「拾われるとき」
それは 落ちているだけ
近づいて 見てみなよ
見るだけは 見てみな
おカネじゃなけりゃ
手も出さないってか
いやいや
それは
何か重要な 中身のある
紙片かもしれんぞ
手に取って 手に取って
拾ってみな
そうして
キミは 拾われる 拾われるんだって
キミだけじゃない
みんな 中身は判然としないままの
一枚紙にすぎないんだ
そこに記されていることに
価値があるのか
意味があるのか
値打ちのある
誰かが ほしがるものなのか…
まあ 待て
今ではない 今ではないのだ
それは…先だ それが判るのは
先だとして
その 一枚紙が
価値あるもの
そう判じられる時が
先――
ちょっと先 ずっと先 かなり先
忘れたころ
やっと見つけられるとして
自分がいなくなるころ
そんなときに
やっと 見つけられるとして
拾われる そのときが
それでも 来る――
その紙は
拾われる
キミは 拾われる存在なのだ
遅いか 早いか
今か ずっと先か
拾われる時を
待て――
待つのだ
慌てるでない
急ぐな
待て
もう一度いう
拾われる時を
待て
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