まちづくろい総研 | 辻田昌弘

技術士事務所(建設部門・都市及び地方計画)。 都市や地域が抱えるさまざまな課題につい…

まちづくろい総研 | 辻田昌弘

技術士事務所(建設部門・都市及び地方計画)。 都市や地域が抱えるさまざまな課題について「まちづくろい」の視点から調査研究・コンサルティングを行うシンクタンク。

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まちづくろい総研、はじめました

初めまして!《まちづくろい総研》の辻田昌弘と申します。 この3月に勤めていた会社を定年退職したのを機に、《まちづくろい総研》というシンクタンクを立ち上げ、フリーランスとして活動することといたしました。 本記事では皆様へのごあいさつを兼ねて自己紹介や《まちづくろい総研》開設への想いなどについて書いていきたいと思います。 What is まちづくろい? 私たちはふだんなにげなく「まちづくり」という言葉を使いますが、「まちづくり」という言葉は暗黙の裡に「まち」を「つくる」、つ

    • 分譲マンションは終の棲家たりうるのか(下)〜住み替えも容易じゃない

      高まる永住志向 前回記事でも触れたが、国土交通省の調査によれば、分譲マンション居住者の約半数が世帯主年齢60歳以上で占められている。また同調査によればマンション居住者の永住意識は高まっており、直近の調査では62.8%の人が「永住するつもりである」としている。多くの人がマンションを「終の棲家」と思い定めているのである。 しかし、前回記事でも述べたように、マンションには建物の老朽化と居住者の高齢化という「ふたつの老い」が忍び寄りつつあり、そんな中で老朽化したマンションを建替え

      • 分譲マンションは終の棲家たりうるのか(上)〜建替は難しい

        分譲マンションの「ふたつの老い」 3月28日と29日の日本経済新聞に掲載された特集記事「老いるマンション」。 国土交通省のデータによれば、 ・分譲マンションのストック総数は694.3万戸で国民の1割超が分譲マンションに居住していると推計される。 ・そのうち築40年以上の分譲マンションの総数は125.7万戸と約18%を占める。 ・築40年以上のマンションは今後も増加を続け、20年後(2042年末)には445.0万戸になると推計される。 分譲マンションについては近年「ふた

        • 【寄稿】小さくはみ出す・みんなではみ出す  イノベーティブな公共空間利活用に向けた自己変革の4つの原則

          約半年ぶりの投稿です。 このたびミズベリング・プロジェクトさんからお声がけいただきまして、エッセイを寄稿させていただきました。 ご笑覧賜われれば幸甚に存じます。 ちなみに、私、以前に「ミズベリング・プロジェクト アドバイザリーボードメンバー」を拝命しておりましたが、事務局に確認したところ、まだ罷免とか解任はされておらず、現在も有効とのことでした(笑)。

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          「横丁」今昔

          〈企業主導アーバニズム〉対〈創発的アーバニズム〉 最近読んだ慶應義塾大学理工学部准教授のホルヘ・アルマザン氏の『東京の創発的アーバニズム』という本が面白かった。 アルマザン氏は、2002年の都市再生特別措置法の制定を契機として加速した「東京を超高層ビルで覆い尽くす一連のプロセス」を「企業主導アーバニズム」と呼ぶ。「それらは基本的に高級コンドミニアムやオフィスの超高層タワーが、低層部のショッピングモールのような商業施設の上に載るという建築タイプで構成される。」が、それらの

          容積ボーナスという錬金術

          「空間への需要」が減っている 9月5日付日本経済新聞朝刊に掲載された「地方再開発 物価高が直撃」という記事。 記事にもあるように、市街地再開発の事業費は、国・自治体の補助金や、再開発によって新たに生み出される「保留床」の売却費で賄われる。この新たに生み出される「保留床」は再開発ビルの計画に応じて、オフィスだったり商業施設だったり、あるいは住宅(賃貸・分譲)だったりするのだが、いずれにしてもこれらの床が当初計画通りの価格で売れないと再開発事業の採算は厳しくなる。 で、当

          容積ボーナスという錬金術

          〈セゾン文化〉について改めて考える

          「脱埋め込み」と「再埋め込み」  前記事(「「脱埋め込み」への異議申し立て」)において、主に松原淳氏の『建築家の解体』を引用しつつ「場所と空間の違い」や「脱埋め込み」という概念について説明したが、松原氏は「脱埋め込みは再埋め込みを伴いながら進行する」とも述べている。なぜなら、「脱埋込みが進行すればするほど、人々は慣れ親しんだコミュニティに根ざした安心感や親密感を担保してくれる「場所」に包摂されたいと望むようになる(松村『建築家の解体』p.216)」からである、と。  「

