「盲腸のように」
下町を走る たった二両の電車
短い距離をゆっくり 線路に迫る民家の軒をかすめるように ゆっくり
県をまたいで延びる 長大な路線図の中で
盲腸のような 存在
それでも 結構な人数が乗り
朝夕にはラッシュ
沿線に 公営団地群 町工場 小商店
うらぶれた景色
それが 近年は大学が新たにできたり
環境の変化が 押し寄せる
久方ぶりに この盲腸路線に乗った
広い東京
沿線ごとに エリアごとに 町の個性がある
路線ごとに 町ごとに 表情がある
乗客たちの 顔つき 風体は
下町には 下町の それ
新宿 渋谷 それらの西側は
山の手風 山の手的な
人たちが それぞれの電車に乗りあう
下町からはるばる
渋谷 世田谷をへて横浜に向かう
と
電車の中には
同じ顔 同じ言葉を発し
同じような服装をしているようで
どこかが 違い
彼らが 違う国の人たちに 見えてしまう
そう感じるのは 私だけか
下町の 盲腸路線
乗りあわす人々に 親近感
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