のうぜんかつら ーアイに触れるということ。 #第8夜
初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。
※一部過激な比喩があるためこの夜の公開日を予定より遅らせましたが、不快になる方がいらしたら申し訳ございません。ご気分を害された方は、そっとページを閉じていただけると幸いです。
どれだけ触れ合ってもわたしと彼とは他人だし
それぞれが独立した人間であることを思い知らされたあの日。
(まだの方は前回のおさらいを↓)
時を同じくして、
ある休日の昼下がり、
池袋南口のベローチェで大喧嘩の末
悔し涙を流したわたしがいました。
それは、
何気ないキッカケからの口論の果てに
吐き捨てられたひとことでした。
「オマエはいい母親にはなれない」
わたしでなければ
絶望して腕を切りかねないような台詞を
面と向かって恋人に吐かれて
世の中のほとんどすべての男のひとが
なんらかのマザーコンプレックスであることを恨み、
でもわたしにはその母親になるチャンスすら
回してはくれないのだと悲しみ、
負の感情から湧きでる涙たちを止められず、
文字通りわんわんと泣き喚くわたしを
どうして嫁にもらおうと思えるか、
いまなら、そうならなかった理由も
ハッキリと理解できるわたしがいるのです。
その頃からきっと、
他責のなすりつけあいの、
目も当てられないふたりだったのだと振り返っても後の祭り。
触れたい、
触れてほしい、
求めるものは似ているのに、
きちんと言葉にしないことで歯車は狂い始め
相手に伝わるように伝える
相手の言動の真意を汲み取る
そんな当たり前のやり取りからも
逃げ始めていたのかもしれません。
彼の求める聖母マリア像がどうしても理解できず
いつしか、
好き、という感情だけで
そばにいればいいのだと言い聞かせ
時折、流れでセックスをして
男女の機微や
相手のことを知りたいと思う恋愛の初期衝動や
その類のことを他所に求めては
彼にバレるかもしれない、というスリルを
報われない恋のスパイスにしていたのだと思うのです。
こうして、
わたしたちの過ごした
長く甘い甘いあの時間たちは泡みたいになって
わたしは、わたしの好きだったあなたの匂いを
ひとり、探していたのかもしれません。
つづく
#アイに触れるということ
#第8夜
#物語はクライマックスへ
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