          〈セゾン文化〉について改めて考える

          「脱埋め込み」への異議申し立て

          どうしてどこもかしこも似たようなビルばかり建つのだろうか?  「日本の超高層ビル」というウェブサイトがある。運営されているのは個人の方のようだが、その中に国内の超高層ビルを高さ順に写真付きで紹介しているページがある。  ここに並ぶビルの写真をみていて思うのは、どれも外壁がカーテンウォールで形状は直方体という似たようなデザインをしていることだ。それでも2000年代の初めぐらいまでに竣工したものの中には「JRセンタラルタワーズ(10位;1999年竣工)」「東京都庁(11位;

          「脱埋め込み」への異議申し立て

          リスキリング疲れ

          「やる気スイッチ」が見つからない  6月23日付記事(「出社したくないほんとうの理由」)で、日本のワーカーの「ワーク・エンゲージメント」が世界最低水準という新聞記事を紹介したが、これをさらに裏付ける調査を発見した。2022年11月にパーソル総合研究所が公表した調査レポート「グローバル就業実態・成長意識調査(2022年)」がそれなのだが、アジア・欧米18カ国の就業者を対象としたこの調査結果がなかなかにすさまじい。 以下かいつまんで内容を紹介すると… ① 管理職になりたい→

          「脱クルマ」から始まるウォーカブルなまちづくり

          はじめに  遅ればせながら、ヴァンソン藤井由実さんの『フランスのウォーカブルシティ』(以下「本書」という)を読んだ。  副題に『歩きたくなる都市のデザイン』とあるので、フランスのおしゃれな歩行空間−カフェやベンチやイベントやらアートやら−がいろいろと紹介されているのかと思われるかもしれないが、内容はかなり骨太である。 と著者自身が述べているように、本書のメインテーマは「道路空間の再配分」である。 道路空間再配分の4点セット  「道路空間の再配分」とは、自動車用の道路

          「脱クルマ」から始まるウォーカブルなまちづくり

          出社したくないほんとうの理由

          はじめに  野村総研が今年2月に公表した「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」によれば、日本のテレワーク実施率は19.0%と調査対象8カ国中最低となっている。調査時期が2022年7〜8月なので、コロナがほぼ収束した現在では、この数字はさらに低下している(=出社率が上昇している)ものと思われる。いわゆる「オフィス回帰(リターン・トゥ・オフィス)」の動きが鮮明となっている。  コロナ禍においては「働きかたのニューノーマル(新常態)」ともてはやされ、コロナ収束後も定着

          出社したくないほんとうの理由

          エッセンシャル・ワークの逆説、もしくは逆襲

          はじめに  前回の記事(「家事の内部化」)を書いていて、エッセンシャル・ワークについてもう少し掘り下げてみたいと思っていたところに、タイミング良くザイマックス総研から「ノンデスクワーカーの実態と課題」というレポートが出てきたのでさっそく拝読。以下にザイマックス総研のレポートと、その一部のソース元であるリクルートワークス研のレポートをベースに、ノンデスクワーク(≒エッセンシャルワーク)について概観を整理してみた。 ノンデスクワーカーの特性  ノンデスクワーカーとは一言で言

          エッセンシャル・ワークの逆説、もしくは逆襲

          家事の内部化

          労働供給制約社会の到来  このところマスコミ等でよく取り上げられているリクルートワークス研究所のレポート「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」。  人口減少・少子高齢化の進行により労働力不足が深刻化し、2040年には約1,100万人の労働力不足に陥るというなかなか衝撃的な内容で、反響も大きいようだ。不思議なことに、他のシンクタンクからも同様のレポートが相次いで公表されている。  このところのアフターコロナの景気回復に伴って宿泊業界や飲食業界で人手不足が深刻化

          【復刻】真実は余談に宿る(「アンテナ」改題)

          十年一昔と言いますが、今から二昔ほど前の2007年から2014年にかけて、三井グループの広報誌「三友新聞」紙上に『アンテナ』というコラムを書かせていただいておりました。 今般退職にあたってパソコンの中身を整理していたところ、その原稿が出てきたので、しみじみと当時を懐かしみつつ読み返してみたのですが、自分で言うのもなんですが、これ今でも案外面白いじゃないか。 ということで、全77回のコラムを一冊に取りまとめたうえで、『真実は余談に宿る』と改題して公開することといたしました。 ご

          【復刻】真実は余談に宿る(「アンテナ」改題)

          【インタビュー】都市の内在資産

          公益財団法人ハイライフ研究所 報告書 「「都市✕知」都市の自律的再生産 アーバン・オートポイエーシス」 (2022年5月)収録 《一部抜粋》もちろん、松江だけでなく歴史に裏打ちされた文化や工芸があるところは国内にたくさんありますが、問題はそれを「どう活かすか」です。内在資産はあるといえばどこにでもあるし、見方次第ではなんでも内在資産になりうる。したがって、大事なことはそういう内在資産を「どう見出すか」、そしてそれを「どう活用するか」「どう力に変えていくか」です。もちろん行

          【インタビュー】都市の内在資産

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