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ハーレクインに倣って #第9夜

初めましてのみなさまも、おなじみのあなたもこんにちは、MAKIです。


年齢的なものも含め
男性自身が行為中に勢いを失ってしまうその現象を
若かりしわたしは
自身にオンナとしての魅力が足りないからだ、などと
非力な自分を卑下した時代もあったのだけれど


30歳の初夏、
人生の師と仰ぐ性愛界の巨匠との出逢いをきっかけに
存在そのものを愛おしく思えるようになり
大きさやら形状やらにこだわらず
受け入れられるようになって


つまりは
目的は重なり合うことではない、の境地を
愛戯とは、
相手を愛でて悦楽に導いてあげたくなるものだ、
という価値観を共感しあえるひとを見つければいいだけの話なのだと結論づけているわたしなのです。


愛を伝えたがりのわたしたちオンナにとって、
K点を超えるためにもっとも必要な要素は
技術でもビジュアルでもなく
安心、だと悟っていて


このぬくもりはわたしをつぎの世界へと誘うから
身を委ねても大丈夫、
香り・肌触り・味わい・嬌声・曲線美、
五感でわたしのすべてを褒めてくださる、
そういう紳士に出逢えると
オンナに生まれてきてよかった、と素直に思えて


でも、
相手に期待してしまうのもまた人間の悪い癖で。

重なり合うことは
お互いのそれを介しての愛撫であり
悦楽に必要不可欠なルートではないにせよ

それでもあなたを受け入れたいと
繋がることであなたを内側から全身で感じたいと
そう本能がわたしに訴えかけるのです。

さて、
いまから綴るお話は
色気のある物語を書き遺してみたい衝動を備忘録代わりにしたためているものです。
お付き合いいただけましたら幸いです。
#物語です
#物語ですよみなさま

セイカイ


あなたのカラダに初めて触れたあの秋からいくつ季節が巡ってもなお、会えば素肌を見ずとも雄々しいあなたの分身をありありと思い出せるのは悲しい性なのでしょうか。
とてもじゃないけれどわたしの左手では余してしまうそれに恐る恐る触れながら、横たわるあなたを掬うように目配せをしてみると、隆起の勢いとは裏腹に、恥ずかしそうに俯き視線の合わないあなたがそこにいて、そんな彼に舌を這わせ「ああ、されてるときは見ない派なんだね」と思ったことを口にしてしまいこちらまで赤面していたのを、ラブホテルの青白い照明が有耶無耶にしてくれたのでした。
本心というのはそのもののなかにしかなくて、勘繰ったり深読みしたり憂いたりしても意味なんてなくて、対話にしか答えがないことを諭すあなたは、ゆっくりと、でも的確に芯を見つけることのできたわたしの左指と舌の動きにあわせ、オンナなら誰しもがうっとりとしてしまう甘く響く低音のその声を吐息混じりで漏らしながら、わたしの右手を肉厚な左の手のひらでとらえ、恋人つなぎで絡ませて「好きだよ」と囁いたのです。
それはわたしをたいそうガッカリさせて、こういうときの男のひとの好きを信じるなと教えてくれたこれまでの人生に感謝をし、それでも目の前でオスの色気を放つそのひとと繋がってみたい本能には勝てず、絡ませあった指たちから伝う興奮とわたしの安心を感じ合いながら、まるでそのままエネルギーが頭のてっぺんにまで届いてしまうのでないかと思わせてくれるそれに左手を添え、深く、深く受け入れたのです。
ハーレクインMAKI(仮称)より


安心できる、というのは
愛を語る上では切っても切り離せなくて

わたしの望む新世界はこの安心が大いなる課題で

刺激的な出逢いもそれはそれで
文字通り気持ちのよいものだけれど


もしかして今世で最後のお相手かも、と
そんな覚悟をもって
以前よりも生にも性にも貪欲なわたしがカラダを開いたその先に
きっと想像をはるかに超える多幸感が待っているのだと
そんなわたしを迎え入れるのだと


過去にうまくいかなかったものに縋っても
それはもううまくいかなかった証でしかないのだから

南京錠をしてしまい込んでいる感情を全力で抱きしめて
ここではないどこかへ
安心できる腕のなかを求めて
今日も東京の街を彷徨うわたしがいるのです。


つづく

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