだし、労働ビザについても協力するから大丈夫と快諾だった。

友人は通信関連の会社を経営していると聞いていたが、新規事業は、アンゴラで採掘する鉱業だった。どういう経緯でアンゴラで採掘する権利を入手したのか、詳しい文脈が聞き取れなかったのが大変残念だったが、オランダの投資家が既に資金調達を申し出ており、非常に大きな、そして手堅い事業になると、友人は興奮気味に話してくれた。自分だけが巨大な富をひとりじめするわけにはいかないので、地域の皆さんの教育推進等、CSRにも力を入れていきたい、という話しがすばらしく、関心しながら聞いていた。

アンゴラで採掘って、ところで私は何をするんだろうか・・・。

友人の話しによると、アンゴラの鉱山は現時点では一面の森林で、まずは現地で採掘をする社員のインフラ整備(住まい、電気、水道、ガス、Wifi等)から、採掘した鉱物を現地から空港へ搬送するための道路整備等、数えきれないほどのプロジェクトが立ち上がるのでそのマネジメントが必要だし、採掘した鉱物をいつどのタイミングでいくらの卸値で取引すると利益が最大化するかを見極めるトレーダーの仕事もあるよね、という感じだった。転職活動とは全く関係ないが、陸路で運ぶと途中襲われて採掘したゴールドが盗難されるリスクがあるので、ロジスティクスのデザインが非常に重要という話しはとてもわくわくした。

全体的に話しが想像の斜め上過ぎて、つかみどころがない印象は否めなかったし、MBAで学んだこととかなり路線が違うような気もしたが、そもそもひとつのオファーをもらったこともなく選べる立場でもない。まずはこの仕事で頑張って成果を出して、その先のことは後で考えようと、我ながら相当前向きだった。

結論から申し上げると、結局アンゴラの鉱山で働く正式なオファーを受け取ることはなかった。この後、友人と定期的にランチの機会を作り、新規事業の進捗がどうなっているのか、私はいつごろから参画できそうかなど、私にしてはそれこそぬかりなくフォローアップを繰り返したが、「オランダの投資家から最後の署名済みの書類が戻ってくるのを待っているんだよね」「そっか、もう少しだね!」みたいな会話を何往復かしたところで、堪え性のない私がフェードアウトしてしまった。

そういえばこの事業はどうなったのかな。私の転職活動はともかく、このような才能あふれる友人に恵まれたことに感謝しかない。友人の事業の成功を心から祈っている。


・・・後日、友人と久しぶりにタイ料理のレストランで会った。友人がグリーンカレーがなかなか美味しいよと以前に教えてくれたお店だった。近況等を報告しあって、そういえばあの事業って、という話しになり、こともあろうか、なんと詐欺だった。友人は騙されてお金を随分払ってしまったとうなだれていた。お金も大事だが、いろいろ奔走してかなり時間を掛けて準備したので、その時間を無駄にしたのが悔しいと繰り返し言っていた。南アフリカはとても素敵なところなのだが、こういう背中がぞくぞくっとすることがときどき起きるところでもある。

南アフリカで私の転職活動は続く。


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