【ニュース詩】「ロボットの青春」

セントルイス・カージナルスの黒人選手
アームストロング・オズマはいう
「オマエハ　ヤキュウロボットダ」

東京読売巨人軍の若きエース
星飛雄馬は　その言葉に懊悩し　身もだえする

オレは
野球だけしか知らない
野球だけしかやってこなかった
本を読んだり　恋愛をしたり　遊んだり
すべてを捨て
野球だけに賭けてきた
それが青春だと思った

オズマは
「ソンナノハ　セイシュンデハナイ　オマエハ　チチオヤノ
　ヤキュウロボットダ――」
飛雄馬の姉・明子は父・一徹に訴える
「飛雄馬はゼンマイを巻かれた人形　お父さんの操り人形よっ！！」

栄光　頂点
挫折　転落――

トップの人びと　さらにその上の
トップ・オブ・ザ・トップス
彼らは
その際を歩き続ける
普通の「人間」にはできないこと
人間には耐えられない世界にいる人びと

アニメ「巨人の星」（1968～71年放送）は
人生のさまざまなことを教えてくれた
野球ロボットのくだりは69年11～12月に放送された
今　YouTubeでただで見られる

あれから５５年もたつのに　まったく古びていない

あの彼に
オマエハ　ヤキュウロボットダッ！
なんていうのは　的外れだろうか
でも　そう感じるのはぼくだけか

大リーガーをキリキリ舞いさせた
３人の日本人
沢村栄治（1944年戦死、享年２７）
星飛雄馬（実在しない）
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