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とべ動物園のサルたち①「コモンリスザル」

 その昔もう20年以上も前、インターネット黎明期に私、おサルに関するホームページやってまして。そん時にとべ動物園のサルたちについて書いた文章があるんですが、ここから何回かにわたって掘り起こしたいと思います。
 なんなら動物園のサルたちも代替わりしてたりして、現在の実情と違うところあるかもしれないですが、そこはそれ、記録ということで。

 愛媛県立とべ動物園は、県都松山市の中心部から国道33号線を南へ20分。なだらかな丘陵地の愛媛県総合公園内にある、規模、内容とも四国最大の動物園だ。昭和28年に設立された道後動物園が手狭になったこと、より多くの動物がより自然に近い環境で生活できるようにという考えから、昭和63年4月現在地でオープン。11.2haの敷地内に約180種1,000点の動物たちが生活している。展示方法も敷地全体を10のゾーンに分け、動物たちを生活地域や環境別に分類し、わかりやすいものになっている。

 さて、このとべ動物園が「サルを見たい人」にとって全国有数の動物園であることをご存知だろうか。約200種と言われる霊長類の仲間のうち、なんと30種もが展示されている。図鑑やテレビで見られるたいていのサルはここでお目にかかることができる。その多くは「モンキータウン」と呼ばれるエリアに集められており、簡単に一覧することができるが、いくつかの種はその他のエリアでも展示している。
 その、とべ動物園のサルたち。順を追って紹介しよう。

コモンリスザル
Saimiri sciureus
Common sqirrel monkey
 エントランスをくぐると早速場内案内パネルのデザインが楽しい。小さな子供連れならベビーカーの貸し出しもしてくれる。
 スネークハウスを左に、フラミンゴやツルたちの間を抜け、ペンギン、シロクマ、クマたちを眺めながら歩を進めると、小さな子どもたちの歓声がひときわ高く響いてくるエリアがある。「なかよし広場」だ。お子さまたちにはバッテリーカーやジェットコースターで遊んでいただくとして、サル探求派にはまずひとつめのクライマックスがある。広場中央の「通り抜け獣舎」にコモンリスザルが数頭、「放し飼い」にしてあるのだ。ペットショップでも結構普通に販売されていて、そう珍しい種類のサルではないのだが、ギンケイ、セグロカモメなどの鳥たちと一緒に高さ5メートルほどの獣舎の中を立体的に走り回る彼らの姿はとても愛らしい。直接触れる距離なので、つい触ったり、餌をやったりしたくなるかもしれないが、そこは我慢の一手。えびせんとかポテチとか適当なものを与えているとおなかを壊す恐れがあるし、触ったりするのはサルにとって相当なストレス。かみつかれる危険もあるので無茶はやめましょう。
 彼らの専用のケージは「なかよし広場」の向かいにあって、約80頭が生活している。結構頻繁に赤ちゃんが生まれていて、赤ん坊のような彼らの背中やおなかにさらに小さいコドモがくっついているのが観察できる。解説によると「あかんべー」ちゅう表情をするとのことだが、恥ずかしながら未確認。じっくり観察してみよう。
 コモンリスザルはオマキザル科で最も小さなリスザルの中でも普通に見られる種。アメリカが人工衛星を打ち上げた際に実験動物として搭載させられたのも彼らだ。ブラジル北部を中心にペルー、エクアドルなどの川辺の林に好んで住む。熱帯雨林、マングローブ林、沼地林、二次林などでもエサが豊富ならば住むことがある、適応性の高い種でもある。主に果実と昆虫をエサにしており、1日の70~80%を採食に充てる。多くのメスは2年半で成熟し出産するのに対し、オスが成熟するのは4歳~5歳である。長いしっぽが生えているが、把握性はほとんどない。近縁種が3種。そのうちボリビアリスザルはこの動物園にいるので後述。


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